序章


                                 ほし
遠い遠い宇宙の彼方にZiという青く美しい惑星があった。
                                                        かなめ
そこにはゾイドと呼ばれる金属生命体が存在し、Ziに住まう人々の文明の要となって彼らの

生活を支えていた。
                            すぐ                                あわ
だが、ゾイドには生まれながらにして優れた戦闘能力があり、兵器としての一面も併せ持っ
            お
ていた為、Ziに於いて長年続けられているガイロス帝国とヘリック共和国との戦争でも、最

強兵器として君臨していた。




                                                           そそ
両国は互いに古代人の遺産であるゾイドの発掘やパーツ、武器の開発に力を注ぎ、戦争は
      いっと たど                                 ぶ
悪化の一途を辿っていたが、開発速度は圧倒的に帝国側に分があり、共和国側には不利

な情勢が何年も続いた。
               こた
それでも何とか持ち堪えていた共和国は、数年前にようやく帝国と停戦条約を結ぶ事に成

功し、長かった戦争はとりあえずの終結を迎えた。




                                                ひときわ
しかし帝国側には戦争を求める者が根強く残っており、その中で一際力を持っていたのが、

帝国軍元帥プロイツェンという男であった。
                            たく
元々は一士官であった彼だが、言葉巧みに皇帝に取り入って元帥の地位にまで登り詰め、
                            おさ
帝国で最大の勢力を誇る軍を手中に収めると共に、高齢で病気がちの皇帝に成り代わって

国政まで取り仕切る様になっていった。

そんなプロイツェンに反感を持つ者も少なからずいたが、皇帝からの信頼を一身に受けてい
           さか
る彼には、誰も逆らう事は出来なかった。




                                        しだい
プロイツェンの後押しによって更に力を得た軍では、次第に皇帝よりも元帥に従おうとする者

が現れ始めた。

古来より、ガイロス帝国の軍人は皇帝と国民を守る為だけに存在し、皇帝に対する忠誠心

は他国の軍人が驚く程素晴らしいものがあった。



しかしそれはもう昔の話。



今は「長いものには巻かれろ」と言わんばかりに、ほぼ全ての軍人が絶大な力を持つプロイ
      さんか
ツェンの傘下に入っていった。

だが、その様な荒廃した軍の中にありながら、プロイツェンに異議を唱える常識ある人物が

いた。





つい先日帝国軍第四陸戦部隊の隊長に任命された、カール・リヒテン・シュバルツ少佐。

彼は若くして少佐にまで昇進した実力派の軍人だが、余り争いを好まない性格であった。
                          いっかん
だからこそ停戦中にもかかわらず、一貫して軍備を強化し続けるプロイツェンの方針には納

得がいかなかった。


とは言え、プロイツェンの背後には忠誠を誓う皇帝がいつも見え隠れしていた為、従うより他

どうする事も出来ないのだった…










●あとがき●


ゾイドについての説明を入れたクセに、自分でもわからないものになってしまいました(爆)
でも始めに説明から入らないと、話が続かないのです。

序章で世界情勢を把握してから本編を読む方がわかりやすいかな、と思っております。
逆にわかりにくくなるかもしれませんが、余り深く考えないで下さい(笑)

●次回予告●

不安定な情勢の中で、プロイツェンの指示に従って演習に明け暮れていたカールは、ある日
第四陸戦部隊の基地で青髪の女性と出会います。
その時カールの身に起きた変化とは?!(笑)
第一話 「出会い」  今度もめちゃくちゃ動きまくるぜ!(誰が?)