第六話
「作戦〜その1〜」
◆作戦名◆
事故に見せかけよう作戦
手伝いの兵士から聞いた情報によると、明日は訓練が休みらしい。 発掘と同じく、訓練も毎日ではないのだ。 こちらのスケジュールとかち合わないのが非常に残念だが、これを利用しない手はない。 いそ そう思ったステア達は、早速隣で発掘に勤しむサラに声を掛けた。 「は・か・せぇ〜、明日は発掘お休みにしませんか?」 「突然何を言い出すのよ?お休みは週に一回、ちゃんとあるでしょ?」 「でもでもぉ、そのお休みの日も博士だけ働いているじゃないですか〜」 「そうですよ。毎回あれだけの人数の食事を用意していては、お休みの意味がありません」 「…まぁ、そうかもしれないけど、私は全く平気だから心配いらないわ」 「心配いらない…?自分の健康管理をしっかりした上で言って下さいよ?」 「な、何が言いたいわけ?」 ふし ひる 思い当たる節があったらしく、サラが少し怯みながら尋ねると、ステアとナズナは思わせ振り に一度顔を見合わせ、やれやれといった表情で肩をすくめてみせた。 「最近、毎晩遅くまで起きていますよね?」 「え……そ、そんな事はないわよ。き、気のせいじゃない?」 「隠したって無駄です!わかってるんですから、博士の行動パターンくらい」 「……………」 サラは何も言い返せなくなってしまって黙り込んだ。 確かに、ステア達の言う通りだったからだ。 ここ最近、発掘状況をまとめたり調べ物をしたりと、毎日深夜まで起きている。 極力こっそりとしていたのだが、二人には完全にばれていたらしい。 ステア達はもう二年近くサラの助手をしているのだから、わからないはずがない。 何よりサラの行動パターンはわかりやすく、一つの事に集中すると、最後までとことん突き進 んでしまうタイプなのだ。 その事は本人よりも、助手であるステア達の方がよく知っていた。 じき 「このままでは直に倒れちゃいますよ?」 「そうそう。だからこそ明日はお休みにしようって言ってるんです」 「う〜ん、そうねぇ……そこまで言われちゃ仕方ないか。じゃあ、明日はお休みにするわ」 「了解です!では、少佐には私達から伝えておきますねv」 「ええ、お願いね」 サラはにっこりと笑い、ステア達は影でにやりと笑うのだった… 翌朝サラはいつもより遅めに目を覚まし、久々の休日を満喫しようと読みかけの本を開いて読 み始めた。 すると… コンコンッ 妙に元気の良いノックの音が聞こえ、サラの返事を待たずにステアとナズナが室内に入って 来た。 『おはようございま〜すv』 「おはよう。朝から元気ねぇ」 「もちろんです!元気だけがとりえですから!!」 「そ、そう。……で、何か用?」 「実は今日、少佐達もお休みらしいんです」 「ですから、少佐の所へ遊びに行きたいなぁと思いまして…」 「う〜ん、少佐が迷惑でないのならいいわ。行ってらっしゃい」 サラの返事を聞いた途端、ステア達は思い切りガクッとこける仕草をし、苦笑いを浮かべた。 「は、博士も一緒に行くんですよ?」 「え?どうして私も行く必要があるの?」 「色々報告しなくてはいけない事とかあるでしょう?その報告も兼ねて、と思ったんです」 「……なるほど、それもそうね。これからも定期的に報告に行かなくちゃいけないし、今日がそ の一回目って訳ね」 「はい、そうです!では早く支度して下さい、朝食後すぐ出発しますから」 「わかったわ、ちょっと待ってて」 もろもろ と サラは急いで研究所の制服に着替えると、諸々の身支度を整えてから、きちんと朝食を摂っ てステア達と共にテントを後にした。 『おはようございます、少佐vv』 ステア達が外から元気に挨拶すると、カールはすぐにテントから顔を出し、その挨拶に笑顔で こた 応えた。 そろ 「やあ、おはよう。お揃いでどうしたんだい?」 「遊びに来たんですぅv」 「遊びに…?」 うかが 「今日は少佐達もお休みだと伺ったので、お暇なのではないかと思いまして」 目的が完全に遊びに変わっていると気付いたサラは、慌てて話に割り込んだ。 「違うでしょ、二人とも!少佐、今日は色々報告しようと思って来たの」 「そ、そうか。じゃあ、とりあえず中へ」 『お邪魔しま〜すvv』 ステアとナズナは非常に上機嫌でカールのテント内に入り、勝手に椅子に腰掛けるとキョロキ ョロと中を見回した。 「見事に何もないですね〜」 「ほんと〜。必要最小限の物しか持って来てはいけないんですか?」 「そういう訳ではないよ。持って移動出来る範囲であれば、何を持参してもいい事になってる」 「じゃあ、少佐も何か持って来たら良かったのに…」 「……わからないのかもしれないが、あの本棚が私の私物だ」 すみ カールがテントの隅にある小型の本棚を指差すと、ステア達はその本棚を見るなり、あっとい う表情を浮かべた。 普段余り本を読まない為、本棚が私物とは思わなかった様だ。 「そ、そうだったんですか。気付かなくて申し訳ありません……」 「いや、気にしないでくれ。一見しただけではわからないだろうから」 ステア達はカールの優しさに感動し、ウルウルした目で見つめていたが、すぐに本来の目的 を思い出すと、傍観者になっていたサラを椅子に座らせた。 「博士、少佐に報告を」 「ええ、そうね」 サラが話し出そうとすると、カールは急いで四人分のコーヒーを用意し、彼女の向かいの椅子 に腰を下ろした。 しばらくの間、テント内では事務的な会話が繰り広げられ、機会を伺っていたステアとナズナ は、見るからに面白くないという顔をしながら聞いていた。 そうして話が一段落したところで、丁度昼食の時間を迎えた。 「博士ぇ、今日は少佐と一緒に食べましょうよ〜」 「そうね、少佐がいいって言ったらね」 つか サラはカールに気を遣ってそう言ったのだが、ステア達はそんな事お構いなしであった。 「もちろんいいですよね?少佐v」 「え、あ、ああ。私は別に構わないが…」 「決まり〜。じゃあ博士、よろしくお願いしますv」 なか ステア達は半ば強制的に話を進め、サラが昼食を作りに自分のテントへ戻ると、カールのテン トには彼を含めて三人になった。 サラがテント内から出て行ってから何となく居心地が悪いと思ったら、カールは何故かステア とナズナにじっと見つめられていた。 「な、何だい?」 「あ、何でもありません。ねぇ、ナズナ」 「そうそう、何でもないですよv」 どう見ても何か言いたそうな顔をしていたが、自分から尋ねるのは気が引けるので、カールは 納得した様に頷いてみせた。 すると、ステアとナズナはにや〜っとした不気味な笑みを浮かべ、小声で話し始めた。 「少佐、私達いくらでも協力しますから」 「協力…?」 あきら 「はい。ですから、諦めないで頑張って下さいねv」 「………?」 すじ かし カールは話の筋が見えず首を傾げたが、ステア達はわざと具体的な事は言わず、にやにや 笑い続けた。 しばらくしてサラが昼食を持ってカールのテントに顔を出し、テキパキと机の上に並べ始めた。 「少しくらい手伝ってちょうだい」 『は〜い』 一人で充分なのに、ステア達は二人で昼食を取りに出て行き、テント内にはカールとサラの 二人だけになった。 「ごめんね、無理に付き合わせちゃって…」 「い、いや、全然構わないよ。食事は大勢の方が楽しいから」 「そうね、私もそう思うわ。ありがと、少佐」 「あ、う、うん」 だいぶ慣れてきたとは言え、まだ二人だけという状況に緊張してしまうカールは、サラの瞳を 直視しない様に気を付け、心を落ち着かせる努力をした。 その間にステア達は急いで昼食を運び終え、一同席に着いて昼食を食べ始めた。 なご 今日は質問などの雑談もなく、和やかに食事の時間が過ぎ、サラが後片付けをしに外へ出て 行っても、ステア達は騒ぐ事はなかった。 そう、彼女達はチャンスを待っていた。 その為に今日はずっと大人しくしていたのだ。 ちくいち サラが後片付けを終えて戻って来ると、ステア達は二人の行動を逐一観察し始めた。 午前中に報告は終わったので、サラとカールは楽しそうに本の話を始め、その時ようやくチャ ンスが訪れた。 ねら 二人は本について語り合いながら向かい合う形で立っており、その状況を狙っていたステア は、ナズナにこっそりとサインを出した。 (今よ、ナズナ!) (りょ〜かいv) ナズナはサラの背後に回り込み、一度深呼吸してから行動を開始した。 「あ〜、博士!危な〜い!!」 しばい 少々芝居掛かってはいたが、ナズナは大声を出しながらこけるフリをし、サラの背中を思い切 り押した。 「わぁ!!」 驚いたサラは目の前にいたカールに向かって倒れ、カールはサラを受け止めはしたが、勢い を止められずにそのまま一緒に倒れ込んだ。 ゴンッ 「ちょっとぉ、危ないじゃない!」 「えへへ、すみませ〜ん。私ったらドジで…」 「まったく〜。………って、あれ?ゴンッてまさか……」 サラは起き上がって文句を言ったが、先程聞こえた妙な音を思い出すと、慌てて下敷きになっ のぞ ているカールの顔を覗き込んだ。 「しょ、少佐?……ダメ、気を失っちゃってるわ」 「それは大変!早く手当てを!」 「そうね、じゃあすぐに氷枕を用意して」 『はい!』 ゆる ステアとナズナは走ってテントから出て行き、サラは軍服の首もとを緩めるとカールの呼吸と 脈を確認してから、彼の頭部をそっと触ってみた。 丁度後頭部の辺りに大きなコブが出来ているのがわかり、ステア達が戻って来ると三人でカ ールをベッドへ運び、頭を氷枕で冷やした。 「う〜ん、これじゃあ痛いかもね…」 あおむ 後頭部にコブがあるのに、そこに直接重みが掛かる仰向けの状態で寝かせた為、心配になっ つぶや たサラが呟くと、ステアとナズナの瞳がキラリと光った。 ひざまくら 「だったらぁ、膝枕してあげればいいじゃないですか〜」 「膝枕なら、頭に負担が掛からない状態で寝かせられますよv」 「あ、そっか。それは良い案ね」 つゆ ステア達に乗せられているとは露知らず、サラはカールを膝枕にして寝かせ、氷枕を後頭部 にあてがった。 「少佐……大丈夫なんですか?」 のうしんとう 「ええ。軽い脳震盪だから、しばらくぶつけた所を冷やしておけば大丈夫。すぐに目を覚ます はずよ」 「軽い脳震盪、ですかぁ…。それだけじゃないって気もしますけど。ねぇ、ステア?」 「そうだよね、もっと違う理由で気絶したっぽいよねぇ〜」 「…違う理由って何よ?」 「あはは、別に深い意味なんてないですよ〜」 「そうそう。そうかもしれないって話なだけですから」 ステアとナズナはサラの問い掛けを軽くかわし、顔を見合わせてにやりと笑った。 思惑通りではなかったが、それ以上の効果を上げる事が出来たので、満足気に二人の姿を 眺めるステア達であった… 数分後… 「う……ん…」 「あ、良かったぁ、目が覚めたみたいね。気分はどう?」 カールはぼんやりとした意識のまま、目の前にいる人物の判別が付かず、それでもちゃんと 答えようと口を開いた。 「…頭が……クラクラする…。それに痛みも………ヒドイ…」 「しばらくは仕方ないわ。ごめんね、私のせいでこんな事になっちゃって…」 (私の…せい…?) かいほう こ 自分を介抱してくれている人物の言葉に引っ掛かりを感じたカールは、目を凝らしてその人物 を見つめた。 ぼんやりとしていた視界が次第にハッキリしていき、今自分がどういう状況に置かれているの か、判断出来る様になった。 (サ、サラ!?それにこれってまさか……ひ、膝枕!?) 驚いたカールは慌てて飛び起きたが、サラによってすぐ元の体勢に戻されてしまった。 にぶ まだ意識がハッキリと回復していなかった為、自分で思うよりも動作が鈍かった様だ。 は 「ダメよ、いきなり起き上がるなんて。まだ腫れも引いてないし、しばらくは横になっていた方 がいいわ」 「し、しかし……」 「あなたがこんな風になっちゃったのは私のせいだもん。だから、せめて腫れが引くまで看病 させて、お願い」 「………。……わかった、頼む」 カールは仕方なく了解した様に言ったが、内心では当然喜んでいた。 こんな夢の様な出来事は、そう簡単に味わえるものではない。 か 喜びを噛みしめつつ、その気持ちがついつい顔に出てしまったカールは、あつ〜い視線を感じ て恐る恐るそちらへ目を向けた。 そこにはやはり、にやにや笑うステアとナズナがいた… |
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「なんだかぁ、恋人同士みたいねぇv」 うらや 「そうね〜、羨ましいわ〜vv」 「私達もああいう風になりたいものねぇ」 二人はコーヒーを飲みながら、のん気にラブラブ話を始めた。 「ステア、ナズナ。少佐がゆっくり休めないでしょう?静かにしなさい」 二人の話を聞いていられなくなったサラが注意すると、ステア達は静かにカップを置き、勢い 良く立ち上がった。 「博士。私達、静かにできないので帰ります」 「え……帰る?」 「氷の補充はちゃんとしますから、ご心配なく」 「お二人の邪魔は決して致しませんよv」 「じゃ、邪魔って……」 『ではごゆっくりvv』 ステア達はテント内に妙な空気を残しつつ、足早に帰って行った。 「もぉ……何なのかしら、あの子達」 「気を利かせてくれたのかも…」 「え…?なぁに?」 「い、いや、何でもない」 サラに顔を覗き込まれ、その余りにも近すぎる距離にカールの顔は耳まで真っ赤になった。 今のカールの反応が後頭部強打からきたものだと勘違いしたサラは、途端に心配そうな表情 になり、もう一度顔を覗き込んだ。 「大丈夫?顔、赤いよ?」 「き、気のせいだよ」 「気のせいなんかじゃないよ!心配掛けたくないからって嘘は良くないわ」 「……ご、ごめん」 「あ……ううん、私の方こそごめんなさい。きつく言いすぎちゃったみたい…」 今のやり取りで互いに気まずくなってしまったカールとサラは、どちらからも口を開く事が出来 なくなり、そのまま黙って時が過ぎるのを待った。 時折サラが氷枕の氷を入れ替える音だけがテント内に響き、それ以外の音は一切聞こえな かった。 「あれ〜?どうしちゃったんですか?」 「二人共、表情が暗いですよ?」 氷の補充に来たステア達は、すぐに二人の様子がおかしいと気付いて慌てて駆け寄った。 ほころ さと するとサラは少し顔を綻ばせ、ステア達に悟られない様に平然と答えた。 「別にどうもしないけど?」 「本当ですか〜?」 「せっかく良い雰囲気なんですから、そのまま突き進んで下さいよ?」 「良い雰囲気って…。もぉ、まだそんな事言ってるのね」 「えへへ、深くは考えないで下さいよv」 「ところで博士、今夜はどうするんです?」 「どうするって?」 「少佐についていてあげなくちゃいけませんよね?」 「ちょ、ちょっと待ってくれ!」 ステアの質問に驚いたカールは、慌てて飛び起きて話に割って入った。 た 一晩もサラと二人きりなんて、男である自分には堪えられるはずがない。 「それは問題あると思うぞ…?」 「ん〜、でもぶつけたのは頭だし、何かあってからでは手遅れになりかねないわ。とりあえず 一晩は様子を見た方がいいわね。あなた達、二人で大丈夫?」 「もちろん!」 「じゃあ、夕食はお二人の分も私達が作って持って来ますねv」 「うん、よろしく」 の どういう訳か、話題の中心であるカールが完全に除け者にされ、サラ達が勝手に話を進めて 段取りを決めていった。 またしてもサラによって膝枕の状態に戻されたカールは、珍しく不機嫌そうにムスッとした表 情になった。 確かにまだ頭はクラクラするが、そこまで心配する必要はない、はずだ。 無駄な努力とわかりつつ、カールはサラに抗議の視線を送ってみた。 「ん?なぁに?」 サラはすぐに気付いてくれたが、また至近距離で顔を覗き込まれる事になり、もうカールは何 も言い出せなくなって黙り込むしかなかった。 日没を迎え、ステア達が夕食を運ぶ以外は、カールのテントに出入りする者は誰一人いなく なった。 けんしん サラは相変わらずいつも通りの態度のまま、氷枕をカールの後頭部にあてがい、献身的な看 護を続けていた。 ふ じょじょ たも それとは正反対にカールは夜が更けるにつれ、徐々に平常心が保てなくなってきた。 このままでは何をしでかすか、わかったものではない。 「……サラ」 「なに?」 や 「やっぱりこんな事は止めよう」 「こんな事って…?」 と 「女性が男の部屋に泊まるなんて良くない」 「泊まる訳じゃないわ、看病よ」 「それはそうなんだが、このままでは君の身が危険だ……」 カールがいつになく真剣な顔をして言うので、サラはおかしくてクスクス笑い出した。 「心配しなくても大丈夫。あなたなら安心だもの」 「………そうとも言い切れない」 「え…?」 つか カールは素早くサラの腕を掴み、そのまま自分の方へ引き寄せた。 「え、え、な、な、なに、しょ、少佐?」 「ほら、やっぱりダメだ」 「……?」 驚いて目を見開いているサラをそっと引き離し、カールはにっこりと笑ってみせた。 「俺の事は心配いらない、自分のテントへ戻ってくれ」 「う、うん、そうする……」 「…すまない」 「ううん、気にしないで。……じゃ、明日の朝にまた来るね」 「ああ」 サラは足下がふわふわしている様な錯覚を感じながら、カールのテントから出て行った。 「何をやっているんだ…俺は……」 くや つぶや 一人になると、カールは思わず両手を強く握り締め、悔しそうに呟いた。 サラを無事に帰せたのは良かったが、それに至る過程が良くなかった。 わざわざ抱き寄せる必要など、ありはしなかったのだ… 恋愛に慣れていないからと言って、不器用にも程がある。 カールは力なくベッドに沈み込み、痛みですぐに横向きになると、サラが置いていった氷枕を 後頭部にあてがった。 一方、研究所のテントに戻ったサラは、驚きの余り口をパクパクさせているステア達に出迎え られた。 「か、帰って来ちゃったんですか…?」 「うん、やっぱり泊まるのは良くないって思ってね」 「少佐は一人で大丈夫なんですか?」 「ええ、心配しなくていいって言ってくれたわ」 「そ、そうですか…」 「…じゃ、私はもう休むわね。おやすみなさい」 『おやすみなさい…』 ガッカリするステアとナズナを横目で見つつ、サラは足早に自室へ入った。 こどう (…どうしてこんなに鼓動が早いのかしら?変なの……) 何故これ程までに胸がドキドキするのか、初めての経験にサラは戸惑うばかりであった。 結局、カールの突然の行動に驚いてしまったからだという答えに落ち着き、答えが出ると安心 つ して眠りに就いたのだった。 ●あとがき● 膝枕はまだ早かったかなぁ…。でも好きだから使ってしまいました(笑) 最後まで謎のままだったカールが気絶した直接の原因についてですが、ステア達の言う通 り、サラを受け止めた事が原因になっています。 初めてサラの体に触れ、その温かさと柔らかさ(笑)に昇天しちゃったんですねv ステア達の作戦は予想以上に大成功vv 最後は少しガッカリな終わり方になりましたが、サラの中でもカールの存在が確実に大きくな りつつあります。 このまま順調に二人の仲が進展していけばいいのですが…。 それにしても、今回はカールを暴走させすぎました… いきなり抱きしめるなよ!って自分でツッコミを入れました(笑) これからはなるべく気をつけます、なるべく…ね(意味深) ●次回予告● 数週間砂の撤去作業を続け、そろそろ本格的に発掘プランを立てようと考えたサラは、急遽 お休みを取ります。 再び作戦を実行するチャンス! 俄に盛り上がりを見せるステア達でしたが、その日はいつも通り訓練が行われていて、近くに カールの姿はありませんでした。 仕方なく、ステア達はサラの指示通り機材の整備をする事に。 機材置き場へ向かう道中、何気なく研究所のテントを眺めたナズナは、ある人物が中へ入っ て行くのを目撃してしまいます。 サラに迫る魔の手!! 果たしてカールは間に合うのか!? 第七話 「作戦〜その2〜」 危険だけどチャンスに変えてしまおう作戦、始動! |