!ご注意!
同性カップリングを批判する内容が含まれています。
第五十話
「ファン〜撲滅編〜」
会議から三日後の早朝、まだ日が昇らない内に合成写真撲滅作戦は開始された… たた 午前四時、カールから放送で叩き起こされた第一装甲師団の兵士達は、何事かと慌てて格 納庫へ集合した。 すると、格納庫には師団長であるカールと副官であるヒュースが待ち構えており、怖い程の満 面の笑みを浮かべていた。 兵士達は互いに顔を見合わせ、何かマズイ事が起きたのかと目で会話しながら、急いで綺麗 に整列した。 格納庫内が静まるのを見計らい、カールは皆の前に一歩出ると、最後列の者まで聞こえる程 す の澄んだ声で話し始めた。 「おはよう、諸君。今日は第一装甲師団の総力を結してある作戦を行う為、こんなに朝早くに 集まってもらった。最近、軍内で合成された写真が出回っている、という噂を聞いた事はある か?」 の カールの問い掛けに、兵士達は男女問わず全員が息を呑んだ。 確かに出回っているし、実際に持っている者がいたからだ。 ま カールは兵士達のあからさまな反応を目の当たりにし、少々ガッカリして肩を落とすと続きを 話し出した。 「聞いた事がある者が多いようだな。だったら話は早い。今日我々が行う作戦は『合成写真撲 まっしょう 滅作戦』である。作戦内容は作戦名通り、合成写真を抹消する事だ。では手始めに、第一装 甲師団内にある合成写真を抹消する。合成写真を持っている者はここに持って来てくれ」 突然の指示に驚いたのか兵士達が動けずにいると、カールはにっこりと冷淡な笑みを浮かべ た。 「私とて鬼ではない。合成されたもの以外の写真は回収しない。ただし合成された写真であ れば、男女問わずどんなものでも全てここに持って来るんだ。回収されたくないからと言って、 もし隠すようなマネをしたらその時はどうなるか…わかっているな?さっさと持って来い」 カールの口調が命令口調に変わった途端、兵士達は駆け足で自室へ写真を取りに行った。 しばらくして格納庫内に合成写真の山が一つ出来上がり、カールはそれを見上げてため息を ついた。 想像以上の多さだ。 しかし今はのんびり驚いている暇などない。 ひど サラが考えたスケジュール通り事を進めないと、それこそもっと酷い事になってしまう。 しょうきゃくろ カールはヒュースと頷き合うと、兵士達と手分けして焼却炉に合成写真を放り込み、部隊を二 つに分けて基地を出発した。 おも カールの部隊が主に担当するのは大部隊である装甲師団、ヒュースの部隊はその他の部隊 てはず を回る手筈になっている。 ひき カール率いる第一装甲師団の面々は、まず最初に第二装甲師団の基地へと向かった。 今は早朝なので、まだどの部隊も基地にいるのだ。 「第一装甲師団によるご用改めだ。五分以内に部下を全員格納庫へ集合させて頂きたい」 「…は!?い、いきなり何を言い出すんだ、シュバルツ大佐?」 「聞こえませんでしたか?今すぐ兵士達を叩き起こし、格納庫内に集合させろ」 きょうはくまが 第二装甲師団の師団長に向かって脅迫紛いの通信を終えると、カールはたくさんの部下を従 えて格納庫内に入って行った。 すで うむ すると、既に第二装甲師団の面々が眠そうな顔で集まっていた為、作戦の事を伝えると有無 を言わさず合成写真を回収した。 そうして焼却炉で合成写真を全て焼くと、呆然としている第二装甲師団の師団長と兵士達を 残し、カール達はゾイドに乗り込んで次の基地を目指した。 第三以降の装甲師団の基地でも同じ事が繰り返され、それと同様にヒュースの部隊も順調に ふんえん のぼ 基地を回っていき、その日帝国各地でたくさんの噴煙が立ち上ったという… 「あと一つで終わりだな…」 またた かんがい つぶや カールは美しく瞬いている満点の星空を見上げ、感慨深そうに呟いた。 ただ今の時刻は午後十一時を回った頃。 日付が変わる前に何とか終了出来そうだ。 しかし最後に残っているのは本作戦最大の難関、帝国軍司令部。 しなん 一応ロイドには連絡してあるが、ほとんどが自分よりも上の階級の者達に命令するのは至難 わざ の業であろう。 ふる カールは何度も深呼吸してよしと気持ちを奮い立たせると、先頭に立って軍司令部内に乗り 込んで行った。 わ 「おう、シュバルツ大佐。待ち侘びたぞ」 軍司令部でカールを一番に出迎えてくれたのは、帝国軍で最高の地位にいる軍人ロイドであ った。 ほころ えしゃく 心なしか顔を綻ばせたカールはロイドに向かって軽く会釈し、彼に案内されて司令部内の巨 大な格納庫へ向かった。 かっか 「閣下、皆さんはもうお集まりですか?」 さわ 「ああ、もちろん集めておる。一体何が始まるのだと皆して騒いでおったぞ」 「ご迷惑をお掛けして申し訳ありません」 「いや、私もお前と同じ目に合ったらこういう処置をしていたはずだ。だから謝る事はない」 二人が格納庫内に入ると将官と士官が一斉にピシッと敬礼し、ロイドはカールに皆の前に出 うなが る様に促した。 カールは恐れる事なく目上の者達の前に出ると、今日一日何度も説明した合成写真撲滅作 戦の説明を始めた。 司令部にはさすがに合成写真を持っている者は少ないだろうと予想していたが、格納庫内に 山程集められた写真を見ると、カールは長いため息をついた。 年配の者までこんなものを持っているとは正直思わなかった。 しかも他の部隊と同様に、女性のものより自分のものの方が圧倒的に多かった。 それ程までに自分はそういう趣味の者達に人気があるのか、とカールは悲しさを顔に出した。 カールの様子に気付いたロイドは彼の肩をぽんぽんと叩き、第一装甲師団の面々に集められ た写真を焼却処分する様に指示を出した。 かか 「大佐、いつの時代にもそういう趣味の人間はいるものだ。しかし関わらなければいいだけの 事。お前にはかわいい恋人がいるではないか」 「……!? ご、ご存知だったのですか?」 「ああ、噂で聞いただけだがな。…正直に言うと、私はずっと心配しておったんだ。お前が人 ねら 気者なのは前から知っていたが、あっちの趣味の者達に狙われるのではないか、とね」 「……………」 しん 「しかし真に恐ろしいのは女性ファンの方だ。私も若い頃苦労したからよく知っている。彼女達 の事は詳しく調べたのか?」 「い、いえ、それはサ……クローゼ博士が担当してくれています」 「そうか…。彼女に感謝するんだな、一番ショックなものを見せないようにしてくれたのだから」 「ショックなものとは一体どのようなものなのですか?」 「私の口からは言えんな。どうしても知りたいなら彼女…クローゼ博士にお願いするといい。だ いだ が、見る時は覚悟して見ろよ。妙な幻想を抱いた女性達の思考回路は理解不能だからな」 「は、はい…」 女性ファン達は一体どんなものを制作しているのだろうか…? あいはん 見たくない、だが見てみたいという相反する気持ちがカールの脳裏で混ざり合っていた。 好奇心と言うより、怖いもの見たさ。 ひそ 今度研究所へ行った時にサラに聞いてみよう、とカールは密かに決意していた。 「ブラント中佐、こちらは全て終了した。そちらの首尾はどうだ?」 「こちらも無事全て終了しました」 「例のものの処分は?」 「もちろん完全抹消済みです」 りんじ もう 「そうか、ご苦労だった。皆に明日は臨時に休暇を設けると伝えてくれ」 「了解」 カールはヒュースとの通信を終えると、今度は共和国軍の基地へ通信を入れた。 もし何か不備があったら、今からでも共和国に出撃するつもりだ。 「よう、シュバルツ」 「ハーマン、こちらは全て終了した。そちらももちろん終わっているな?」 「ああ、何とか終わったぜ。しかし予想以上にすごい数だった。お前のも大量に出回っていた ぞ」 「ふん、こちらでもお前のが多数出回っていたぞ」 「…………そ、それってまさか俺達の…?」 「…………言ってはならない事だったな、今のは聞かなかった事にしてくれ」 「お、おう、そうする。じゃ、作戦は完了だな」 「ご苦労だった。そちらの司令部には話を付けてある、明日はゆっくり休んでくれ」 「ああ、じゃあな」 つか みじん ハーマンが気を遣ってくれたのか、サラの合成写真の話題は微塵も上らずに通信を終えた。 じんそく そうして無事全てが終わった事を確認すると、カールは部下達に帰還命令を出し、迅速に基 地へと帰って行った。 基地へ戻るともう日付が変わってしまっていたが、カールはこっそりと通信室へ向かい、国立 研究所に通信を入れた。 いつもならすぐ応答してくれるはずが今日はなかなか応答しなかったので、カールは少々心 配になったが、サラの笑顔を見るとその気持ちもどこかへ綺麗に消え去っていった。 「ご苦労様、カール。見事に一日で作戦終了したね」 「ああ。君もご苦労様」 たい 「ふふふ、私はそんなに大した事はしていないから疲れてないわ。でもあなたは大変だっただ ろうから、今日は早めに休んでね」 「…早めには休むつもりだけど、今からそっちへ行っていいかな?」 「え……今から?」 「明日は臨時に休暇を設ける事にしたんだ、だからゆっくり休む為にも、今すぐ君の傍へ行き たい」 「うん、じゃあ部屋で待ってるね。…あ、ステア達は疲れてもう寝ちゃったから、こっそりする必 要はないよ」 「ああ。じゃ、また後で」 「うん、後でね」 カールはサラとの通信を終えた途端、驚くべきスピードで格納庫へ向かい、セイバータイガー に飛び乗ると国立研究所を目指して発進した。 そうして数時間セイバータイガーを走らせ、国立研究所の正面玄関前に降り立ったカールはカ ふ ードキーを使い、中にこっそりと足を踏み入れた。 サラが言っていた通り研究所内は妙に静まり返っていた為、カールはこっそりする必要はない と判断すると、堂々とした足取りでサラの部屋へ向かった。 サラを驚かすつもりだったのでわざとノックはせず、カードキーを使って素早く室内に入ると、驚 かそうと思っていた相手が目の前に笑顔で立っていた。 「あ……こ、こんばんわ」 らくたん ぎょうぎ 落胆の気持ちが言葉に表れてしまい、カールは他人行儀な挨拶をしたが、サラは変に思う事 なく彼を出迎えた。 「いらっしゃい、カール。早かったのね」 「あ、ああ。飛ばして来たから」 「そっか。じゃ、早く座って休んで」 サラはカールをベッドに座らせると、いそいそとコーヒーを用意しようとしたが、夜中である事を 思い出し、代わりに紅茶を入れる事にした。 「はい、どうぞ。体が温まるよ」 「ありがとう」 カールは紅茶を飲んでほっと心を落ち着かせてから、軍服を脱いでサラの部屋に常備してい そで る着替えに袖を通すと、すぐには休まずに彼女に今日の事を尋ねてみようと思い立った。 今日は既に相当なショックを受け続けていた為、今の内に全てを聞いてしまった方がショック が少ないと思ったのだ。 「俺はもうしたから、今度は君に報告をしてもらおうかな」 「報告?何を報告すればいいの?」 「今日の作戦の事」 「……………」 ひざ サラは思わず黙り込むと傍の机にカップを置き、意を決した様子でカールの膝の上に座った。 「世の中には聞かない方がいい事もあるものだよ。だから言いたくない……」 「…どうしても?」 「どうしても」 「そこまでして隠さなくてはいけないような事なのか?」 なまなま 「…うん。今日あなたが見たものよりもっと生々しいもののはずだから」 「生々しい…?そんな風に言われると余計気になるな。それに君がどうやって軍の情報を引 き出したのかもずっと気になっていたんだ。今日は何としてでも話してもらう」 「やだ、絶対言わない。企業秘密だもん」 「会議の時に言っただろ?無理矢理聞き出すのも面白そうだって。だから無理矢理にでも聞 き出す」 はが じ ふさ そう言うなりカールはサラを羽交い締めにすると、彼女の口を塞いで濃厚な口づけを始めた。 始めは抵抗するつもりはなかったが、カールの手が服に伸びてきた為、サラは慌てて顔を引 き離した。 「カール、何をするつもりなの…?」 じんもん 「尋問」 「じ、尋問?」 ごうもん 「君を拷問するのは気が引ける。だから尋問する事にしたんだ」 「したんだって……あっ………ま、待って……」 すき は サラが油断した隙をつき、カールは彼女の体から服をテキパキと剥ぎ取り始めた。 おび サラは慌ててカールの手を止めつつ、訳がわからないと言わんばかりに怯えた様な目で彼を 見上げた。 「尋問するのはいいとしても、どうして服を脱ぐ必要があるの?」 「その方が簡単に口を割ると思って」 「そ、それって拷問なんじゃ…」 「拷問は苦痛を与えて口を割らせる方法だ。だが、俺は君に苦痛を与えるつもりはない。だか ら尋問だと言ったんだ」 なお 「でもそれなら尚の事、服を脱ぐ必要はないでしょ?」 「俺がどうやって尋問するつもりなのか……具体的に教えようか?」 ささや つむ カールは不敵な笑みを浮かべながらサラの耳元へ口を寄せ、わざと囁く様に言葉を紡いだ。 「君に快感を与えて口を割らせるつもりだ」 カールの甘い囁きを聞いた途端、サラはピクンッと体を震わせ、恐る恐る彼の瞳を見つめた。 |
みどり 碧色の瞳を一目見ただけで、本気だと察する事が出来た。 しかしそれに素直に従えば、彼に再びショックを与えてしまう。 ずっと秘密にしてきた情報網を教えるのは構わないが、今日の作戦の事は口が裂けても言い たくない。 そな サラは絶対口を割らないでおこうと決意すると、カールの尋問に備えて気を引き締めた。 サラの反応が予想していたものと違ったので、カールは少々驚いた様な表情を見せたが、思 すべ い切って尋問を開始しようと、脱がしかけた服の中に手を滑り込ませた。 「あ………v」 ふく せんたん びんかん 胸の膨らみの先端にある敏感な部分にカールの指が到達し、サラは小さく声をあげた。 「サラ、教えてくれ。今日君は何をしていたんだ?」 「……絶対教えない」 「そうか。…じゃあ、これでどうだ?」 おお も もてあそ カールは手で乳房全体を覆い、優しく揉みしだきながら突起し始めた部分を指で弄んだ。 「あっ…や……v カール…教えてもいいわ……。けど…軍の情報を引き出した方法だけにし て…お願い……」 「そっちはついでだ。教えてほしいのは今日の作戦の方」 「あぁ……い、いじわる………。情報の方も知りたいって言ったクセに……」 「………そんなに酷かったのか?」 「……うん、恐らく…男性ファンよりも酷いと思うよ」 あいぶ カールは乳房への愛撫を一旦中断すると、やはり知ってはいけない事なのかと悩み始めた。 こんなに恥ずかしい目に合わせているのにサラが口を割らないという事は、それ相応の内容 だったからだろう。 うる こうなったら諦めるしかないとカールは判断したが、膝の上に座っているサラの潤んだ瞳を見 ていると、尋問を続行したい気分になった。 いじ まぎ そういう変な趣味は自分にはないと信じたいが、サラを少々苛めたいと思っているのは紛れも ない事実。 結局、カールは冗談のつもりで尋問を続ける事にした。 「サラ、どんなに酷くても構わない。教えてくれ」 「やだ、ぜ〜ったいやだ!」 「じゃ、尋問を続ける」 カールは妙に嬉しそうな笑みを浮かべると、サラの腹部に手を伸ばし、そのまま下へゆっくり と移動させていった。 たど せ は やがてサラの一番敏感な部分に辿り着いたが、わざとそこは攻めずに近辺に指を這わせ始 めた。 「…はぁ……ん…v ……カール………v」 「気持ちいいかい?」 「あん…v ……あぁ……き、気持ち良くなんか…ないも…ん……」 「嘘はいけないな。…で、言う気にはなったかな?」 「な、何度聞いても……同じ事よ…。知らない方が………身の為だわ…」 「そんなに言いたくないのか…。わかった、じゃあもっと気持ち良くなってもらう」 カールはサラを強引に押し倒し、抵抗する素振りを見せた彼女の体をベッドに押さえ付ける うず と、素早く下着を引き剥がして秘部に顔を埋めた。 「あ……い…いやっ……!」 しゅうちしん こころ 最大級の羞恥心を感じたサラは必死に抵抗を試みたが、カールの舌は少しずつ確実に彼女 なか さ の膣に挿し込まれていった。 「あぅ……ん……v ふぁ…………はぁっ……vv」 おぼ サラは快感に溺れつつある意識を懸命に現実に引き戻そうと努力し、歯を食いしばってカール た の舌の動きに堪えていた。 じょじょ す しかし徐々にではあるが快感が心を支配していくのを感じると、サラは直ぐさま観念してカー ルの要求を受け入れる事にした。 「カール……言う…言うわ……。だからもう………」 「……何だ、もう終わりか」 「………え?」 「……あ、い、いや、そうか、教えてくれるのか。ありがとう」 カールは高ぶっていた気持ちを何とか落ち着かせると、サラの乱れた服を整えてやり、心の 中で小さくため息をついた。 もう少し堪えてくれていれば、最後まで行けたかもしれない。 そう考えている自分にふと疑問を抱いたカールは、当初は苛めるつもりであったが結局はた だ行為を行いたかっただけなのだと気付き、思わず苦笑いを浮かべた。 うと 素直ではない自分を心底疎ましく思う。 サラに本心がバレなかった事だけが唯一の救いである。 サラはカールの様子に気付く事なくベッドから抜け出し、机の上に大量に乗っている書類の中 から一冊のファイルを手に取って戻って来た。 「このファイルが私の作戦の成果なんだけど…覚悟して見てね、結構ハードな内容だから」 ロイドにも同じ事を言われたなと思いつつ、カールはサラからファイルを受け取ると、恐る恐る 最初のページに目をやった。 が、最初のページは目次であった。 のちのち 「本当は全部処分するつもりだったんだけど、後々何か問題が起こった時に証拠として提出 出来るように、一部だけ残してまとめておいたの。実はそのテのものの制作者…発信元は全 部女性だったんだよ。あ、そのファイルには合成写真だけじゃなく、イラスト・小説・マンガも含 まれているから」 「合成写真だけじゃなかったのか…?」 「うん。合成写真に比べたら余り出回ってはいなかったけど、そっちの方が本命だったみたい ね。しかも合成写真よりもすごい内容だったからビックリしちゃったわ」 サラがビックリする程すごい内容とは一体どんなものなのか… よ めく カールは何となくイヤな予感を脳裏に過ぎらせながら、ゆっくりとページを捲った。 するとそこには… 「な、何だこれ!?」 の 目次の次のページからはマンガが載せられていたのだが、どう考えても自分ではないと思わ えが れる絵で描かれているものであった。 しゃせん 体が妙になよっとしており、顔には常に頬を赤らめる表現の斜線が入っている。 自分ではないと言い張りたかったが、吹き出しの中に必ず自分の名前が書かれていた。 しかもよく見てみると、恋人らしき兵士と自分がベッドの上でいちゃついているという内容で、 みまが だくさん 男向けの雑誌かと見紛う程生々しい描写が盛り沢山であった。 女性が恥じらう事なくこんな細部まで平気で描写するとは…いや、そういうものが普通に出回 っている事自体が一番の問題だろう。 「何故…どうしてこんな発想が出来るんだ……?」 「う〜ん、女の子がどうして男同士のものを描きたがるのか、私にも理解出来ないの。理解し たいとも思わないけどね」 「…確かに」 う 常に自分が全裸で描かれていた為、カールは徐々に見る気が失せてくると、マンガのページ をパラパラと飛ばして小説のページで手を止めた。 小説の表紙にあたるページに、題名と共に自分の名前と見覚えのある兵士の名前が書かれ かける ていたのだが、どういう訳か二つの名前の間に『×』も書かれていた。 「サラ、これどういう意味だ?」 「あ、それはね、ステア達から教えてもらったんだけど、数式じゃないんだって。『×』の前の人 が襲う人で、後の人が襲われる人って意味らしいわ」 「変な表現をするんだなぁ…。……ん?これは…」 はさ カールは小説のページに挟まれていたメモを手に取ると、サラにそっと差し出した。 そのメモには『カール×サラ』と『サラ×カール』が並んで書かれている。 「あぁ、これは『×』の意味を説明してもらった時にステア達が書いたの」 「そうか…。しかしどうして二つも書いてあるんだ?」 「ステアはあなたが襲う側だって言うんだけど、ナズナは私が襲う側だって言い張ったの。だ から二つ書いてあるんだよ」 「……あの二人はどういう目で俺達の事を見ているんだろう?」 「さぁ、変な目で見ているのは確かでしょうね」 サラは心底おかしいといった様子でクスクス笑うと、カールから素早くファイルを取り上げた。 「これ以上見たって気持ち悪くなるだけだから、もういいでしょ?」 「ああ、そうだな」 カールは素直に頷いてみせると、ふと結局は何も教えてもらっていない事に気付き、サラの手 を握って動きを止めさせた。 「どういうものが出回っていたのかはわかった。だが、それを君はどうやって抹消したんだ?方 法を教えてくれないか?」 「そんなに大した方法じゃないわ」 「それでも知りたいんだ、教えてくれ」 ようせい 「………。…情報屋をしている人達に協力を要請したの。で、制作者の所へは私が直接乗り せいばい 込んで行って成敗したんだよ」 「……それだけ?」 「うん、それだけ。一日中付き合わせたステア達には悪い事しちゃったなって思ってる」 ひょうしぬ カールはもっとすごい事を想像していたらしく、サラの返事を聞いた途端拍子抜けした様な表 情になり、ガクッと体の力が抜けてベッドに寝転んだ。 そん 「はぁ……心配して損した…」 「心配…?私の事、心配してくれていたの?」 うすうす 「ああ。君が裏の世界に顔が広い事は以前から薄々気付いていたんだが、広いからこそ敵も 多いんじゃないかって心配だったんだ」 「そうだったの…。でも私、そんなに裏の世界と深く関わってはいないわ。父様の知り合いに たまたま情報屋をしている人が多かったってだけだもの」 「お父上の知り合いが…?何だ、そうか。それならそんなに心配しなくても良かったな」 「うん、けど……心配してくれてすごく嬉しいよv」 サラはベッドに寝転んでいるカールに抱きつくと、彼の頬を優しく撫でてから唇を重ねた。 から サラの優しい口づけを受けながら、カールは無意識に彼女の服に手を伸ばし、同時に舌を絡 め始めた。 カールの行動に驚いたサラは慌てて起き上がると、服の中に入っている彼の手を止めた。 「も、もう尋問は終わったよ」 「ああ、終わったな」 「…じゃあ、そろそろ寝ましょうか」 「俺はまだ眠くない」 「……私は眠いの。だからもう寝るわ、おやすみ」 そう言ってサラはさっさと逃げ出そうとしたが、カールがそう簡単に愛する女性を逃がすはずが ない。 ほかく カールは逃げようとするサラをすかさず捕獲し、彼女の服の中へゆっくりと手を入れた。 「あん……ダメぇ……vv」 さか あえ 愛撫が始まってしまうとどうしても逆らえなくなる為、サラはカールの手の動きに合わせて喘 ぎ始めた。 サラの色っぽい表情を見て目を細めつつ、カールはふと彼女が自分よりも疲れている事を思 い出すと、ピタリと動きを止めた。 「…そう言えば、今日はお互い疲れているんだったな」 「……うん、そうだね」 「すまなかった、無理に付き合わせて」 「ううん、無理なんてしてないよ」 はる 本人はそう言っているが、サラの方が自分よりも遙かにハードなスケジュールで行動していた はずだと確信し、カールは彼女を隣へひょいと移動させた。 サラが不思議そうな目でキョトンとしていると、カールは微笑みながら彼女の唇に自らの唇を 重ねた。 「おやすみ」 「…おやすみなさい」 今日は大変な一日であった。 つ しかし最後には愛する女性と共に休む事が出来、カールは幸せそうに眠りに就いた。 はや 『合成写真撲滅作戦』が行われた日以降、ファン達の間でそのテのものは一切流行らなくな った。 たまもの か くだ 全てはカールとサラの力の賜物であったが、代わりに二人を怒らせたら天罰が下るという神 話が誕生した。 一方、ステア達が制作したファンクラブの会報はと言うと… これまでに発行した会報の中で一番の反響があり、後日大量に再版されたという… ●あとがき● カール、あなた変ですよ!(笑) 突然怪しげな尋問が始まってしまい、自分でも驚きました。 そしてずっと直接的な表現を避けてきたのに、とうとう完璧に批判する言葉が…! 同性カップリングファンの方、本当に見ていませんよね?(弱気) 見ていたら殺されそう…な訳はないですね。 ああいう方々はどんなに批判されても我が道を突き進む根性のある人達ですから、そんなに 心配しなくても大丈夫だと信じています。 …と思いつつ、中傷メールや中傷書き込みがあったらもちろん泣きます(笑) このテの話はこれにて終了、始めに話を戻します。 カールの尋問、如何でしたでしょうか? 少々鬼畜なところを出してみたのですが、敢えなく撃沈… 完全に悪魔になりきれなかったのは作者が今川だから(爆) 余り鬼畜にしてしまうと愛が無くなりそうだなぁ…そう思って途中で止めました。 しかし何故サラは抵抗しなかったのか…?その疑問は愚問でしょうね。 男女カップリングものでも同性カップリングものでも、「受け」の立場にいる者は一切抵抗しな いのがお約束。 必死なのは口だけというお約束の鏡の様な展開でしたが、カールとサラならいいやと思ってし まう私はもうダメです(笑) 男女なら力の差で仕方ないという事に出来ますし、結局はラブラブなのだから全てOK! 愛があるからこそ出来る事だと思って下さいv ●次回予告● 帝国軍・共和国軍合同で演習を行う事になりました。 帝国軍からはカールの部隊、共和国軍からはハーマンの部隊がそれぞれ演習に参加。 が、演習の後に基地内でお祭りを開催せよと無理な命令も同時に受けてしまいます。 その為演習を短時間で済ませ、お祭りの準備に励まざるを得ない状況に陥ります。 第五十一話 「祭り〜前編〜」 今、この場でお前を叩き潰してやる! |