第四十話

「クローゼ家〜後編〜」


翌朝サラはカールより先に目を覚まし、すぐにベッドから抜け出して身支度を整え始めた。
                  のぞ
そうしてカールの寝顔を覗き込んで幸せそうに微笑み、彼の頬に優しく口づけすると、部屋か

らこっそりと出て行った。
                                                             いと   ひと
その直後、カールはサラがドアを静かに閉めた音で目を覚まし、隣にいるはずの愛しい女性

の温もりが無くなっているのに気付いて部屋を見回した。

(もう起きたのか…)

ベッドから降りると素早く服を着替え、カールはサラの部屋を後にして迷わずキッチンを目指し

た。

こっそりキッチンの中を覗くと、サラが鼻歌を歌いながら朝食を用意していたので、カールは気

付かれない様に彼女に近づき、いきなり後ろから抱きしめた。

「きゃっ…!」

サラは驚いて持っていた調味料を落としそうになり、慌ててバランスを取った。

「やだ、カール。びっくりさせないで」

カールは妙に嬉しそうに微笑んだかと思うと、サラを強く抱きしめて彼女の首筋に口づけを始

めた。

「ん…v あ………ま、待って、朝からそういう事しちゃダメ!」
          しか
サラが子供を叱る様に言うと、カールは本当に子供の様な笑顔を見せ、彼女から手を離して

ダイニングルームへ向かった。

しばらくの間カールは椅子に座って静かに待ち、そんな彼の元へサラが朝食を持って現れ、

テーブルの上に次々と並べていった。

カールはサラが席に着くのを待ってから、黙々と朝食を食べ始めた。

「カール、言い忘れていたんだけど、今日は父様の教え子さん達が来る予定になってるの」

「え…?」

カールは持っていたフォークの動きを止め、サラの瞳をじっと見つめた。

「そうか…」

頷きはしたが、見るからにガッカリとした様子のカールに、サラは慌てて笑顔で話し掛けた。

「で、でも夕方には皆帰るから、それからは二人きりだよ」
    はげ
サラを励ますつもりが励まされているとわかり、カールは嬉しい様な悲しい様な微妙な笑みを

浮かべたが、すぐに元気良く頷いてみせた。





朝食を終え、サラとカールが仲良く二人で後片付けをしていると、玄関のドアをノックする音が

聞こえた。

サラは急いで玄関先まで出迎えに行き、教え子達を客室へと案内した。

中年の男性を筆頭に、老若男女様々な人達がゾロゾロと客室に入って行き、その顔ぶれを見
                            うかが
るだけでクローゼ博士の人望の厚さが伺えた。

それからのサラは教え子達と共にお墓参りに行ったり、昼食を用意したりと大変忙しく動き回

っていた。

見兼ねたカールが手伝いを申し出てくれなければ、最後まできちんと接客出来なかったかも

しれない。
                                なご
そんなカールの協力のお陰で教え子達は和やかな時を過ごし、クローゼ博士の思い出話に

花を咲かせていた。

やがて日が暮れ始めると、教え子達は笑顔で町に帰って行き、それを見送ったサラはふぅと

一息ついて隣にいるカールを見上げた。

「カール、ありがとう。助かったわ」

「いや、礼を言われる程の事はしてないよ」

そう言いながらカールはようやく二人きりになれたと、満面の笑みを浮かべていた。

サラも同じ事を思ったらしく、二人はどちらともなく手を伸ばし、ぎゅっと握り合った。

「…少し散歩しようか?」

「うん…」

真っ赤な夕日に照らされる中、二人は広い庭をのんびりと散歩し始めた。

そうしてしばらく歩いていると目の前に大きな木が出現し、カールはそのとてつもない大きさに

驚いて、ポカンと上を見上げた。
ずいぶん
「随分と大きな木だな…」

「父様に聞いた話なんだけど、あの木は何百年も前からあそこに立っていたんだって。私のお

気に入りの場所なんだよv」

サラは嬉しそうに説明すると、突然その木に向かって走り出し、根本に到着すると同時にカー
   てまね
ルを手招きして呼んだ。

「カール、早く早くぅ」

余程気に入っている場所なのだろうと思いつつ、カールは笑顔でサラの後を追い、彼女の傍

へ歩み寄った。

サラはカールが傍にやって来ると、木にもたれて空を見上げた。

「ここでよく読書していたの」
                 なつ
サラは昔を思い出して懐かしそうに言ったが、カールは何の返事も返さず、彼女の体を自分と
   はさ
木で挟んだ。

「なぁに?」
                                                     ふさ
サラがクスクス笑いながら尋ねると、カールは彼女のかわいらしい口を塞ぎにいった。

カールに全身を木に押さえ付けられる形で口づけが始まり、サラは大人しく彼の長く濃厚な口

づけを受け続けていた。
                                                             うず
やがて口づけを終えたカールは唇をゆっくりと下へ移動させ、サラの首筋に顔を埋めた。

「あ……やん…v カール…もう暗くなってきたし………家に帰ろ……ね…?」
                                               あえ            こころ
イヤではなかったが、さすがに外では恥ずかしいので、サラは喘ぎながらも説得を試みた。

すると、カールは意外と素直にサラから離れ、にっこりと満面の笑みを浮かべた。
                                                  つな         つ
サラは何度か深呼吸して心を落ち着かせると、カールと仲良く手を繋いで家路に就いた。





家に帰るとサラはテキパキと夕食を用意し始め、出来上がると二人で談笑しながら食べ、二
                 まんきつ
人だけの楽しい時間を満喫した。

そして昨日と同じ様にカールにお風呂を勧め、その間にサラはいそいそと後片付けを始めた

が、今頃ある重要な事に気付いた。

何故カールがあれ程までにすんなりと自分から離れたのか…

いつもならもう少し先までしないと離れなかったはず…

昨夜聞いたあの言葉は、冗談ではなく本気だった様だ。

とは言え、サラは元よりそうしてほしいと願っていたので、カールがお風呂に入っている間に

心の準備をしておく事にした。

カールの全てを受け止めるには、心の準備が必要不可欠なのだ。
                   ふ
しばらくしてカールが髪を拭きながら浴室から出て来ると、サラは不自然な程急いで駆け寄

り、彼の腕をぎゅっと握った。

「カール、先に私の部屋へ行ってて」

「…え?う、うん、わかった、先に行ってる」
                                                        あ
サラが妙にそわそわしていたので、カールはどうしたんだろうと思ったが、敢えて何も聞かず

に彼女の部屋へと向かった。
                        さわ                     しんしてき
女性の部屋にあるものを勝手に触ってはいけないという、実に紳士的な考えをしていたカール
                      ぶさた
は、何もする事が無く手持ち無沙汰になってしまったが、とりあえずベッドへ横になると、ゴロ

ゴロしながらサラが来るのを待っていた。

数十分後、部屋のドアがゆっくりと開いた為、カールは何気なくそちらの方を見ると、驚いてベ

ッドから起き上がった。
             たたず
ドアの前に静かに佇むサラが、体にバスタオルを巻いただけという非常に大胆な格好をしてい

たのだ。

「サラ……どうしてそんな格好を…?」

「…昨日言ってたでしょ?明日は朝まで眠らせないって………だから……」

そこまで言うとサラは顔を真っ赤にして黙り込み、カールも黙って両手を前に出した。

カールが目で自分の方へ来る様に合図をすると、サラは小さくコクンと頷き、彼の両手に包ま

れる所まで移動した。
す                                ひざ
直ぐさまカールはサラを抱き寄せると自分の膝の上に座らせ、彼女の手を取って嬉しそうに微

笑んでみせた。

てっきりバスタオルを取られると思って身構えていたサラは、カールの行動が理解出来ずにキ

ョトンとなった。

そうしてサラがじっと様子を見ていると、カールは彼女の手を口元へ持っていき、指一本一本
      な
を優しく舐め始めた。

「あ……あぁ………v」

カールに薬指を舐められた途端、サラは感じてしまって色っぽい声をあげた。

「薬指が一番気持ちいいんだね?」
            さわ
カールが非常に爽やかな笑みを見せて尋ねてきたので、サラは思わず素直に頷いていた。

するとカールは満足気に微笑み、サラのもう一方の手を取ると、こちらも丁寧に舐め回した。
                                                     ふる
サラは気持ち良さを感じていたが、声をあげるのは恥ずかしい為、体を震わせて我慢した。

やがて全ての指を舐め終えたカールはサラの頬をそっと撫で、達成感に満ちた笑みを浮かべ

た。
                               はあく
「やっと君が気持ちいいと感じる所を全て把握出来たよ」

「…え?どうしてそんな事……」

「決まってるだろ、君を気持ち良くさせたいからさ」

そうすると入れやすくなる、と心の中で付け加えつつ、カールは笑顔のままサラの体からバス
       は                したい あらわ
タオルを剥ぎ取ると、その美しい肢体を露にさせた。
                              つか
慌てて乳房を隠そうとするサラの両手を掴み、カールは彼女を気持ち良くさせる為に早速行動

を開始した。
 たと
「例えば……ここはどうだい?」

「あん……ダメぇ…vv」
                               あいぶ             たび
カールに気持ち良い所ばかりを舌や指で愛撫され、サラはその度に激しく喘いで体をくねらせ

た。
    たわむ
ただの戯れから本当の愛撫へと移行する為、カールはサラをベッドに押し倒すと口づけを始
             つね
め、その間も指で常に彼女の体をまさぐり続けた。

「ひどいよ……私ばっかり…」

口づけを終えると、サラは泣きそうな顔をしてカールに抗議した。

が、カールが余り悪びれた様子を見せなかった為、ムッとなったサラは彼の体を思い切り力を

込めて押し、強引に隣へ押し倒すとすぐ馬乗りになった。

サラの突然の反撃に、カールは驚いて目を丸くした。

「ふふふ、形勢逆転ね。大人しくしてよ、カール」
                                  のどぼとけ
サラは心底嬉しそうな笑みを浮かべ、カールの喉仏に口づけを始めた。

サラの口づけはとても優しいものだったので、カールは気持ち良さを感じるというより、くすぐっ

たくて仕方がなかった。

「どぉ?気持ちいい?」

「ああ、気持ちいいよ。でも……」

「でも?」

「形勢逆転にはならないな」
                                わしづか
そう言うなり、カールはサラの乳房を両手で鷲掴みにした。

「やん……!」
                  ぞ                                     も
サラが思わず体をのけ反らせると、カールはそのまま彼女の乳房を優しく揉みしだき、続けて
        つま
乳首を指で摘むとクリクリと刺激を与えた。

「あっ……あぁん………v」

サラはピクンッとなって喘ぎ、その表情を見たカールは嬉しそうに目を細めた。

「サラ、悪いが俺はこの体勢でも続けられるんだ」

カールは不敵な笑みを浮かべて言うと、サラの体への愛撫を再開した。

こうしてサラはカールの上でくたくたになるまで体中を愛撫され続け、前戯が終わる頃には疲

れ果てて全身から力が完全に抜けていた。
               いきづか
カールはサラの荒い息遣いを聞きながら彼女の体を軽く持ち上げ、位置を確認するとすぐに下

ろした。
                                 なか        さ
その瞬間、カールのたくましいものがサラの膣へ勢い良く挿し込まれ、二人の体は一つに繋

がった。

「あぁ……!!」

余りの衝撃にサラは思い切り体をのけ反らせて倒れそうになったが、すかさずカールが彼女

の体を支えたお陰で倒れずに済んだ。

そうしてサラが体勢を安定させるのを見計らうと、カールは彼女の体を持ち上げて自分を入口

ギリギリまで抜き、一瞬終わらせるのかと思わせつつ再び奥深くまでねじ込んだ。
                                           ゆ
その様な行動を繰り返し行い、サラの体を何度も上下に揺さぶった。

「あっ…v ふあ……あぁ………やん……vv」
                      うる
サラは揺さぶられる度に瞳を潤ませて喘ぎ、そんな彼女の色っぽい表情を眺めながら、カー
         おぼ
ルは快感に溺れていた。

しばらくしてカールに表情をじっくり観察されていると気付いたサラは、慌てて彼の目を両手で
おお
覆った。

「い、いや………そんなに…見ないで……」

カールに感じている時の恥ずかしい表情を見られたくないらしい。
       いくど
これまで幾度となくその表情を見てきたカールは、今更何を言い出すのだろうと思ったが、恥

ずかしがるサラがとてもかわいくて仕方がなくなり、より一層激しく腰を上下させた。

「はぁ……はぁっ…vv あぁん………カール…vv」
                                                        しだい
余りに激しかった為、サラはカールの目を覆っていられなくなってしまい、次第に快感に身を

任せ始めた。

サラの両手が力無く離れると、カールは揺さぶっていた腰の動きを止め、彼女の奥深くまで自
    さ       た
分を挿し込んで溜まっていたものを放出した。

「やぁ…ん……vvv」
           なか そそ                                   あふ           だ
サラは自分の膣に注がれる熱いものを感じて身をくねらせ、カールは溢れる程たっぷり射し終

えるとふぅと一息ついた。
        や          もうとう
しかしまだ止めるつもりは毛頭無いので、次はどうやってサラを気持ち良くさせようかと思案し
                                  はやばや
つつ、ムクリと起き上がると次の行為に向けて早々と体勢を変えた。

「も、もう止めよ……ね…?」

体を一つにしたまま、起き上がったカールに抱きしめられたサラは、瞳に涙を浮かべて必死に
こんがん
懇願した。

すると、カールはサラに軽く口づけし、にっこりと爽やかな笑みを浮かべてみせた。

「今夜は朝まで眠らせないって言っただろ?本番はこれからだよ」
     いや
口では嫌がっておきながら、体はちっとも抵抗しないサラをカールは強引に揺さぶり、先程ま
        おこな
で寝転んで行っていた行為を座った状態で再開した。

しかも今度は口づけをしながらの行為であった為、サラは口と下半身の快感に完全に溺れて

いった…





その後、カールは昨夜言っていた通り、サラを朝まで眠らせなかった。
           たた
初日の我慢が祟ったのか、いつもより激しく行為を続け、サラが嫌いな後ろからの行為も無理

矢理行った。

やがて夜が明け、朝日が部屋に差し込み始めた頃カールはようやく力尽き、サラの隣にゴロ

ンと寝転ぶと彼女の様子を伺った。
     すで
サラは既に声も出ない程疲れ切っていた為、行為が終わると同時に眠ってしまっていた。

サラが眠った事を確認したカールは彼女の髪を優しく撫で、後を追う様に眠りに就いた。





翌日カールは昼過ぎに目を覚まし、ゆっくりと起き上がって大きく伸びをした。
                                   じちょう
昨夜はさすがにやりすぎてしまったなと思わず自嘲の笑みを浮かべ、ふと隣に目をやると、サ

ラが寝転んだままじっと彼を見つめていた。

「お、おはよう」

昨夜の行為が激しすぎたので、怒っているのではないかとカールが恐る恐る挨拶をすると、
                              にら
サラは無言でムクリと起き上がって彼を睨み付けた。

……やはり怒っている様だ。
珍しく怒るサラ…そしてタジタジのカール(笑)
「…もう少し優しく出来ないの?これ以上大きくなったら困るわ」

「……大きく?何が?」

「胸よ、胸!」
                      ほうまん
そう言われてカールは思わず豊満な胸を見ようとしたが、すぐにシーツで隠されてしまった。

「…大きくなったのか?」

「急激にはならないわよ。少しずつ、ね」

「余り変わらないように感じたが…?」

カールは自分の手を見ながら触った時の感触を思い出そうとし始め、そんな彼の行動にサラ
 あき
は呆れてため息をついた。

「そんなのでわかるはずないでしょ。ただ持ってるって訳じゃないんだから」

サラの言葉を聞いた途端、カールはあっという表情をして苦笑した。

確かに持ってはいない、揉んでいたのだ。
 や
「止めろとは言わないけど、今度からはなるべく力を入れないようにしてね」
                                      おもも
無理なお願いだとわかっていたが、サラが真剣な面持ちで言うと、カールは素直に頷いてみ

せ、今度から努力しようと思った。

カールの素直な返事に安心したのか、サラはにっこりと微笑んでベッドから抜け出し、腰を押

さえながらのろのろと服を着始めた。

その姿をぼんやりと眺めていたカールは、サラの胸は大きいのかなと考えていた。

今以上に大きくなったら困るという程だから、もう既に余程大きいに違いない。

ふとカールの熱っぽい視線に気付いたサラは頬を赤らめ、傍にあったクッションを彼に投げつ

けた。
                                                        とが
すると、カールがすんなりとクッションをキャッチしてみせた為、サラは口を尖らせて怒り出し

た。

「人の着替えをじっくり見ようなんて、何考えてるの!?」

「じっくりは見てない、ぼんやり見てた」

正直に言うカールに、サラはガクッとこけそうになって苦笑した。

「そ、それもダメ」

「…ダメか、わかった」

カールはすぐに見るのを止め、ベッドから立ち上がると身支度を整え始めた。
                              さと                いだ
そうして自分で考えても答えは出ないと悟り、着替えながら先程抱いた疑問をサラに何気なく

尋ねてみようと思い立った。

「サラ」

「なぁに?」

「君の胸って……大きい方なのか?」

「あなたはどう思うの?」

「…他の人のを注意して見た事がないから、何を基準に大きいと判断すべきかわからないな」

「それって…私の胸だけは注意して見てるって事?」

「……………」
まさ
正しくその通りであった為、カールはサラの問いに答えられずに黙り込んだ。

サラは小さく笑ってカールの傍へ行くと、彼の手を取って自分の頬にそっとあてがった。

「無理に判断なんてしなくていいよ、私のだけを見てくれる方が嬉しいわv」

カールは頬を赤らめるだけで何も答えなかったが、サラは彼の手を優しく撫でて微笑み、昼食

を用意する為に部屋から出て行った。
                                                おさ
部屋に一人残されたカールは、ドキドキしている気持ちを何とか抑え、サラからやや遅れてキ

ッチンへ向かうと、中の様子をこっそりと伺った。

キッチンではサラが慌ただしく動き回っていたが、彼女の足下がふらついていた為、心配にな
             ささ
ったカールは体を支えに行った。

「大丈夫かい…?」

「うん、平気。ありがとう」

サラは笑顔で礼を言うと、カールから離れて料理を再開した。

まだ心配ではあったが、このままキッチンにいても邪魔になるだけなので、カールは先にダイ

ニングルームへ行き、昼食が出来るのを静かに待った。

やがて料理を終えたサラがダイニングルームへ顔を出し、テーブルにテキパキと昼食を並べ

て席に着いた。
    め
「さ、召し上がれv」

「いただきます」
                      えしゃく
カールは両手を合わせて軽く会釈し、昼食を食べ始めた。
                                              ひと
サラは自分が作った料理をおいしそうに食べてくれる愛する男性の姿を幸せそうに眺め、その

熱い視線に気付いたカールはどうしたのだろうと動きを止めた。

「ん?」

「…あ、何でもない」

サラは慌てた様子で首を横に振り、パンを一カケちぎって口に放り込んだ。

カールは不思議そうな顔をしてサラを見つめていたが、またすぐに食べ始めた。

そうして二人は妙に静かに黙々と昼食を食べ、頃合いを見計らってサラは食後のコーヒーをカ

ールに差し出した。

「ありがとう」

カールは嬉しそうに礼を言ってコーヒーを飲み始め、その間にサラはキッチンへ向かうと、後片

付けをしながら彼に話し掛けた。

「ねぇ、いつまでここにいられるの?」

「……………」
  きげん
ご機嫌でコーヒーを飲んでいたはずのカールから返事が無かった為、心配になったサラは後

片付けを中断すると、ダイニングルームを覗きに行った。

「カール…?」

「……休暇は今日までなんだ」

「え…?」
                     た
「だから……夕方にはここを発つ」

「…………そっか」

サラは力の無い声で返事を返し、キッチンへ戻って後片付けを再開した。
                                                      ふる
カールはしばらく黙って手元のカップを見つめていたが、よしと気持ちを奮い立たせると、コー

ヒーを飲み干してサラの元へ向かった。

その頃サラは既に後片付けを終え、傍の椅子に座って呆然としていた。

「サラ」

カールが優しく呼び掛けると、サラはゆっくりと振り返り、とても悲しそうな表情を見せた。
   めん
まだ面と向かっては言ってくれないが、目は明らかに『淋しい』と言っている…。

そんなサラをカールは強引に外へ連れ出し、広い庭を足早に歩き始めた。

「どこへ行くの?」

「昨日行った大木の所」

カールは非常に短く答え、大木に向かってズンズンと歩いた。

程なくして大木の根本に到着すると、カールは傍にサラを座らせ、自分は地面に寝転んで大

の字になった。

「いい天気だなぁ…」
                       つぶや
カールは空を眺めてのんびりと呟き、サラも彼の隣に同じ様に寝転ぶと、青々とした空を見上

げた。

「ほんと、いい天気ね」
              まぶ
サラは太陽の光を眩しそうに見ながら、ゆっくりと目を閉じた。

サラの様子をずっと伺っていたカールは、彼女が目を閉じると同時にこっそり近づいていき、顔

を覗き込んだ。

その気配に気付いたサラがゆっくりと目を開くと、それを合図にカールは彼女の口を塞いだ。

「…また遊びに来てね」

「ああ、もちろんだ」

二人は笑顔で起き上がると、どちらともなく抱き合って互いの温もりを感じ合った。
                                                        まちはず
そうして夕方まで抱き合ったまま過ごし、空が赤く染まり始めた頃、二人は町外れに置いてあ

るセイバータイガーの元へ向かった。

すぐにカールはセイバータイガーのコックピットへ乗り込むと、下にいるサラに声を掛けた。

「じゃ、また」

「うん、またね」

互いに短い言葉で挨拶を交わし、カールはセイバータイガーを発進させて帰って行った。
                               かなた
サラはセイバータイガーの姿が地平線の彼方に見えなくなるまで、ずっとその場に立ち尽くし

ていた…










●あとがき●

またまた表現力の無さが浮き彫りとなるデキに…
いつもよりは大胆に話を展開させたつもりなのですが、ここぞという所で逃げの表現が入り、
自分でも「これって性描写なの?」と疑問を抱きたくなる内容になってしまいました(笑)
完全な性描写を書くのは難しい上に、徐々に愛が無くなりそうな予感がするので、現時点で
はこの程度に止めておきたい、というのが正直な感想です。
カールの勉強家な所だけわかって頂ければ万事OKです。
そう、カールは全てを把握したのです!(何を?は禁句v)
これからは技術が必要な事にも挑戦していくのではないか、と予想されます。
でもカールだけでなく、サラにも頑張ってもらいたいと思っています。
ああいう事は双方が協力し合わなくては成立しませんからv
しかしサラには心配事があります。
カールと体を重ねる事によって、既に大きい胸が更に大きくなっているのです。
実はG→Hにサイズが変わりつつあります。
これは女性にとって大問題なのですが…カールはわかっていないと思われます。
大きくても小さくても、サラであれば何でも良いらしいです。
サラもカールなら全て許してしまうので、現状のまま突き進んでいくでしょう…
何もかも愛のなせる業、そう思いながら二人を見守って下さいvv

●次回予告●

忙しい毎日を送っているカールとは対照的に、サラは研究が一段落したので第一装甲師団の
基地へ遊びに行く事にしました。
迎えの者を手配すると、研究所にやって来た軍人はカールと同じ瞳の色をした男性。
しかも妙におしゃべりで、サラは終始戸惑ってしまいます。
ついにあのキャラが爽やかに登場!!
第四十一話 「弟〜前編〜」  …これからもカールの事、よろしくね