第二十一話

「前線」


カールはサラとの温泉旅行から基地へ帰ると、急に忙しい毎日を送る様になった。

これまで月に二、三回あった休暇が完全に無くなり、サラに会いに行くどころか、連絡すら取

る事が出来なくなった。

何故こんなにも忙しくなってしまったのかというと、最大の要因は帝国軍元帥プロイツェンの存

在にあった。

先日から皇帝の病状が思わしくなく、今や摂政の地位となっているプロイツェンが帝国の全て

を任されている、と言っても過言ではない。
        がぜん
そうなると俄然張り切り出すのは主戦派の将校達で、これまで秘密裏に行ってきた軍備の強
                                                   お
化を表立ってする様になり、共和国との戦争に向け、着々と準備を推し進めていった。
                         す                 たび
もちろん和平派である宰相達は直ぐさま反発したが、その度にプロイツェンは皇帝の名を出

し、彼らを黙らせると共に少しずつ確実に弾圧を続けていった。
            すで
時を同じくして、既にプロイツェンの手に落ちてしまった軍司令部から命令を受け、帝国軍各

部隊では毎日慌ただしく軍備が整えられ、演習も今まで以上に行われる様になった。





そんな日々が数ヶ月程続いたある日、カールは司令部からある作戦の指揮をせよとの命令を

受けた。

余り気は進まなかったが、忠誠を誓う皇帝と帝国軍人としての誇りの為、カールはその命令

を引き受けざるを得なかった。
        ちょくめい
司令部から勅命を受けた日の夜、カールは部下の目を盗んで通信室へ向かい、急いで通信

機を操作した。
                     いと
すると、思ったよりすぐ彼の愛しい人の姿がモニターに映った。
     かす        たた
サラは微かな笑みを湛え、カールを見つめたまま何も言い出せずにいた。

数ヶ月振りにカールの笑顔を見る事が出来、嬉しさで胸がいっぱいになってしまった為、言葉

が出なかったのだ。

その想いはカールも同じで、二人はしばらく黙って見つめ合った。

「……久し振りだね」

「うん、久し振り……」

「連絡出来なくてすまなかった」

「ううん、いいの。気にしないで」

サラはにっこりと微笑み、首を横に振ってみせた。

今こうして話せるだけで、二人は互いに幸せを感じていた。

「…研究は順調かい?」

「ええ、お陰様で。あなたの方はどう?体調崩したりしてない?」

「ん、俺は大丈夫。こう見えても体は丈夫なんだ」

「そう、良かった…」

サラはほっと胸を撫で下ろしたが、カールは何故か悲しそうな表情になり、重い口を開いて話

を続けた。

「……今度、国境で行われる演習の指揮を任される事になった」

プロイツェンの動きを大体把握していたサラは、その演習が何の為に行われるのかをすぐに
                  あ
察する事が出来たが、敢えて詳しく尋ねようとはしなかった。

「そうなんだ……、気を付けてね」

「ああ、ありがとう…」

二人は互いの想いがわかっていたからこそ、多くを語らなかった。

そして最後にサラは満面の笑みを浮かべると、極力明るい声で言った。

「また研究所へ遊びに来てね」

「ああ。行くよ、必ず……」

カールは頷きながら、心からそう思った。

こうしてサラとの短い通信を終え、カールは足早に通信室を後にしたのだった。



                           *



カールが指揮を任された作戦とは、帝国と共和国の国境に位置する中立地帯・レッドリバー

から、共和国の首都へ侵攻するというものであった。
                                                   てはず
名目上は演習の形を取って出撃し、そのまま共和国領に攻め込む手筈になっている。

既にレッドリバーに程近いドラゴンヘッド要塞へは先行部隊が向かっており、共和国側も帝国

軍の動きを察知しているだろう。

それなりの態勢を整えられているはずなので、かなり大規模な戦闘が起こると予想された。

カールはドラゴンヘッド要塞へ向かう道中、何とか戦いを避ける方法はないかと胸中で思案し

続けていた。

そうして先行部隊よりやや遅れて要塞入りしたカールは、きちんと整列して敬礼するたくさん

の兵士達に出迎えられた。

副官であるマルクスは先行部隊と共に先に来ていた為、要塞内を全て把握しているらしく、カ

ールを司令室へと案内した。

それから程なくして、カールはマルクスから戦闘態勢が整ったとの報告を受けたが、すぐには

出撃の指示を出さなかった。
      しび
すると、痺れを切らしたプロイツェンから通信が入り、カールは内心やれやれと思いながら応

答した。

「シュバルツ少佐、何故まだ侵攻を開始しないのかね?」

「……何故今、共和国領に攻め込む必要があるのでしょうか?その理由をお聞かせ下さい」

「その理由を教える前に、一つだけ訂正しておく。現在このエウロペ大陸には、我が栄光ある
                      すなわ
ガイロス帝国しか存在しない。即ち、全ては我らの皇帝陛下のものであるという事だ。奴らは
         はんきひるがえ
我が帝国に反旗を翻す反乱軍でしかないのだ」

「…異論はありません」

「今回の侵攻作戦の目的は反乱軍の排除である。よって、開戦を名義する必要も無ければ、
      いと
開戦と意図する事も無意味だ。我々に敵対する明確な意志があれば、それだけで充分な理

由となる」

反乱軍の排除と言えば、まるで帝国側に正義がある様に聞こえるが、カールにしてみれば、

プロイツェンの言い分はただ戦争を起こしたいと言っているだけに聞こえた。
                                                         さかて
カールは戦争を起こす気など毛頭無いので、わざとプロイツェンの言い分を逆手に取る様な事

を言い出した。

「了解しました、プロイツェン閣下。その趣旨を理解した上で、彼ら反乱軍が攻撃を開始した時

のみ、我々は先陣を切る事に致します」

「…何?」

「我々に敵対する意志ありと明確に判断するには、その時以外ありません」
                    そうめい
「シュバルツ少佐…。君が聡明な男なら、私の意志は即ちツェッペリン皇帝陛下のご意志で

あると、充分理解しているはずだが?」
               たいがい
皇帝の名を出せば、大概の軍人がプロイツェンに従ったのだろうが、カールは違う。
 あいにく                                       すうこう
「生憎、私は前線の一将校でしかありません。元帥閣下の崇高なるご意志を理解するには、

まだまだ未熟者であります」
                               すべ          いず              お
「……。良かったな、私は皮肉を聞き逃す術を知っている。何れにせよ、戦場に於ける君の判

断は尊重しよう。しかし後日、君の責任が問われる事を念頭に置いて行動したまえ」

「はっ」

カールが敬礼してみせると、プロイツェンは即座に通信を切った。

カールの軍人としての能力は認めているが、自分に従わない人間は簡単に切り捨てる。

それがプロイツェンのやり方だ。

真っ暗になったモニターを見つめつつ、カールはどんな処罰でも受けようと思っていた。

自分一人が何らかの処分を受けるだけで、無意味な戦闘を避ける事が出来るのであれば、

それに越した事はない。

プロイツェンに黙って従うくらいなら、帝国軍人として誇りある行動をし、処罰を受ける方が断

然良い。

「よろしいのですか、少佐?」

傍でプロイツェンとのやり取りを聞いていたマルクスがそう尋ねてきたので、カールはうっすら

と不敵な笑みを浮かべて答えた。

「構わないさ。我々が忠誠を誓うのは皇帝陛下だけだ、決してあのプロイツェンなどではない」

「ですが、少佐。プロイツェン閣下は本当に責任を取らせるつもりですよ?」

「軍人は責任から回避してはいかんのだよ、マルクス。覚えておくがいい」
      たんたん
カールは淡々とした口調で言いながら、傍の机の上に乗っている鉢植えをそっと触った。

その鉢植えには一輪の黒百合が植えられており、ある人物からカールに無理矢理プレゼント

されたものだ。

余り適当に扱うと後々その人物から何を言われるかわからない為、こんな所にまで持って来

てしまった様だ。
                      かか
カールは鉢植えを大事そうに抱え、ダークホーンに乗り込んで前線へ向かった。




                          し
目前には共和国軍が防衛ラインを敷いているのが見えたが、何を思ったのかカールは突然キ
            さっそう
ャノピーを開け、颯爽と立ち上がった。

「全軍、別命あるまで待機せよ」

そう指示を出すなりカールはダークホーンから飛び降り、その光景を見たマルクスが慌てて止

めに入った。

「少佐、危険です!」

「構わん。もし私が撃たれたら、それこそ元帥閣下のお望み通り、開戦のキッカケに出来るだ

ろう」
       は
カールは吐き捨てる様に言い、非常に落ち着いた足取りで共和国軍の方へ向かった。

すると、共和国側からも指揮官と思われる男性がやって来て、二人は両軍の丁度中間地点
  たいじ
で対峙した。
ハーマン初登場!
まず先に口を開いたのは、共和国軍の男性であった。

「何の用だ?」

「私は帝国軍第四陸戦部隊少佐、カール・リヒテン・シュバルツ」

「俺は共和国軍レッドリバー戦線第一中隊隊長、ロブ・ハーマン大尉だ」

「…ハーマン大尉、これは何のつもりだ?中立地帯に戦闘部隊を配置するのは、停戦条約に

違反している」

「それはお互い様だろ?大体あんたら帝国軍がドラゴンヘッド要塞から出て来るって事は、俺

達の首都を攻略する為と考えるのが普通だ。だとしたら、防衛ラインを確保しておかないとな」
              もくろ
やはり、帝国側の目論みは全て見透かされていた。

しかしカールはそうなる事を予測していたので、戦闘を回避する為になるべく相手を刺激しな

い様にやんわりと話を続けた。

「我々はあくまでも演習の為にここに滞在している。君達の首都を攻撃しようなどとは考えて

いない」

「そうか、では演習が終了したら帰ってくれる訳だ」
                                                                   こわ
ハーマンの言葉を聞いた途端、普段は全くと言って良い程動じないカールの表情が少し強ば

った。

帝国側の主張は全く信用されていないらしい。

これまでの戦いの歴史を思い返すと、そう思われてしまうのは無理のない事であった。

「それまでは俺達もここに駐留する、以上だ」

ハーマンに一方的に話を終わらされてしまったが、カールはきちんと敬礼してから自軍へと戻

って行った。

(ロブ・ハーマン……。食えん男だ…)
       ものお                                           いだ
終始全く物怖じしない態度であったハーマンに、少なからず感心の念を抱きながら、カールは

ダークホーンに乗り込んで空を見上げた。

(何事も起きなければいいが…)
                                    にら
このまま共和国側の援軍が到着するまで、この睨み合いを続ける事が出来れば、戦闘は起

きないだろう。

どうやらハーマンも同じ事を考えているらしく、両軍は睨み合ったまま一切動かなかった。





丁度その頃、人知れず要塞に戻っていたマルクスはこっそりと通信室へ行き、プロイツェンと

秘密裏に連絡を取り合っていた。

プロイツェンはマルクスに少佐昇進を約束し、戦闘を起こさせる為の密命を下した。
           くら                                 ひそ
出世欲に目の眩んだマルクスが断るはずもなく、その密命を密かに実行に移すのだった。




                                           かたむ
睨み合いを始めてから数時間が経過し、太陽が西の空に傾き出した頃、何の前触れもなく共

和国側から一機のプテラスが姿を現した。
                                  せんかい
そのプテラスは少しの間だけ帝国軍の上空を旋回したかと思うと、いきなり攻撃を仕掛けてき

た。

「反乱軍が攻撃してきました!迎撃の命令を!!」

「バカな…!」
                                          ゆくえ
カールは慌てて通信してくる部下を無視し、プテラスの行方を目で追った。

プテラスは少しの砲撃の後、帝国領へ飛び去って行った。
                                          よ
その瞬間、カールはあのプテラスがプロイツェンの手に因るものだと確信した。

「プロイツェンめ、仕組んだな…。そうまでして戦わないと気が済まないのか、あの男は…!」

カールが怒りで歯を食いしばっていると、マルクスが妙に落ち着き払った様子で通信を入れて

きた。

「少佐、攻撃を開始します」

「…やむを得ん、全軍攻撃を開始せよ!」

カールは悔しそうに指示を出し、彼の声を合図に帝国軍は一斉に攻撃を始めた。

「敵は数が少ない。ゾイド一機ずつに攻撃を集中しろ、各個撃破だ!」

攻撃が始まってしまえば、もう停戦などと言っている場合ではないので、カールは次々と的確

な指示を出した。
                                             あせ
ゾイドの数を見る限り、帝国側が圧倒的に有利であったが、焦らず確実に共和国軍のゾイドを

減らしていった。

しばらくすると共和国軍が少しずつ後退し始め、それに合わせて帝国軍は前進し、攻撃の手

を休めようとはしなかった。

「戦い始めた以上、負ける訳にはいかない…」
           ふる           つぶや
カールは自分を奮い立たせる様に呟き、進軍を続けた。

このまま共和国領内に攻め入れば、ついに全面戦争が始まってしまうだろう。

これまではなるべく戦闘を避けてきたカールだったが、ここまで状況が悪化してしまうと、もう

どうする事も出来なかった。





そうして攻撃を続けていると、戦闘の真っ最中だというのに突然マルクスから通信が入った。
                               つな
レッドリバー上流にある帝国と中立地帯を繋ぐ橋、ファイアーブリッジが破壊されたとの報告で

あった。

その報告を聞いた瞬間、カールはふと肩の力を抜き、にやりと笑った。

ファイアーブリッジとは、帝国軍がレッドリバーを渡る為の唯一の橋。

侵攻する上で絶対必要不可欠なもの、いわば生命線。

それが破壊されたという事は、帝国側の後続部隊が続けて侵攻するのは不可能となる。

そうすると、カール達の部隊も撤退せざるを得なくなるのだ。

「ファイアーブリッジが破壊された、か…」
                     しわざ
「はい、敵の破壊工作員の仕業と思われます」

「そうか…。では撤退しよう」

カールの即決にマルクスはわざとらしい程驚き、すぐに抗議し始めた。

「な、何故ですか!?今は我々の方が優勢です!このまま攻め続ければ、共和国内部にま

で入り込む事が出来るのですよ!?」

「…その前に共和国の援軍が来る。その時になって撤退したのでは遅いのだ」

「し、しかし……」
          こう
「前線の兵は功を焦ってはいかんのだよ。…マルクス、撤退だ」

「はっ…」
        しぶしぶ
マルクスは渋々頷き、全軍に撤退の指示を出した。

帝国軍が撤退を始めると、共和国軍は動きを止め、その様子を静かに見守った。

撤退する帝国軍の中で、カールは逆走するゾイド、シールドライガーとグスタフに出会った。

どうやら彼らがファイアーブリッジを爆破した破壊工作員らしい。

「感謝するぞ、シールドライガーのパイロット。今度会う時は正々堂々戦おう」
            す
カールは彼らと擦れ違ってから、そう呟く様に言った。





こうして中立地帯であるレッドリバーでの戦いが終わり、ファイアーブリッジが修復されるまで

はここが戦場になる事はないだろうと、カールだけでなくハーマンも思うのだった。



                           *



ドラゴンヘッド要塞から第四陸戦部隊の基地へと帰還したカールは、人目を気にせず足早に

通信室に向かった。

無事に帰った事を、早くサラに伝えたかったのだ。
はや       おさ
逸る気持ちを抑え、慎重に通信機を操作するとモニターにサラの姿が映り、カールは思わず

笑顔になっていた。

「お帰りなさい」

「ただいま」

「良かったね」

「ああ」

やはりサラは情勢をよく知っている、とカールは思った。

何も言わなくても、全てを理解していた。

しかし細かい所までは聞こうとせず、サラはカールの無事を心から喜ぶのだった。

「……あ、そうだ。サラ、これを見てくれ」

カールは思い出した様に言うと、ある映像を研究所へ転送し、その映像を見たサラは満面の

笑みを浮かべた。

「これってオーガノイドね」

「やはりそうか。前に君が話していたゾイドによく似ていたから、映像を記録しておいたんだ」

「ありがとう、すごく嬉しいv」

サラは誰にも言わずに進めていたオーガノイドの研究の事も、カールには全て話していた。

何もかも全く隠そうとしないカールに対し、自分も隠し事はしないでおこうと思ったらしい。

サラはモニターに映っている銀色のオーガノイドをまじまじと観察し、うっとりとした表情になっ

た。

「綺麗な子ねぇ…。確か共和国側のオーガノイドって、少年と行動を共にしているって聞いた

んだけど、このシールドライガーのパイロットがその少年なのかなぁ?」

「えぇ!?少年が乗っていたのか!?」

「うん、そうらしいよ。そんなに驚く程の事じゃないわ。帝国のオーガノイドだって少年と一緒に

行動しているし。レイヴンって子、知ってるでしょ?」

「ああ、彼も一応軍に所属しているから、何度か会った事はある。ただ、ゾイドに対して極端な
けんおかん
嫌悪感を持っているらしくて…、俺は余り良い印象を受けなかったな」

「そぉ?私も会った事あるけど、すごく良い子だったよ。…まぁ、自分の気持ちを素直に表現出

来ない性格みたいだけど」

「良い子…か?」

「うん、私には優しく接してくれたよv」

「…………」

サラが嬉しそうにレイヴンの話をするので、カールは少し腹が立って黙り込んだ。
                                                                みどり
その様子に気付いたサラは身を乗り出し、モニターに顔を近づけると、カールの美しい碧色の
   のぞ
瞳を覗き込んだ。
                         や
「カール、あなたひょっとして……妬いてるの?」

「…い、いや、妬いてなんかいない」

「ふふふ、レイヴンはまだ子供だよ?心配しなくても大丈夫v」

「だ、だから、俺は別に…」

サラはドギマギするカールを微笑ましく思いながら、ハッキリとした口調で言った。

「私が好きなのは、あなただけよ」

サラの言葉を聞いた途端、カールの顔が耳まで真っ赤になった。

「俺も……君だけだ…」
                                                                   ごま
カールが小声でポツリと言うと、今度はサラの顔が真っ赤になり、二人は互いの照れを誤魔

化す為、すぐに微笑み合った。










●あとがき●

やっとアニメ1話以降のお話です。
セリフを書き出すのは非常に苦労しました(DVDが無かったら無理だったかも…)
レッドリバーの戦い……カール初登場の回でしたね。
でも私の小説ではハーマンが初登場する回となりました。
本編の主人公であるはずのバンやフィーネ、ムンベイ達は姿さえも現さず(笑)
辛うじてジークやシールドライガー、グスタフは登場しました。結局ゾイドだけって事ですね。
バン達が出て来るのは、果たしていつになる事やら…
そしてまたまた苦悩するカール。
そんな彼に妙にときめいてしまいますv(変態か…?)
それに加えて今回、カールが珍しくヤキモチを焼いていました。
子供にヤキモチなんて焼くなよと思いましたが、全てが初めての彼にとっては、相手が子供で
も過敏になってしまう様です。
カールって本当に気苦労が多いですね(笑)
シュバルツファンの間では、この回は黒百合が一番の焦点になっていましたが、私の小説で
も当然焦点になっています。
カールが何故要塞にまで黒百合を持って来たのか、その理由もきちんと考えました。
考えないと、ただの変な人になってしまいますから(笑)
そのお話は後々出て来ますので、お楽しみに。

●次回予告●

レッドリバーでの戦いの後、カールは久々に国立研究所へ向かいます。
ただし休暇を取った訳ではないので、短時間しかサラに会えません。
カールは急いで用件を済ませ、サラを抱きしめようと考えました。
彼の用件とはサラに預かりものを頼む事。
預かりものとは例の黒百合。
サラは快く引き受けてくれ、カールは嬉しさで思わず彼女を抱きしめます。
第二十二話 「花」  一輪だと…何だか淋しそうだから……