第十九話

「旅行〜中編〜」


二人きりでの旅行。初めての夜を迎えた…




                                                   すず
入浴を済ませて浴室から出ると、サラは寝室の横にあるベランダへ涼みに行った。

その少し後にカールもベランダへやって来たが、サラは夜空を見上げたまま彼の方を見向きも

しなかった。

カールはサラが自分を見てくれる様に、彼女の頬を優しく撫でて自己主張してみた。

すると、サラはクスリと小さく笑って振り返り、その仕草に見とれたカールは手を止められなく

なって頬を撫で続けた。

「ん……くすぐったいよ………」
                                  や
サラはカールの手を取り、何とか撫でるのを止めさせた。
            かんぱつ
しかし、カールは間髪入れずにサラを抱き寄せ、強く抱きしめた。

「苦しいよ、カール…」

サラが非難の声をあげると、カールは嬉しそうに一層強く彼女を抱きしめた。

「もぉ〜、いじわるぅ〜」
                    のが
サラはカールの腕の中から逃れようとジタバタもがいた。
                               ゆる
が、予想に反してカールがすんなりと力を緩めたので、サラは驚いてバランスを崩し、慌てて
       つか
彼の腕に掴まった。
        ねら
その瞬間を狙い、カールはサラに軽く口づけをした。

突然の出来事にキョトンとしているサラをカールは再び抱き寄せ、今度はしっかりと唇を重ね

た。

「………ん
…」

今度の口づけは今まで交わした事のない口づけだった為、サラは思わず目を見開いたが、し

ばらく続けている内に気持ち良くなって目を閉じた。
                             みずか                   から
カールは口づけをしながらサラの口中に自らの舌を入れ、彼女の舌に絡ませていたのだ。

サラは頬を真っ赤にして、カールの情熱的な口づけを受け続けた。

だが、カールがなかなか口づけを終えようとしないので、サラは彼の体を強く押して抵抗し、無

理矢理止めさせた。

「長すぎ、るよ…!」
        うる          ふく
サラは瞳を潤ませつつ頬を膨らませて怒ったが、カールは悪びれた様子を見せず、嬉しそうに

微笑んでみせた。

ついつられてサラも微笑むと、カールは唐突に笑うのを止めてしまい、真剣な表情で彼女の瞳

を見つめた。

急にカールの様子が変わった為、サラもドキッとなって瞳を見つめ返していた。

「サラ」

「……何?」

「……………」

カールはそれ以上言葉を続けられず、言わなくてもわかるだろうと、寝室にあるベッドを見てか

ら再びサラを見つめた。

目の動きだけでカールが何をしたいのかわかったが、きちんと言ってほしかったので、サラは

プイとそっぽを向いた。

「ハッキリ言わないならダメ」

サラがつれなく言うと、カールは彼女の腕をぐいと引っ張り、自分の方へ顔を向けさせた。
                                                   みどり
その力強さに驚いたサラは見ないでいようと思っていたのに、思わず碧色の瞳を見上げてい

た。

「……君を…抱きたい」
                    みす
カールはじっとサラの瞳を見据え、自分の思いをハッキリと伝えた。

すると、サラは天使の様な笑みを浮かべ、コクリと頷いてみせた。

「うん、いいよ」

サラの返事を聞いた途端、カールは嬉しさの余りすぐ彼女を抱き上げ、ベッドへ直行した。
                                                ば
そしてサラをベッドにコロンと寝かせ、その上にカールは四つん這いになった。

「カール…」

「ん?」

「あのね……えっと…あの………私、初めて…なの……。だから………」
                                                    ひたい
サラがもじもじしながら初めてである事を告白すると、カールは彼女の額にそっと口づけし、に

っこりと微笑んでみせた。

「俺もだ、だから大丈夫」

口づけですら初めてだったのに、わざわざ経験が無い事を言う必要も無かったが、サラが緊張

の為に混乱しているのだと感じたカールは、彼女を落ち着かせようと優しく頬を撫でた。





そう言えばそうだった…





ようやく互いが何の経験も無い事を思い出したサラは、安心して照れ臭そうに微笑んだが、ふ

と初めて同士なら余計に大丈夫ではない様な気にもなった。

そんな話を学生の頃聞いた事がある様な、ない様な……

今はもう思い出せそうにない。

しかしカールの笑顔を見ているとその不安もすぐに消え去り、彼の言う通り大丈夫だろうと思

えた。

サラが深呼吸してからコクンと頷いてみせるとカールも同じ様に頷き、彼女の服にゆっくりと手

を伸ばした。
                                                                あらわ
サラは薄手の服を一枚しか身に着けていなかった為、それを脱がせるとすぐ白い肌が露にな

った。
                あか                            したい
ベッド脇にある小さな灯りと、窓から差し込む月の光がサラの肢体を美しく照らし、カールはそ

の美しさに呆然となって見とれた。
                                            ほどこ
豊満な乳房や細くくびれた腰、全てがまるで巧妙な細工が施された宝石の様に美しかった。

これまで誰にも触れられていない、清らかな体。

よく考えるとカールもそうなのだが、今は自分の事などどうでもいい。




                    ひと
目の前に横たわる愛する女性、そしてその清らかさ。
             ちゅうちょ
触れるのに、少々躊躇してしまいそうだ…。





カールが見とれたまま動かないでいると、サラは恥ずかしそうに胸の膨らみを手で隠した。

「恥ずかしいから……そんなに見ないで…」

「す、すまない」

とりあえず謝って気を取り直し、カールは乳房を隠しているサラの手を取り、ベッドに押さえ付

けた。

そうしてすぐにサラの耳たぶを口に含み、首筋に何度も口づけし始めた。

……」
            はし
サラはシーツの端をギュッと握り、余り声をあげない様に我慢していた。

どんなに好きでも、感じている声を聞かれるのはやはり抵抗があるらしい。
                                      ささや
その様子に気付いたカールは、サラの耳元で優しく囁いた。

耳元で言う方が、比較的容易に聞き入れてくれる気がしたのだ。
力を抜いて…
「サラ、緊張しなくていい。力を抜いて…」

「わかってるけど……すぐには出来ないよ…」
                                                た
サラがいつも以上にかわいらしい仕草で言ったので、カールは堪えられなくなり、再び彼女の
         うず
首筋に顔を埋めた。

しばらく軽い口づけを続けながら、カールは手をそっとサラの乳房に伸ばし、壊れ物を扱うかの
        も
様に優しく揉み上げた。

どういう表現をすれば良いのかわからないくらい、温かくて柔らかかった。

「あっ………ん……」

サラは初めて味わう感覚に戸惑いながらも、体に伝わる快感で思わず色っぽい声をあげ、ピ

クンと体を震わせた。
                                                       あいぶ
その声に気を良くしたカールは、それならとサラの乳房を手と舌を使って愛撫し、彼女の緊張
  と
を解きほぐそうと努力した。

「は…………あぁ……」
                       くまな
カールの手や舌が乳房全体を隈無く動き回り、サラは声をあげないでいる事に限界を感じる
   といき  も
と、吐息を漏らして体をくねらせた。
                                                すみずみ
やがてカールは乳房への愛撫を中断し、今度はサラの体全体を隅々まで愛撫し始めた。




                                                            かしょ
そうしてカールが夢中でサラの体を愛撫していると、彼女が声を大きめにあげる箇所をいくつ

か発見した。

それらは恐らく、サラが特に気持ち良さを感じる所だと察したカールは、もっと探し出そうと体

への愛撫をより一層激しくした。
                             けんこうこつ
鎖骨、乳房、脇の下……背中に回って肩胛骨や背骨まで………

全てを、カールは優しく愛撫し続けた。
                                     あえ
サラはカールの手や舌の動きに合わせて何度も喘ぎ、確実に今後の参考となる程彼に気持

ちの良い所を教える事となった。
                                            は
数分後、ふと意識が現実に戻って来たサラは、先程まで穿いていたはずの下着を脱がされて

                   ほぐ

いる事に気付き、緊張が解れつつあったはずが驚きの余り体を硬直させた。





恐い……





しかもそれに追い打ちを掛ける様に、カールは強引にサラの足を大きく広げさせ、露になった
うちもも な
内股を舐め始めた。

途端にサラは恐怖を感じ、カールの頭を押して自分から引き離そうとした。

「い、いや……!」

カールは少し驚いた様な表情を見せたがすぐ笑顔に戻り、再びサラの内股を舐め出した。

どうやらここも、サラの気持ちの良い所らしい。

足を完全にカールに押さえ付けられていた為、サラは一切抵抗出来ずに喘ぐしかなかった。

サラの体からは確実に緊張が抜けつつあったが、カールの愛撫は休む事なく続き、とうとう彼

女の秘部に行き着いた。

「やっ……!」

サラは恥ずかしさの余り、先程と同じ様にカールの頭を押して体から引き離そうとしたが、何

故か手に力が入らず、されるがままになってしまった。

これまでの愛撫で、体から急速に力が無くなっていた様だ。
                                        しゅうちしん
カールは今まで以上に夢中になって秘部を舐め回し、羞恥心を忘れさせる程サラに何度も声

をあげさせた。
                     なか                                         ぞ
その内カールの舌がサラの膣へと吸い込まれていき、サラは堪え切れずに体をのけ反らせ、

初めて大声で喘いだ。

サラの緊張を解す為なのか、何でもきっちりしなくては気が済まない性格からかはわからない
                         しつよう
が、カールはじっくり時間を掛け、執拗に彼女の体を愛撫し続けたのだった…





やがて一時間にも渡る前戯が終了し、サラは緊張するどころか、体の全ての力が抜けてぐっ

たりしていた。

その傍で頃合いだと判断したカールは身に着けていた衣服を脱ぎ、まだ肩で荒く息をしている

サラの足をそっと開かせた。

サラと一つになる……

今のカールには、最初の躊躇してしまった気持ちなど一切残っていなかった。
                    きゅうくつ                           なか  さ
初めてである為それ相応の窮屈さを感じつつ、自分をゆっくりとサラの膣へ挿し込んでいくと、
                         てごた
快感と同時に何かが破れた様な手応えがカールの体に伝わった。

その瞬間…

「…んぁっ!!」
                                                まゆ しか
初めて男性を受け入れた苦痛に、サラは悲鳴に近い声をあげて眉を顰めた。

自分が気持ち良くてもサラがそんな反応をした為、カールは急いで動きを止めた。
                    あふ
サラの大きな瞳から、涙が溢れ始めていた。

余程痛かったのだろう。

初めては痛いものだと聞いた事はあるが、正直これ程とは思わなかった。

サラが気持ち良くないのであれば、これ以上続けても意味がない。

気持ち良くなるなら、必ず二人で、がいい。
    せっかく
しかし折角ここまで来たのだからという思いもあって簡単には諦められず、カールはサラに尋

ねてみる事にした。

「…痛い?」

「………平……気」
                こら                                 おお かぶ
サラが必死に痛みを堪えながら微笑んでみせると、カールは彼女に覆い被さる様に体を重

ね、軽く口づけを交わした。

「すぐ良くなるはずだから、しばらく我慢してくれ」

「うん……頑張る………」

サラはコクリと頷くと、カールのたくましい背中に手を伸ばした。
                  ふともも
と同時にカールはサラの太股を掴み、なるべくゆっくりと腰を動かし始めた。

「あぅっ……んっ…………!は………あぁっ……!」
                                          じょじょ
カールの言う通り、しばらくは苦痛だけが続いていたが、徐々に快感がサラの心を支配してい

った。

そして、それと共に喜びも感じられた。
                 ひと
身も心も全て、愛する男性と一つになれたのだ。

その喜びは今まで感じた事がない程、大きなものであった。

それはカールにとっても同じ事。
   さが
男の性の為か、サラを気持ち良くさせたいと思いつつ、結局は自分が気持ち良くなる事ばか

りを考えてしまっていたが、今は心から互いが互いの事を考えて体を重ねる事が出来た。
                                        おぼ
サラもカールも、生まれて初めて味わう快感に次第に溺れていき、互いの体を激しく求め合っ

た。

カールの激し過ぎる行為にサラは何度も気を失いそうになったが、それでも懸命に彼の全てを

受け止め続けた…





その後、カールの行為は明け方まで続けられ、サラは声も出ない程疲れ切ってしまった。
        きた
軍人として鍛え抜かれた肉体を持つカールの体力は並大抵ではなく、初めてでもこれ程まで

に長く、行為を続ける事が出来たのだ。
                                                             つ
やがてカールが動きを止めると、それと同時にサラはゆっくりと目を閉じて眠りに就いた。

カールも多少は疲れを感じ、サラの寝顔を幸せそうに眺めてから、彼女の隣にゴロンと寝転ぶ

と、すぐに寝息を立て始めた。










●あとがき●

女性が管理されている18禁サイト様を見に行って勉強したのに、見事に玉砕(笑)
こういうのって、表現方法が他のシーンより難しいんですよね。
男性が管理されている18禁サイト様は…ほぼ全てが愛の無いものという印象を受けたので、
参考にはなりませんでした。
たくさん見に行った訳ではありませんが、少し見ただけで飽きました(笑)
本当に男向けなのだな、というのが正直な感想です。
女性が管理されている所でもたまにそういう傾向の所がありますが、私が見に行った所は非
常に愛がありましたv
それにしても、参考にさせて頂いた皆様は表現方法が大変美しかったです。
一つの事に対し、いくつ表現方法があるんだ!?と思いました。
私はほとんど使えませんでしたが…
これからもこういうシーンが出てくる予定ですので、もっと勉強してから使ってみようと思って
いますv
最後に、カールの影の努力のお話。
このお話を普通の小説として真面目に書いたら、きっと笑えます。
カールの影の努力…それはしっかり予習してきた事(笑)
だからサラよりも比較的落ち着いていたのです。
部下に聞いたりした訳ではなく、これまで耳に入った情報を必死に思い出した、らしい。
男の花園(イヤな表現)とも言える軍内では、そういう情報が常に錯綜しており、カールの耳に
も多少は入っていました。
軍に入り立ての頃は先輩から、少し経ってからは同期の士官、今は部下からそれぞれ様々
な情報を得る事が出来ました。
その全てを何とか思い出し、本番に挑んだという訳です。
相変わらず勉強家だね、カール(笑) 全てはサラの為、なのでしょうねvv

●次回予告●

とうとう身も心も一つになる事が出来たカールとサラ。
翌日もその喜びで胸がいっぱいになります。
初めての旅行は本当に思い出深いものとなりました。
そして、研究所へ帰る時間が近づいてきます…
第二十話 「旅行〜後編〜」  もう少し…このままで…