第七十七話
「酒宴」
マユ破壊作戦失敗の事故処理は予想以上に早く済み、カールは休む間を惜しんで第一装甲 師団の立て直しに着手した。 先の戦闘により、第一装甲師団にも犠牲者が出ていたので、戦力の補充の為に他部隊から 実力のある兵士が第一装甲師団に異動となった。 第一装甲師団は帝国軍の中心となるべき部隊。 いつでも最高の戦力で対応出来る様に、常に万全の態勢にしておかなくてはならない。 立て直しの最中に、帝国にて首脳会議が行われる事になったが、残念ながら第一装甲師団 は警護に参加出来なかった。 会議後の報告によると、共和国大統領ルイーズに危険が迫ったらしいが、ガーディアンフォー スの働きで何とか難を逃れたそうだ。 ジェノザウラー戦後、無事戦線復帰したアーバインと、死につつある彼のゾイド・コマンドウル フから戦闘データを移植した、ライトニングサイクスという超高速ゾイドの活躍のお陰である。 アーバインの復帰、そして新ゾイド・ライトニングサイクス投入…この二点においては、小さくて も希望がある事を感じられた。 オーガノイドを使う謎の者達の事は気掛かりだったが、今は部隊の立て直しに力を入れねば ならないとばかりに、カールは懸命に働き続けた。 人員もゾイドも必要なだけ揃え終え、カールがようやくほっと一息入れていると、そのタイミン グを見計らっていたのか、ヒュースが妙に軽い足取りで執務室へやって来た。 「大佐、お疲れ様でした」 「ああ、君もご苦労だった。明日は全員休暇にしよう、君から皆に伝えておいてくれ」 「了解しました。……で、今夜はどうされます?」 「……? 今夜?」 「新入兵士達の歓迎会、しないんですか?」 「…は?」 突然そんな話が出てくるとは思いもしなかったカールは、素っ頓狂な声をあげて動きを止め た。 「……こんな時にそんなのん気な事が出来る訳ないだろう」 「『こんな時』だからですよ。最近大佐を始め、基地全体が暗いんです。だからこそパァッと皆 で騒ぐのが一番なんです。大佐の様なお固い方は騒ぐのはお嫌いでしょうが、私や皆の様な 普通の人間は騒ぐ事でストレス発散! しかも新入兵士達とも、すぐ仲良くなれてしまいま す!」 「……私が普通じゃないと言っている様に聞こえるんだが?」 「気のせいです。さぁ、どうなさいますか?」 「…確かに、最近皆に明るさが感じられないからな。騒いで明るくなるという保証はないが、や ってみる価値はあるだろう。では、歓迎会の事、休暇と併せて皆に伝えてやってくれ」 「了解。歓迎会の準備は私の方で行いますので、大佐はゆっくり休んでいて下さい。それで は」 カールが歓迎会の開催を決めると、ヒュースはもうここには用は無いと言わんばかりに、さっさ と執務室から出て行った。 ひょっとすると、何か企んでいるのかもしれない…。 そうは思ったが、今はその企みに乗った方が部下達の為になるかもしれない。 カールはお気に入りのコーヒー「ノーブル・イエナ」を飲みながら、机の上に広がっていた書類 を片付け始めた。 夕刻、丁度いつもなら夕食を食べる頃に格納庫にて歓迎会が始まった。 兵士全員で騒げる場所が格納庫しかなかったらしい。 それでも格納庫内は歓迎会の為に綺麗に片付けられ、テーブルやら椅子やら必要な物が運 び込まれていた。 食事は食堂のスタッフが頑張ってくれたのか、大変豪華な内容だったが、テーブル上に並べ られた酒類は、急に用意した割に妙に品揃えが良かった。 随分前から準備していないと無理のある内容だったが、カールは敢えてヒュースに何も聞か なかった。 聞いたところで、答えてくれる相手でもない。 やがて格納庫内が第一装甲師団の兵士で一杯になると、副官のヒュースが歓迎会開始の宣 言を行った。 カールは特に何もしなくていい様で、ヒュースが進行役となって全てを進めていった。 それなら、とカールも自由に行動する事にし、新入兵士だけでなく部下全員と話そうと、格納 庫内を歩き回った。 食事や使い終えた食器を持って忙しく働く食堂のスタッフにも時折声をかけつつ、カールが一 休みしようと酒入りのグラスを手にした所で、奥の方からヒュースの声が聞こえてきた。 「皆さ〜ん、ゲストの方が到着されましたよ〜♪」 「…ゲストだと……?」 カールは嫌な予感がしたが、黙ってグラスを口に運んだ。 すると、そのタイミングに見事に合わせたかの様に、ヒュースのご機嫌な声が耳に入った。 「帝国国立研究所のサラ・クローゼ博士で〜す!!」 「なっ……」 カールは吹き出しそうになった酒を何とか胃に流し込み、何度か深呼吸して心を落ち着かせ てから、なるべく冷静な足取りでヒュースの方へ向かった。 ヒュースの周囲は既に大変な人だかりが出来ていて、簡単には進めそうになかったが、カー ルが近づくと、その人だかりが綺麗に二つに割れた。 カールは不思議に思いつつも、割れた隙間を通ってヒュースの元に辿り着いた。 「ブラント中佐、お前また…!」 「あぁ、大佐。丁度良かった、今呼びに行こうと思ってた所なんですよ」 ヒュースはカールの言葉を遮る様に話し出し、隣にいるサラに目配せした。 サラは急に呼ばれて慌ててやって来た感がある研究所の制服姿で、ヒュースの合図に大きく 頷くと、カールに向かって一礼してみせた。 「今日はお招き頂き、ありがとうございます、シュバルツ大佐」 「え…? あ、あぁ……えっと………た、楽しんでいって下さい、博士」 「ええ、もちろんそのつもりですv」 カールもサラも言葉は他人行儀なものだったが、表情は恋人同士の心からの笑顔だった。 温泉地への旅行以来の久し振りの対面だったからだ。 言葉は感情を抑える事に成功したが、表情だけはそうもいかなかったらしい。 そんな二人の表情をしら〜っとした目で見ていたヒュースは、挨拶が終わると同時に二人の 間に割り込んだ。 「はいはい、感動の再会はこれにて終了とさせて頂きます。サラさん、こちらへどうぞv」 「え? あ、はい」 進行役らしくヒュースがサラを案内するのを見、カールは一点だけ注意しておかなくてはなら ない事があったので、サラではなくヒュースを呼び止めた。 ヒュースは見るからに嫌々といった様子で引き返し、カールをギロリと睨んだ。 「何なんですか、大佐? 今忙しいんですが」 「私に何の報告も無しにサラを呼んだ事は、この際良しとしよう。だが、一つだけ注意しておき たい事がある」 「何です? 早く言って下さい」 「サラに絶対酒を飲ませるな」 「………は? 酒……ですか?」 「そうだ、かなり酒癖が悪いらしい。……我が隊にはサラのファンがたくさんいるんだろう?」 「え……はぁ、まぁ……」 「それなら彼らをガッカリさせない為にも、酒は控える様にしろ」 「りょ、了解しました」 カールの注意というのが、予想していた内容と余りに違ったので、ヒュースは口では納得した 様に見せたが、心の中では首を傾げていた。 そんなヒュースを見送ったカールは、サラとは歓迎会の後でゆっくり楽しもうと気持ちを切り替 え、部下達と一緒に酒を飲み始めた。 そうして歓迎会が宴も酣となった頃、カールはふと自分の名を呼ぶ声を聞いた。 しかもそれはサラの声だった。 ヒュースか部下の誰かが良からぬ事をしたのでは?と心配になったカールは、慌てて声がす る方へ向かった。 すると…… 「あっv カール、見〜っけ♪」 「わぁっ!?」 人込みを抜けた所で、カールはいきなり誰かに抱きつかれた。 受け止めた感触から、すぐにサラと分かったが、カールは突然の事に何が何やら分からず、 戸惑いの表情で腕の中の愛する女性を見つめた。 「サラ…? どうしたんだ?」 「うふふv か〜るぅ〜vv」 サラはトロンとした目で赤ら顔…要するに、酒を飲んだ者の表情だった。 カールは抱きついてくるサラはそのままに、周囲でポカンとしている兵士の中からヒュースを 見つけると、今の状況を問い質した。 「中佐、お前…サラに酒を飲ませたな!?」 「え………いや、あの…ジュースみたいなものでしたから、大丈夫かと……」 「お前にとってはジュースみたいなものでも、酒に弱い者からすれば全部酒だ。そんな事も分 からなかったのか!?」 「…も、申し訳ありません……」 今回ばかりはヒュースも反論する気配はなく、終始カールの言葉に恐縮していた。 そんな二人の様子に、周りの兵士は誰一人割って入る事が出来なかったが、ただ一人…酔 っているサラだけは違った。 サラはヒュースを睨み付けているカールの頬を両手で包み、強引に自分の方に顔を向けさせ た。 「ねぇ、カール…」 「どうしたんだい? 気分悪いのか?」 「私の事……好き?」 「………いきなりどうしたんだい?」 サラからいきなり素っ頓狂な質問をされたので、カールは思わず逆に質問を返した。 サラはそれを返事と勘違いしたらしく、うるうると瞳に涙を溢れさせた。 「私の事……嫌いなの…?」 「い、いや、そういう訳じゃなくて……」 カールは周囲に部下がたくさんいる事を目で合図したが、サラはその合図に気付いた気配す らなく、ただひたすら潤んだ瞳を見せるだけだった。 「カール……私の事…嫌いになっちゃったのね……」 「そ、そんな事はない! ……………好きだよ」 「………ほんと?」 「ああ、本当だ」 「えへへv 私もだ〜い好きだよっvv」 カールはとりあえず小声で話を合わせたが、サラは普通に返事を返し、より一層強く抱きつい てきた。 周囲の男性兵士だけでなく、女性兵士までもが照れた様に頬を赤らめながら凝視してくるの で、カールはサラを何とか抑えてから、ヒュースに声をかけた。 「私はサラを介抱してくる。ここにはもう戻らない。後の事は全て任せていいな?」 「は、はい……」 弱っているヒュース相手なら、長々と口で戦う必要はない。 カールは動こうとしないサラを軽々と抱き上げ、さっさと格納庫を後にした。 上手くサラと二人きりになる事に成功したカールだったが、残る問題はサラが完全に酔ってい る事だった。 自室へ連れて行く間も、サラはずっと「私の事、好き?」という質問を繰り返していた。 そんなサラもかわいくはあったが、何度も「好き」という言葉を言うのには抵抗があり、カール は出来るだけ早く歩いた。 そうしてようやく自室に到着し、サラをベッドに降ろした途端、カールはベッドに力強く引き寄せ られた。 「サラ…?」 「カールったら……歓迎会抜け出してどこへ行くのかと思ったら、部屋に連れ込むなんて…い やらしい〜v」 「……いや、俺は君を介抱しようと思って…」 「言い訳なんていいよ。したいんだったらしよv」 「なっ…何言ってるんだ……?」 「でもその代わり……今日は私が襲うねv」 サラの言葉について行けず、カールが呆然としていると、サラはテキパキとカールから靴を脱 がし、続いて軍服に手を伸ばした。 カールが抵抗しないのをいい事に、サラは上着を脱がし終えると、間髪入れずに唇を重ね、そ のままベッドへカールを押し倒した。 「サ、サラ、待て、待ってくれ!」 「やだ。今日は大人しく襲われちゃいなさい、カールv」 何とか止めようとするカールの上に馬乗りになり、サラはもう一度改めて唇を重ねると、すぐに 深く舌を絡めた。 カールは思わず動きを止め、サラの舌に応えながら思案した。 こういうのも、たまには良いかもしれない…。 あっさり結論を出したカールは、サラが酔っている事は頭から除外し、彼女に全てを任せる事 にした。 「うふふ…v 今日のカールもいい子ね〜vv」 カールの体から力が抜けたのを察し、サラは彼の頭を優しく撫でると、首筋に唇を落とした。 サラからの愛撫は気持ち良いというより、くすぐったい方が強かったが、カールは一切自分か ら動こうとはしなかった。 サラは唇を移動させつつカールの服を捲り上げ、逞しい胸板をいとおしそうに撫でた。 そんなサラを静かに観察しながら、カールはふと彼女が以前話していた事を思い出した。 (全裸よりも半裸の方が恥ずかしい、か…。なるほど、確かに中途半端で変な感じだな…) 今更の様にカールは納得したが、今から自分で脱ぐ訳にもいかないので、サラがどうするの かを見ていた。 サラはカールの視線に気付くと、にんまりと笑ってみせた。 「心配しなくても、私も脱いであげるわよv」 カールはそういう心配をしていた訳ではないのだが、サラはそう言うなり、ひょいひょいっと軽 やかに服を脱ぎ、自分だけ全裸になった。 酒に酔うと、服を脱ぎたがる者がいると聞いた事はあるが、サラにもその癖があるのだろう か…? カールが首を傾げている内に、サラは彼の腰に手を移動させ、ベルトを外してズボンのチャッ クを下ろしてしまった。 カールは思わずギョッと驚いてしまったが、サラは特に動じる様子もなく、ズボンと共に下着も 股まで引きずり下ろした。 「気持ちいい事…してあげるねv」 サラは酒で赤くなった顔を更に赤くしながら、露になったカールのたくましいものを両手で包 み、優しく優しく舌で愛撫し始めた。 その快感にカールは思わず声をあげてしまったが、しばらくサラの様子を見ていると、いつも と違う事に気付いた。 (上手く……なってる…?) 俄には信じがたかったが、確かにサラは腕を挙げていた。 舌の使い方も、手の使い方も……咥えた時の動きも驚く程巧妙で、カールは堪え切れずに 早々と自分の欲望をサラの口に向かって射した。 サラはカールから受け取ったものを何とか飲み下すと、妙に嬉しそうな表情でカールの顔を覗 き込んだ。 「どうだった? 気持ち良かった?」 「………ああ、良かった。…………しかし何故あんなに…う、上手くなってるんだ…?」 「えへへv 勉強したからに決まってるじゃないvv」 「べ、勉強…?」 「あ、心配してる? 大丈夫だよ、誰かに直接教えてもらった訳じゃないからv」 「じゃあ、何で?」 「研究所にあった変な本」 「変な本…?」 「そう、変な本。『こうすれば彼が悦ぶ!』って感じのものがたくさん載ってたよv 専門用語ば っかりで内容はほとんど分からなかったんだけど、さっきのはイラスト付きで説明されてたから 分かったのv 勉強になったよ〜vv」 「イ、イラスト……まぁ、いいか。…実物で説明されるよりはマシだな」 「ん? なぁに?」 「い、いや、何でもない」 |
サラがそんな事を勉強しているのは意外だったが、全ては自分を気持ち良くする為だったの で、カールは嬉しくて仕方なかった。 その時、前々から試したいと考えていた事を思い出したカールは、今のサラなら自分の要望 に応えてくれるかもしれないと、期待に満ちた顔で頼んでみた。 「サラ、お願いしたい事があるんだが…」 「え? カールがお願い?? 珍しい〜なになに? 何でも聞いちゃうよv」 「えっと…その………次は胸を使ってしてほしいな……なんて」 「胸?」 サラはカールのお願いの意味が理解出来ず、キョトンとしながら豊満な乳房を両手で包み込 んだ。 確かに今の言い方では理解出来ないと察し、カールはゆっくり起き上がると、サラの腕を掴ん で自分の方へ引き寄せた。 「どうするの?」 「胸をここに…」 カールに導かれるまま、サラは彼の股間の上に移動した。 そこには快感の為にまだ精力の衰えていないものがあり、サラがじっとしている間に、カール は彼女の胸でそれを挟んでみた。 何とも言えない感触で、口でしてもらう時とはまた違った快感だった。 「こうするだけでいいの?」 「……いや、動いてほしい…」 「どんな風に?」 カールは既に感じている快感を何とか抑えながら、サラにどの様に動いてほしいのか、実際 に動かして教えた。 サラは教えられた通りに動き、豊満な乳房でカール自身をぎゅっと包み込むと、両手でその胸 を上下に擦り合わせた。 「……こう?」 「……っ…………そ、そう………サラ……くっ………」 「いいのね……カール…v」 カールの反応が嬉しかったのか、サラはより一層早く胸を彼自身に擦り合わせた。 カールは堪らず吐息を漏らし、サラに教える為に起こしていた体をベッドに沈めた。 サラが一緒の場合、絶頂を迎えるのはギリギリまで我慢するが、一人ではあっさり限界に達 してしまった。 「サラっ……出っ………」 カールの切ない声を聞いた瞬間、サラは限界に達する彼自身を口に含んだ。 そうする様に言われていた訳ではないが、サラはカールがくれるものを全部受け止めたかった のだ。 しばらくカールが荒く息をしていると、その間にサラは受け止めたものを飲み干し、にっこりと 微笑んでみせた。 「胸も良かったみたいねv ふふふvv」 「……ああ、予想以上だ……」 「でも……もっと気持ちいい事、私知ってるよv してあげるねvv」 「……え?」 カールは先程の余韻が残っていて、まだ動けそうになかったが、サラは元気一杯に移動する と、自分の膣に反り返ったカールのたくましいものを挿し込んだ。 「あぅんっ……v」 サラは挿れるまでは妙に元気だったが、挿れると途端に快感で力が抜けてしまったらしく、そ のまま動かなくなった。 カールも快感を感じていたので、暫し二人揃って動きを止めたが、カールの方が早く復活し た。 挿れただけではそんなに感じないからだ。 それでもカールは少し様子を見てから、瞳を潤ませているサラに声をかけた。 「サラ?」 「…………な…に…?」 「もっと気持ちいい事してくれるんだろう?」 「……そう…だよ……」 「腰を動かすんだ、サラ」 「………うん」 挿れただけでカールが満足するはずがないと分かっていたので、サラは彼に言われてようや くゆっくりと動き出した。 カールはサラが腰を動かしやすい様に体を支えてやり、それによって一つになった部分がより 深く結合した。 「はぁっ……あふっ…ん………v」 サラはカールを気持ち良くしてあげたい一心で、必死に腰を動かした。 すぐにサラの膣は愛液で溢れ、カールは今度は絶頂を遅らせる事に成功した。 愛液のお陰でいつも以上に滑りが良く、カールにはゆっくりと快感を楽しむ余裕すらあった。 しかしサラにはそんな余裕はなく、快感が増す毎に動きが鈍くなっていった。 そしてとうとう動きが止まってしまうと、カールはサラの様子を窺った。 「……サラ、もうダメかい…?」 サラは口で返事をする事も出来ず、何とかコクリと頷いてみせた。 もう充分頑張ってくれたので、大満足だったカールはサラのお尻に手を伸ばすと、それを優しく 撫でてから掴んだ。 「ありがとう、すごく気持ち良かったよ。後は……俺に全部任せてくれ」 そう言うなり、カールはサラの体を激しく上下に揺さぶり始めた。 先程までサラがしていた動きと同じだったが、カール主動の場合は内容が濃い。 サラはいつも以上に大声で喘ぎ、絶頂に達しそうな頃合いである事を体が主張し始めた。 愛液で溢れた膣が、カール自身を締め付けてきたのだ。 そうなると、カールも我慢などと言っていられなくなり、咄嗟にサラの体を引き寄せると、奥深く で溜まっていたものを射した。 「あぁっ…ん………v」 サラは体を大きくくねらせて喘いだが、次の瞬間急にガクッと脱力し、カールの上に倒れ込ん できた。 いつもの様に余韻に浸ろうと思っていたカールは、突然倒れてきたサラに思い切り驚き、行為 の余韻はすぐに消え去ってしまった。 「サラ、どうしたんだ?」 カールは間近にある顔を覗き込んだが、すぐに安心した様に息を吐いた。 サラは静かな寝息をたてながら眠っていたのだ。 どうやら酔いが全身に回ったらしい。 カールはやれやれと苦笑すると、サラを隣へそっと寝かせた。 (酒癖が悪いって……こういう事だったのか…?) 冷静になって、初めてそんな疑問が浮かんできた。 今夜の様な酔い方だと、カールがいる場合にしか発生しない様に思える。 カールはしばらく考えてみたが、いくら考えても答えは出なかった。 本人に聞いても、恐らく何も覚えてはいないだろう。 正直言うと、覚えていてほしい事もあったが…。 酔っていない時に思い切って頼んでみようと決意し、カールは半裸状態の軍服から部屋着に 着替えた。 軍服のままはさすがに寝辛いからだ。 続いてサラが脱ぎ散らかした衣服を回収し、きちんとベッド脇に畳んで置いてから、カールは ベッドに戻ろうとして動きを止めた。 サラが全裸のまま寝てて良いのだろうか…? 明日本人に全てを正直に話してもいいが、ショックが大きいかもしれない。 しかし全裸では何があったのか、聞かなくても分かるだろう。 どちらにしても良い結果は得られそうにない為、カールは開き直る事にした。 何があったのか自分から話さず、サラに聞かれた事に答えるだけにしておこう。 その方が面白味もある。 カールはわくわくしながらベッドへ腰掛けると、上着だけ脱いで半裸になり、その上着をサラに 着せた。 こうすれば、サラはより混乱するだろう。 カールは思わずにやりとほくそ笑むと、自分の上着だけを着たサラの全身を眺めた。 すこぶる良い眺めである。 (堪らんな…。こんな風に楽しめるなら、酒を飲ませるのも悪くないかもな……) 普段のサラからは想像も出来ない様な姿を見る事が出来たので、カールは珍しく邪な考え を抱いていた。 翌朝、サラは昨夜の事を綺麗サッパリ忘れた状態で目を覚ました。 カールが隣に寝ている事はそれ程驚く事ではなかったが、サラは自分の姿を見て驚いた。 カールの部屋着……しかも上着のみ。 尚且つ、自分が下着すら穿いていない事に気付いたサラは、顔を真っ赤にして両手で上着を 伸ばした。 その時、カールがようやく目を覚まし、サラが予想通りの反応をしていると気付くと、心の中で にやりと笑った。 「おはよう、サラ」 「あ、お、おはよ。え、え〜っと……その………」 「何?」 「き、昨日の事なんだけど…」 「あぁ、昨日か。昨日は歓迎会だったな、それがどうかしたか?」 「歓迎会はどうでもいいの! ……あ、でも歓迎会から記憶無いし…どうでも良くないか……」 「何をぶつぶつ言ってるんだ?」 カールが顔を覗き込むと、サラは慌てた様に首を横に振った。 「な、何でもないよ、気にしないで。……あのね、聞きたい事があるんだけど…」 「何だい?」 「昨日、私……お酒飲んじゃった…?」 「お酒…? ………あぁ、ジュースと間違えて飲んだらしいな」 「やっぱり…。それでその後、どうなっちゃった…?」 「どうなったって?」 「皆に迷惑かけちゃわなかった?」 「う〜ん……皆にはかけなかったと思うよ」 「ほんとっ? 良かった〜。……あれ? 『皆には』って……まさかあなたには…?」 カールの言葉に、サラは見事に一喜一憂した。 その反応が楽しいカールは、もっと楽しもうと素晴らしい演技を見せた。 嘘をついている訳ではないので、こういう時の演技はサラにも見抜けない様だ。 「大変だったよ……君があんな………」 「えっ…あんな、何…?」 「それは俺の口からは言えないな」 「えぇ〜どうしてよぅ〜〜。教えて、ね、お願いっ」 「ん〜、じゃあ……自分が何をしたか、当ててみてくれないか?」 「そ、そんなの無理だよ!」 「無理かどうか、やってみないと分からないだろ?」 「……む〜……それじゃあ………えっと…………」 サラはしばらく唸りながら考え込んだが、結局答えは自分の姿から連想される内容しかなか った。 従って口に出して言うには恥ずかしく、ただ顔を真っ赤にして黙り込むしかなかった。 そろそろ頃合いだと判断したカールは、黙っているサラの耳に口を寄せ、行為の最中の様に 甘く囁いた。 「俺の為に君があんなに勉強してくれているなんて知らなかったよ。ありがとう、サラ」 「へっ!? え、ええっ、な、なに!? うそ、違うよ、そんな事、私…勉強なんて……」 甘い囁きとその内容に、サラは過剰な反応を見せた。 勉強したのは事実だが、それを実践するのは自分には不可能だと思っていたので、サラは昨 夜の自分の行動に驚くしかなかった。 酔っていたとは言え、カールにそんな恥ずかしい事をしてしまうとは……。 サラは記憶が無い事が良いのか悪いのか判断出来ず、再び顔を真っ赤にして黙り込んだ。 サラが何を思って黙ってしまったのか、手に取る様に理解出来たカールは、もうこれ以上は止 めておこうと決め、サラをそっとベッドへ押し倒した。 「昨日の事は気にしなくていい」 「でも……」 「俺は嬉しかった、それだけだよ」 カールは優しく囁く様に言うと、サラの口を自らの口で塞いだ。 サラは思わず抵抗しようとしたが、カールが休暇中である事を告げると、すんなり大人しくなっ た。 カールは昨日自分が着せた上着をサラの胸の膨らみまで押し上げ、露になった肢体をじっくり 観察してから愛撫を始めた。 「昨日は少ししか出来なかったからな…」 「そうなの? ……んっ…や……v」 「今日はたっぷりしよう、サラ」 「え……あんっ……そ、そんな………v」 「俺は襲われるより、襲う方が性に合ってるみたいだ」 「??」 カールは昨日言われた言葉を受けてそう言ったのだが、サラは当然知るはずもなかった。 サラがキョトンとしている間に、カールは愛撫を益々激しいものにしていき、昨日射し切れなか ったものを全て愛する女性の膣へ解き放った。 更に翌日、休暇を終えたカールが執務室で書類と向き合っていると、国立研究所から通信が 入っていると部下から連絡があった。 カールに直ではないところを見ると、相手は恐らくサラの助手の誰かだろう。 そう思ってモニターを点けてみると、そこにはやはりサラの助手のステアとナズナの姿が映っ た。 『こんにちは、シュバルツ大佐。お仕事中にすみません』 「いや、構わないさ。で、用向きは何かな?」 『先日の歓迎会の話、博士から聞いたんですけど……大丈夫でした?』 「大丈夫って……」 カールはサラが助手達にあの夜の事を全て話してしまったのかと思い、どう答えれば良いか 分からず言葉を詰まらせた。 その反応を肯定と捉えたのか、ステアとナズナは周囲をキョロキョロと見回してから小声で話 し出した。 『大変でしたね、大佐。それで損害はどれくらい出ましたか?』 「…………え? 損害…?」 『そうです。博士の事だから、大佐の名前を使って、ホエールキング辺りを買ったんじゃないで すか?』 「……? ………いや、特に何も買ってないが…」 『えぇ〜!? そんなはずないですよ! 前もそうだったんですから』 「前って…?」 どうにも話が通じない事に疑問を感じたらしく、ステア達はサラの酒癖の悪さについて語り始 めた。 『博士って、お酒を飲むと、普段表に出さない欲求が前面に出て来ちゃうみたいなんですよ』 「欲求…?」 『そうです。前に飲んだ時なんか…めちゃくちゃ高い実験器具をポイポイ買っちゃって……ま、 それは全部キャンセルしたんですけど、どうやらその器具、前から欲しかったみたいなんで す。でも高くて買えなくて…。ず〜っと我慢してて、お酒飲んだらその我慢が無くなっちゃっ て、セール品買うみたいな買い方したんですよ!』 「そ、そうか……大変だったんだね…」 『だから私達、博士はきっとお酒を飲むと、いつも我慢している事をあっさりしちゃう性格になる んだと思ったんです。もちろん何度か実験もしましたから、これは絶対ですよ!』 「あ、ああ…そうか……」 『なのに、何で大佐には何もなかったんだろう…? 不思議〜』 「そうだな…」 『まぁ、でも損害が無くて安心しました。もし大佐に損害を与えていたら、博士は刑務所行き確 実でしたからね〜』 「そ、そうだな……」 カールが返事に困る様な話を散々した後、ステアとナズナは笑顔で通信を切った。 カールは真っ暗になったモニターから視線を外すと、はぁ〜と長いため息をついた。 あの二人は常に自分のペースを保っている。 それは悪い事ではないが、付き合わされる側にとっては疲れるとしか言えない。 カールは気分を変える為にお気に入りのコーヒーを煎れようと準備を始めたが、ふと先程聞い たサラの酒癖の話を思い出した。 (いつも我慢している事をあっさりしてしまう……という事は、サラはいつも俺を襲いたいのに 我慢している事になる。さすがにそれはないと思うけど……) コーヒーメーカーからコーヒーがカップに少しずつ注がれるのを眺めながら、カールはサラの酒 癖について深く考え始めた。 サラが我慢していそうな事……ベッドの上では特に我慢する事などない気もするが、実際サ ラが行動したという事は、我慢する事があったはずなのだ。 では、何なのか…? (あ、もしかして…) カールはようやく一つ思い当たり、自分の出した答えになるほどと頷いた。 恐らくサラはベッド上での主導権について我慢している部分があるのだ。 だからこそ、あの夜自分が主導権を握ろうとしたのだろう。 普段はカールが動き、サラは受けている状態だ。 極端に言えば、いつも「されるがまま」なので、たまには自分から動きたいという気持ちが前 面に出たと考えられた。 そんな風に思っているのなら、言ってくれさえすれば応えるのに……と思ったが、カールは自 分の性格を思い出すと、苦笑いを浮かべた。 特に意識していた訳ではないが、自分はベッド上で常に主導権を握る様に行動してきた。 サラがどんなに努力しても、最後には必ずカールが動いている。 今更変えられるはずもない。 煎れたてのコーヒーを口に運びながら、カールは「今のままでいい」と一人納得していた。 ●あとがき● 久しぶり(と言う程でもないかな?)に、年齢制限有りの内容でした。 例によって、年齢制限する程の内容ではない…というツッコミは無しの方向で(笑) 第一装甲師団の兵士の方々はヒュース以外は名も無きキャラなのですが、異動などでたま 〜に入れ替わっている、という設定にしています。 今回は前回の戦闘で殉死した人が多かったので、今までより大規模な異動となりました。 そこで「歓迎会」の開催です。さすが有能な副官・ヒュース! 暗い雰囲気を払拭する為に、彼なりに気を遣ってるんでしょうね。 カールはさすがに「騒ぐ」という発想が無かったので、歓迎会は思い付きませんでしたが; そして暗い中で光を見出そうと、サラを呼ぶ辺りが如何にもヒュースらしい。 とは言え、結局はラブラブの手助けをする事になってしまったヒュースは、いつものオチで落ち 着きました。哀れ、ヒュース… でも酔っ払ったサラは書いていて楽しかったです♪ いつものラブシーンより攻っぽくって、なかなか萌えでしたね〜v サラもカールと同じく勉強家なので、その辺を無駄にアピールしてみました☆ 一見普通の女性誌なのに、中には如何わしいものが載っている雑誌を読んでの勉強です。 何故研究所にそんな雑誌が置いてあったのか……それは秘密です(笑) 「専門用語ばかり」というのは、私でも理解出来ない用語が多いからそう言わせました。 隠語とでも言うんでしょうかね〜、難しいです。 実はそういうものが載っている女性誌を読んだ事が無いので、全て想像ではありますが; それと胸を使ってのアレですが………サラの胸が大きいから仕方ないかな、と。 カールだって男ですから、胸をそんな風に使ってほしいと思うのは自然な事でしょう。 ええ、そう断言します。たぶん…いえ、きっと!(弱気) いつも通り、色々突っ込み所満載の年齢制限話でした; 最後にイラストについてですが、二人とも乳首は描けませんでした……(恥) イラストは健全仕様を目指しているから、と理解して下さい。 そして妙に上の方のアングルなのは、下がかなりマズイ状態だからです。 私にはちゃんとした大人向けイラストは描けないと自負していますので、今後も今回の様な誤 魔化し絵になると思います。 上手く誤魔化せる様に、頑張って精進します…。 ●次回予告● ようやく態勢が整った第一装甲師団に、待望の任務が舞い込みました。 しかしその内容にカールは驚いてしまいます。 大部隊である第一装甲師団が受ける様な任務ではなかったからです。 第一装甲師団に舞い込んだ新たな任務とは…? 第七十八話「発掘」 ね、こうして一緒の方が温かいでしょ? |