第五十七話

「シュバルツ家〜四日目〜」


今日は朝から山登りなので、カールとサラはファーレン達よりも先に朝食を済ませ、別邸に向

けて出発した。
        みちのり
別邸までの道程は距離はあったが、山登りに慣れていなくてもすんなり進める山道ばかり
        ゆうゆう
で、二人は悠々と山道を歩いていた。

美しい景色を堪能したり、道端に咲いている珍しい花を観察したりと、色々な道草をしながら

ゆっくりと進んだ。

途中、泉のある場所などで二度程休憩を入れ、サラが辛くならない様にカールは一定のペー
  たも
ス保って彼女を先導し続けた。
                                     わ
本邸を出発してから三時間程経った頃、興味の沸く事が多くてウロチョロし過ぎていたせい

か、サラに疲れの色が見え始めた。

「ふぅ〜、結構距離あるねぇ」

「疲れた?休憩しようか?」

「ううん、平気。まだ行けるよ」

「そうか」

カールは疲れを一切見せず、にっこりと微笑みながら前方を指差した。

「ほら、あそこに白い建物が見えるだろ?」

「うん。あの建物が別邸?」

「ああ、ここからだと後二十分ぐらいで着くよ。もう一踏ん張りだ」

「よし、頑張るぞ〜♪」
          ふる
サラは自分を奮い立たせる様に言い、力強く歩き出した。
          きづか
そんなサラを気遣い、カールはそれとなく歩調を遅めにして先導を続けた。





そうしてしばらく歩いていると突然辺りが暗くなり、空を見上げると雨雲と思われる真っ黒な雲

が近づいて来ているのがわかった。

「さっきまであんなに良いお天気だったのに……」

「山の天気は変わりやすいからな。とにかく急ごう」

「うん」
                                      かな
二人は急いで歩き出したが、やはり自然の力には敵わないらしく、あっという間に雨雲に追い
       す
つかれ、直ぐさま土砂降りの雨が降り始めた。

「ひゃ〜降ってきた〜」

「サラ、走れるか?」

「む、無理だよ、もう足が動かないもん」

「仕方ないな」

カールはどこにそんな力が残っていたのだろうと思う程軽々とサラを抱き上げ、別邸に向かっ

て走り出した。
          たど
しかし別邸に辿り着いた時には、二人は雨で全身びしょ濡れになっていた。
                                                              だんろ
カールは別邸に入ると急いで大きめのタオルを用意し、それをサラに手渡してから暖炉に火を

付け暖を取り始めた。

サラはカールの隣に腰を下ろすと、びしょびしょになってしまった上着を脱ぎ、キャミソール姿に
               ふ
なってタオルで体を拭いた。

「このままお風呂に入っちゃった方がいいかもしれないねぇ」

「そうだな」
       まき
カールは薪をくべながら頷き、何とはなしにサラの姿を見るとドキッとなり動きを止めた。

サラはタオルで体のあちこちを拭いている最中だったが、雨に濡れたせいで服が透けてしま
           なめ
い、女性らしい滑らかな体のラインがくっきりと見えていた。

「や、やっぱり風呂には後で入ろう。暖炉で充分乾くはずだ」

「そお?あなたがそう言うならそれでいいけど」

サラが笑顔を見せるとカールもつられて微笑み、彼女を背後から優しく包み込んだ。

「………こうしてると、砂漠の遺跡の事を思い出すわね。あの時も今みたいにびしょ濡れだっ

たから」

「ああ、あの時は本当に大変だったね」
                                 かんがい
二人は砂漠の遺跡での出来事を思い出し、感慨深げに頷き合った。

「ごめんなさい、迷惑ばかり掛けちゃって…」

「いや、いいんだ。君を助ける事が出来てすごく嬉しかったし、今となってはいい思い出になっ

てる」

「もぉ〜、またそんな照れさせる様な事言って〜」
                             そ
サラは恥ずかしそうにカールから目を逸らすと、もじもじしながら暖炉の火を見つめ始めた。
                                               いたずら
そんなサラのかわいい仕草を微笑ましく思ったカールは瞬時に悪戯を思い付き、彼女の肩に
        すいてき       な
付いている水滴をぺろりと舐め取った。

「きゃっ!な、何?」

「君の体に付いている水滴を舐め取っただけだよ」

「そ、そっか。いきなりだからビックリしちゃった」

予想通りサラがかわいい反応をしてくれたので、カールは気を良くして悪戯を続ける事にし

た。

「サラ、ここにも水滴があるぞ」

サラの返事を待たずにカールは彼女の体を舐め始め、水滴の無い所まで舐め回した。

「タ、タオルで拭くからもう舐めなくていいよぅ!」

「遠慮しなくていい、全部舐め取るから」
                       つか
そう言ってカールはサラの腕を掴み、逃げられない様にしてから舐め取るのを再開した。

サラは頬を赤らめつつじっと我慢していたが、カールがキャミソールの中に手を入れ、乳房を

揉み始めると慌ててその手を止めた。
           まぎ
「ど、どさくさに紛れて何してるの!?」

「サラ、今自分がどんな姿をしているのか……わかっているのかい?」

「え……?」

カールの言葉によって改めて自分の体に目をやったサラは、あっという表情を浮かべ胸元を隠

した。

服が透けている事にようやく気づいた様だ。
                                                      ささや
カールはにやりと不敵な笑みを浮かべると、サラの手に自分の手を重ね囁いた。

「そんな姿を見せられて、俺が何もしない訳ないだろう?」

「で、でもこれはたまたまこういう風になっちゃっただけで、わざとじゃないわ」

「わざとじゃなくても、俺の感情を高ぶらせたのは事実だ。もう止められはしない」

「ま、待って!イヤ!!」

サラは必死にカールの手を振り払うと、急いで立ち上がりドアの前まで逃げ出した。
       あせ
カールは焦る事なくゆらりと立ち上がり、サラの方へ歩み寄って行った。
                                                       おおかみ
周囲に誰もおらず完全に二人だけという状況が、本人の予想通りカールを狼へと変えてい

た。
                                        しぼ                   おもむ
今のカールの思考回路はサラを抱く事だけに焦点が絞られており、自分の欲望の赴くままに

行動した。

「サラ、俺から逃げられると思うのか?」

「逃げてみせるもん。べ〜っだ!」

サラはカールに向かって思い切り舌を出し、急いでドアを開けると直ぐさま走り出した。
          へんぼう
内心カールの変貌振りに驚いていたが、それ程イヤという訳ではなかったので、サラも今の状

況を楽しむ事にしたのだ。

サラは子供の頃によくした鬼ごっこの様にカールが来るのを待ち、来たら逃げるというのを何
    く
度も繰り返した。

一方、カールは鬼になった気分になりながら、ゆっくりと一定のペースでサラを追い続けた。

少しずつ、だが確実にカールに追い詰められてきたサラは、行き止まりの廊下へ足を踏み入

れてしまい、隠れる場所を探してその辺りにあるドアを片っ端から開けていった。

いくつかのドアを開け放った後、たくさんの本がある部屋を発見したので、サラは思わずその
     すべ
部屋に滑り込むと、ドアを極力静かに閉めた。

「わぁ、父様の書斎よりも本が多いなんてすご〜いv」

ドアの前で室内を見回したサラは、本の多さに感動し目を輝かせた。

そしてすぐにカールの事を忘れてしまい、どんな本があるのかと真剣に物色し始めたが、そん
         あ
なに時間を空けずに閉めたはずのドアが再び開かれた。

ドアを開けたのはもちろんカールで、サラは驚きの余り本棚を背にして動けなくなった。

「ど、どうしてここにいるってわかったの?」

「君の行動は全てお見通しさ」

カールは不敵な笑みを見せて答え、相変わらずゆっくりした歩調でサラの傍までやって来た。

カールが目の前まで来ると、サラは観念するしかないと伸ばされた彼の手にすんなりと捕まっ

た。
                       から
二人は唇を重ねると激しく舌を絡ませ合い、その間にカールはスカートの中に手を入れ、下着

をゆっくりと脱がせ始めた。

カールの手の動きに気づいたサラはビクッとなり、慌てて彼の体を引き離した。

「ここでするつもりなの?」

「ああ」

「立ったままなんてダメだよ」

「たまにはいいじゃないか、多少技術を必要とする事にも挑戦したいんだ」
              ひざまず
カールはサラの前に跪くと、途中まで脱がせた下着を一気に足下へ下ろした。
                まく                あらわ
続いてキャミソールを捲り上げ、豊満な乳房を露にさせると準備は完了とばかりに、カールは
        あいぶ
サラの体を愛撫し始めた。

「あ………や…………」
                                                     じょじょ
カールの激しすぎる愛撫を体中に受け、サラは快感を感じると同時に、徐々に足に力が入ら

なくなっていった。

カールはサラが崩れ落ちそうになるのをすかさず受け止め、しゃんと立たせてから彼女の右足

を持ち上げた。

「あ……あぁっ………!」

その瞬間、サラは大声をあげカールに抱きついた。
                                                                さ
右足を持ち上げる事によってサラの入口が開き、カールのたくましいものをあっさりと挿し込ま

れてしまったのだ。

カールはそのままの体勢で何度も腰を突き上げ、サラの体を本棚に押し付けた。

「はぁっ………やぁ……もう…ダメ…………」

「……何がダメなんだい、サラ?」
                                               む
カールは非常に意地悪そうな笑みを浮かべ、キャミソールから剥き出しになっている乳房を指
もてあそ
で弄んだ。

「やっ……あぁっ………」
        うる     あえ
サラは瞳を潤ませて喘ぎ、それに追い打ちを掛ける様にカールは再び腰を突き上げ始めた。

バランスの取り辛い体勢だったサラはカールにもたれ掛かるしかなかったが、そうすると体に

挿し込まれたものが更に奥に入り、余計に激しく喘がなくてはならなかった。

そんな行為をしばらく続けていると、サラの声が徐々に小さくなってきたのでカールは一旦腰
       た               なか         だ
を止め、溜まったものを彼女の膣にたっぷりと射した。
                              なか  あふ                ふともも        こぼ
カールから放たれた液体が大量すぎて膣から溢れ出てしまい、サラの太股にポタポタと零れ

落ちた。

これでもう終わりだろうと判断したサラは、行為の激しさの為に出た涙を拭き取り、乱れた服を
             かんぱつ
整えようとしたが、間髪入れずにその手をカールに止められ、クルリと半回転させられた。

目の前が本棚になった瞬間、サラはカールが次に何をするつもりなのか察した。

「カール…まさか………」

「そうだ、君が嫌がる事をするんだ」

「い、いやっ!」
               こころ
サラは必死に抵抗を試みたが、カールに乳房を優しく揉まれた途端全身から力が抜けた。

サラの様子にカールはにやりと微笑むと、彼女の耳元で囁いた。

「いい子だね、サラ。そのまま俺に全てを任せてくれ」

「ん……あ……や、優しくして……お願い………」

「わかってる、君を乱暴に扱ったりはしない」
           おび
カールはサラを怯えさせない様に、先程よりも優しく体を愛撫し始めた。

やがてサラの体から震えが無くなるとカールは床に跪き、彼女の柔らかいお尻を触りながらス

カートを捲り上げた。

サラは恥ずかしくて目を見開いたが、嫌がらずに秘部を舐めようとしているカールの舌を受け

入れた。

「はぁ…ん……カール………あぁ………」
     おぼ
快感に溺れ始めたサラは自分からお尻を突き出し、カールに入口付近を舐め回してもらうと足

をガクガクさせた。

サラが倒れそうになっていると気づいたカールは、すっくと立ち上がると彼女の手を取り、適当

な高さの棚に掴まらせた。

「サラ、そろそろ始めるぞ」

「……ダメって言っても…するクセに……」
                 や
「当然だ、ここまでして止められる訳はない」
             そ                                             さ
カールは自身の反り返ったものを持つと、もう一方の手で位置を確認してから挿し込んだ。

「や…ぁっ………!」
                           つまさき
サラはカールの体に押し上げられて爪先立ちになりながら、大きな声をあげた。

「くっ……サラ…俺の顔は見えなくても、俺の声は聞こえるだろう?…だから安心するんだ」

「…あぁ……カール…」

サラが後ろからの行為を嫌がる原因となっている不安な気持ちを無くす為、カールは腰を突き

上げながら優しく声を掛け続けた。

カールの声を聞いていると、サラの心は自然と落ち着いていき、リラックスして快感に身を任

せる事が出来る様になった。
                                                       といき  も
カールはサラが呼吸する速度に合わせて腰を動かし、彼も快感を感じて吐息を漏らした。

「サラ……気持ちいいかい…?」

「う、うん……気持ち……いいよ…」

「良かった……。じゃあ、一緒にもっと気持ち良くなろう」

そう言うなりカールは腰を動かすスピードを速め、それと同時にサラの乳房を揉みしだいた。

「あぁっ……やぁっ……カール……激しく…しないで……」

「激しくしても……気持ちいいはずだ…。…違うか?」

カールの言う通りだった為、サラは反論出来ずに喘ぎ声で彼の問いに答えた。

その答えを聞いたカールは嬉しそうに目を細め、そろそろ限界に達しそうなものをサラの奥深
     さ
くまで挿し込んだ。
          なか
途端にサラの膣はカールが放った液体でいっぱいになり、そのままの体勢で二人は力が抜

け、本棚にもたれ掛かった。
                                           おとろ                 なか
そうしてしばらく荒く息をした後、カールはまだまだ精力が衰えていないものをサラの膣から抜

き取った。

「あぅ……ん………」
                                        おぼつか
それすらも感じてしまうサラは小さく声をあげ、足下が覚束なくなった。
                ささ
どうやらカールが体を支えていなければ、まともに立っていられない様だ。

カールはささっと乱れた服を直し、サラを抱き上げると傍にある椅子に腰掛けた。

「立ったままするのは辛かったかい?」
                                                つた    ぬぐ
優しく声を掛けながら、カールはサラの衣服を整えてやり、頬に伝う涙を拭った。
     よいん                                          のぞ
行為の余韻が残っていたサラはぼんやりしていたが、カールに瞳を覗き込まれるとコクンと頷

いてみせた。

「……うん、少し。でも…あなたが支えてくれたから大丈夫だったよ」

「そうか、良かった」
                            ひたい
カールは安心した様に微笑み、サラの額にそっと口づけした。

狼になってからはサラを抱く事しか考えられなかったが、抱き終えるとカールは瞬時に落ち着
               いたわ
きを取り戻し、彼女を労り始めた。
 いか                                                             うず
如何にもカールらしい態度の変わりように、サラは思わず甘えたくなると彼の胸に顔を埋め頬

擦りした。

「うん?」

「今甘え中v」

サラはかわいらしくクスッと笑い、指をカールの指に絡ませるとしっかり握った。
                                                もさく
サラの甘え方はこれまで人に甘えた事が無い為にまだ方法を模索している最中で、照れ臭さ

がだいぶ残っていた。

それでもサラは子猫の様にカールにじゃれつき、彼女なりに精いっぱい甘えた。

サラがこんな風にするのは自分の前でだけだ、と絶対的な自信があったカールは、部下が見
        がくぜん       ゆる
たら思わず愕然とする様な緩んだ笑顔を見せていた。

しばらくして二人は昼食を食べていない事に気づき、急に空腹を感じ始めたので、仲良く手を
つな
繋いでキッチンへと向かった。
            そろ              がい
「わぁ〜、何でも揃ってるのねv 作り甲斐があるわ〜」

サラはキッチン内を見て回り、あちこちから必要な材料を見つけて来て昼食作りを開始した。

楽しそうに料理をするサラの後ろ姿を笑顔で眺めていたカールは、ふと時計に目をやると苦笑

いを浮かべた。
                                                 すで
正午前には別邸に着いていたはずなのに、書斎での一件だけで既に二時間近く経っていた

のだ。

夢中になると周りが見えなくなるというサラの悪癖が自分にもあったのかと、カールは何故か

無性に幸せを感じ満面の笑みを浮かべた。

「なぁに?どうしてそんなににこにこしてるの?」

「何だか…幸せだなぁと思ってさ」

「カ、カール、いきなり何言い出すのよ…」
                                               あぶ
サラは顔が火を吹いた様に真っ赤になり、ドギマギして手元が危なっかしくなった。
   さま
その様を見たカールは慌ててサラの元へ駆け寄り、包丁を持っている彼女の手を強く握って

止めた。

「危ないじゃないか、サラ」

「だ、だって……あなたが変な事言うから……」

「俺は変な事なんて言ってない、幸せだって言っただけだ」

「そ、そうだよね…。あはは、私が変だったわ」
                   ごまか
サラは照れ臭さを笑って誤魔化すと、カールから離れ料理を再開した。

そんなサラの態度に不満を感じたカールは、再び彼女の手を握ると強引に料理を中断させ

た。

「な、なぁに?」

「……君は幸せじゃないのか?」

「え…?あ、その……もちろん幸せだよ」
           そ
「どうして目を逸らして言うんだ?」

サラは恥ずかしさで無意識に目を逸らしたのだが、カールに指摘されると頬を赤らめた。

すると、カールは素早くサラの腰に手を回し、無理矢理顔を自分の方へ向けさせると、彼女の

大きな瞳を覗き込んだ。

「俺の目を見て言ってくれないか?」

「そ、そんなの……恥ずかしくて言えないよ………」

「……俺だけが思った事を素直に口に出して……淋しいな………」
                       つぶや                         すが
カールが急にシュンとなり力無く呟いたので、サラは慌てて彼の腕に縋った。

「ご、ごめんなさい!私幸せよ、あなたと一緒にいられる事が一番の幸せなの」

サラは照れ臭さを我慢して自分の気持ちを白状したが、彼女の言葉を聞いた途端カールはプ

ッと吹き出した。

カールの反応にサラはハッとなり、ようやく意地悪されていた事に気づいた。

「ひょ、ひょっとして……さっきのは演技だったの!?」

「君は本当にかわいいなぁ」

「もぉ、カールのバカ!嫌いになっちゃうんだから!」

サラが思ってもない事を言うと、そんな彼女の気持ちを百も承知のカールは、すぐに次なる意

地悪を思い付き不敵な笑みを浮かべた。
                                             ため
「そうか。じゃあ、俺の事を本気で嫌いになったかどうか……試してみよう」

「え?な、何を……」

困惑するサラを流し台の上に座らせ、カールは彼女の耳たぶを口に含んでから首筋を舐め始

めた。

「あ……ダ、ダメぇ………」

「サラ、嫌いなら抵抗していいんだぞ?」

「い、意地悪……嫌いになんて……あん…な、なるはずないよぅ……」

吐息混じりにサラが言うと、カールは心底嬉しそうな笑みを浮かべ、彼女を流し台の上から下

ろした。
            こどう                                            ふく
サラは早まった鼓動を深呼吸して落ち着かせ、思い出した様に怒り出すと頬を膨らませなが

ら昼食作りを再開した。

「家に帰ってから意地悪ばかりするわね」
             なお
「君が傍にいて、尚かつ家にいると気が緩みすぎてしまうからね。でも俺は意地悪したとは思

っていない。どれも愛情表現の一つだと思ってる」

「……わかってるわ、だから怒るに怒れないのよ」

「君の怒ってる顔もかわいいから、怒ってくれていいけど?」

「またそんな事言ってぇ〜。今のあなたを部下の人達が見たら、さぞかし驚くでしょうねぇ」

「俺だって指揮官である前に一人の男だ、皆もわかってくれる」

「ふ〜ん。じゃあ、今度皆の目の前であなたに抱きついちゃおうかな〜」

その言葉によって立場が瞬時に逆転し、カールは顔を真っ赤にしながら慌ててダイニングルー

ムへ姿を消した。

そんなカールの仕草が大好きなサラはクスクス笑いつつ昼食を作り、それらを持って彼の後を

追った。

「はい、ちょっと遅くなったけど、お昼ご飯出来たよv」

「あ、ありがとう」

二人は席に着いて静かに昼食を食べ始めたが、カールがまだ顔を真っ赤にしているので、サ
       あき
ラは少々呆れながら話し掛けた。

「冗談だってわかってるクセにまだ照れてるの?」

「……君の場合、冗談じゃない様に思えて仕方がないんだ」
                        こた
「えへへv では、その期待にお応えして本当に抱きつきに行くわねv」

「えぇ!?ダ、ダメだ!絶対ダメだ!」

カールは思わず立ち上がり大声を出したが、すぐ我に帰ると一層恥ずかしくなってしまった。

カールが静かに椅子に座り直すと、サラはにっこりと満面の笑みを浮かべてみせた。

「カールってかわいすぎ〜。女の子よりもかわいいかもしれないねv」

「……君には負けるよ」
                 さ
「そぉ?まぁ、いいや。冷めちゃうから早く食べよ」

「ああ、そうだね」
いと
愛しい人の照れた姿を見るのは互いに楽しいと思っていたが、これ以上はさすがに同じ事の

繰り返しだと、二人は食事に集中する事にした。

やがて昼食を終え、二人で一緒に後片付けを済ませるとサラはふと窓の外を見、嬉しそうにカ

ールの腕を引っ張った。
      にじ
「見て、虹が出てるよ!」

「虹かぁ、久し振りに見るなぁ」

「私も〜。いつ見てもやっぱり綺麗ねぇ」

「ああ、本当に綺麗だ」

二人は温かいコーヒーを用意すると窓の傍に座り込み、しばらくの間虹を見て過ごした。
しだい
次第に空が赤らみ始め、虹がすぅっと消えていくとサラは二人分のカップを持って立ち上がり、

キッチンへと運んだ。

そしてすぐにカールの元へ戻って来ると、彼の手を取って歩き出した。

「どこへ行くんだい?」

「書斎v」

先程行為を行ったばかりの所へ行こうとしているので、カールはもう一度いいのかなと少々期

待してついて行った。
良い方に考えすぎだよ、カール(笑)
        つごう
が、そんな都合の良い展開が訪れるはずもなく、サラは書斎へ入ると本棚に駆け寄り、キラキ

ラと目を輝かせた。

「どうやってこれだけの本を集めたの?」

「集めたと言うか何と言うか…。歴代のシュバルツ家の当主が少しずつ増やしていって、これ

だけの量になったんだ」

「へぇ〜、それで父様の書斎より数が多いのねぇ」
                                        めく
サラは目に付いた本を手に取り、パラパラとページを捲り始めた。
               ふけ                        ぶさた
そうしてしばらく読み耽ってから、ふとカールが手持ち無沙汰になっていると気づき、本から顔

を上げた。

「あなたも読めば?」

「ここの本は昔全部読んだんだ」

「え?そ、そうなの!?ごめんなさい、それじゃあここにいても退屈だよね……」

「いや、そのまま読んでくれていいよ。俺は君を見ているだけで充分楽しいから」
       さわ
カールが爽やかな笑顔でそんな事を言ってのけたので、サラは顔を真っ赤にすると恥ずかし

そうに目を伏せた。

「もぉ……そんな風に言われると、落ち着いて本が読めなくなっちゃうよ」

「決して読む邪魔はしない」

「……わかったわ、お言葉に甘えさせて頂きます」

すんなりと根負けしたサラはカールの手を引っ張り、傍にある長椅子に強引に座らせると彼の

隣に自分も座った。

放っておいたらカールが立ったまま自分を待つかもしれない、と思っての行動の様だ。

カールはサラの何気ない優しさに喜びを感じつつ、本を読んでいる彼女の端整な横顔を眺め

始めた。

そんなカールの視線に始めはドキドキしていたサラだったが、本に集中しようと努力すると、い

つの間にか夢中になって本を読み進めていた。

しばらくして周囲を見渡すと外がすっかり薄暗くなっていた為、驚いたサラは慌てて本を閉じて

立ち上がった。

「もうこんな時間!?早く夕食作らなくちゃ」

「俺達だけなんだから、そんなに焦らなくていいよ」

「……カール、料理っていうのはね、それ相応の時間を掛ければ掛ける程良いものを作れる
                                         だきょう
の。あなたにおいしいって言ってもらいたいから、絶対妥協はしないわ」

「ふっ……そうか、君らしいな」
                                    こら
カールは嬉しすぎて口元がにやけるのを必死に堪えつつ、サラと共にキッチンへ向かった。

そしていつも作ってもらうばかりで申し訳ないという気持ちから、カールは何か手伝う事はない

かと恐る恐るサラに声を掛けた。

「サラ、あのさ……」

「なぁに?」

「……俺にも手伝わせてくれないか?」

「え……?」

カールの突然の申し出にサラは目を丸くして驚いたが、すぐに満面の笑みを浮かべると、包丁

と用意していた野菜を手渡した。

「一緒に野菜の皮むきしましょう」

「い、いきなりそんな高度な事を初心者にさせるのか!?」

「高度じゃないわよ、皮むきは基本中の基本です」

「う………ど、努力する」

カールは慣れない手付きで包丁を持ち、サラの手本を見ながら少しずつ皮をむいていった。

サラはその様子を心配そうに見守っていたが、初めての割になかなかの腕前だったので満足

気に頷いた。
      うま
「うん、上手い上手い。さすが何でも器用にこなすわね」

「それ程でもない…………つっ…!」
     ほ
サラに褒められた事が余程嬉しかったのか、カールが一瞬野菜から目を離した途端包丁で指
                          あざ
を傷付けてしまい、すぐに傷口から鮮やかな赤い血が出てきた。

「あ〜、返事しなくても良かったのに……」

「ごめん……」

「ほら、見せてみて」
                                                        くわ
カールが言われるままに傷付いた指を見せると、サラはその指をパクッと銜え、口の中で傷

口を舐め始めた。

「サ、サラ!?何を……!?」

いつもは自分が指を舐める側だったので、カールは初めての体験に妙にドギマギしてしまい、
         みじん
傷の痛みを微塵も感じなかった。
                                                  ばんそうこう
サラはしばらくカールの指を舐めると救急箱の場所を聞き、急いで絆創膏を取りに行き丁寧に

手当てを行った。

その間ずっとぼんやりしていたカールは、サラに顔を覗き込まれるとやっと我に帰り、見るから

に慌てた様子で微笑んでみせた。

「ありがとう」

「どういたしましてv 次からは気を付けなきゃダメだよ?」

「う、うん……」

カールは素直にコクリと頷くと、手当てしてもらった指をまじまじと眺め呟いた。

「たまには……舐めてもらうのもいいなぁ」
                                                            かし
その呟きを聞いたサラはカールが何を言いたいのか理解出来ず、キョトンと首を傾げた。

「さっきのは消毒の為にしたんだよ?」

「そ、それはそうなんだが……結構気持ち良かったんだ」

「気持ち良かった、かぁ…。じゃあ、今度頑張っちゃおうかな」

「……え?どういう事だい?」

「いつも私ばかり気持ち良くしてもらってるから……あなたにも気持ち良くなってほしいなって

思ったの…」

サラが恥ずかしそうにもじもじしながら言うと、カールは期待に満ちた目で彼女を見つめた。

『今度』というのは要するに『今夜』を意味している、と思った様だ。

まさか今度が今夜にやって来るとは夢にも思わず、サラはテキパキと野菜の下準備を終え、
             いた
それらをカールに炒めてもらいつつ、順調に夕食を作っていった。
                なご
日が完全に暮れると和やかな雰囲気で食事の時間が始まり、少々堅苦しかったファーレン達

との食事とは違い、二人は終始談笑しながら夕食を食べていた。

そうして夕食を終え食後のコーヒーを飲み始めると、サラはカップを指でツンツンしつつカール

に尋ねた。

「……ねぇ、今夜は一緒にお風呂に入ってくれるの?」

「ああ、これからはずっと一緒に入るよ」

「本当!?良かったぁ…」

「すまなかったね、心配掛けて……」

「ううん、いいの。じゃ、急いで後片付けして入りましょv」

二人はカップを持ってキッチンへ行き、ささっと後片付けを済ませると浴室へ向かった。

別邸のお風呂は本邸までとはいかないまでも、一般家庭のお風呂より数倍の広さがあった。
すで
既に薄着だったサラはポイポイと服を脱ぎ捨て、風呂場に入ると心底嬉しそうに手招きしカー
   せ
ルを急かした。

それでもカールはマイペースで焦らずゆっくりと服を脱ぎ、のんびりとサラの後を追った。

「カール、こっちこっち」
                                        そな
カールが風呂場へ入るなりサラは彼の手を引っ張り、備え付けの椅子に座らせるといつも以

上に丁寧にカールの髪を洗い、背中も綺麗に洗い上げた。

「はい、終わり〜♪」

「じゃ、次は俺が洗う番だな」

「う、うん、そうだね……」
                                                          ゆだ
サラは瞬時に顔を真っ赤にしたが、素直に頷いてみせるとカールの手に身を委ねた。

「まずは髪から洗おう」

「……え?い、いいよ、自分で洗うから」

「俺の洗い方が下手だって言いたいんだろ?」

「そ、それは…その……」

「確かにそうだから手伝ってくれ」

カールはサラの手を取ると、一緒に彼女の髪を洗い始めた。

サラはカールに洗い方を手取り足取り教えながら次第に洗わなくなり、最終的には彼に全て

を任せた。

サラの長い青髪を洗い終えたカールは達成感に満ちた笑みを浮かべ、続いて彼女の体を洗

い出した。

「あん……ダメ………」
                           たび
カールの手がいやらしい動きをする度に、サラは色っぽい声をあげその手を止めた。

そんな事を何度も繰り返し、ようやく体を洗い終えた頃にはサラは疲れ果て、カールの胸にも

たれ掛かっていた。

「もっと……普通に洗ってほしいわ…」

「これでも普通なんだが?」

「……もぉ」
                                                      つ
サラは怒って頬を膨らませたが、すぐ笑顔に戻すとカールと共に湯船に浸かりに行った。

「はぁ〜、あったか〜い」

「しっかり温まってから出よう、後で寒くなるかもしれないから」

「…寒くなる?どうして?」

「この辺りは夜になると夏場でも冷え込むんだ」

「寝室に暖炉はないの?」

「あるよ」

「じゃあ、大丈夫だよv」

「……………」

サラが何もわかってくれないので、カールはこっそりとため息をついた。
たと
例え暖炉で室内を暖めたとしても、全裸になれば寒くなるに違いない。
            あ
しかしカールは敢えて何も言わずにのんびりと温まり、サラと二人で仲良く浴室を後にした。
          ほて
そうして体の火照りが無くならない内にすぐ寝室へ向かうと、カールは暖炉に火を付け薪の量

を調節し、室内を快適な温度まで暖め始めた。
                               うかが         くも
一方、サラはカーテンを捲って外の様子を伺い、ガラスの曇り具合から中と外の温度差を実感

していた。

「もう夏なのに、ここは本当に寒いのねぇ。標高が高いからかしら……」

サラが曇った窓ガラスを拭って夜空を見上げていると、こっそりと背後に忍び寄ったカールが

突然彼女を抱きしめた。

「わっ、び、びっくりした〜。もぉ〜、カール……
………」
                                                ふさ
驚いたサラはカールを見上げ抗議しようとしたが、その瞬間口を塞がれた。

後ろからの突然の口づけに、サラは動揺しすぎて状況を把握出来なくなり、口づけをしながら

カールが彼女の服を脱がせている事に全く気づかなかった。

やがて濃厚な口づけが終わると、その時になってサラはようやく自分の姿に気づき、慌ててカ

ールから離れベッドへ逃げた。

「い、いつの間に服を……?」

「気づかなかったのか?普通に脱がせたつもりだったんだがな」
                                                       もうふ
そう言いながらカールが不敵な笑みを浮かべ近づいて来るので、サラは毛布で体を隠し少し
   あとずさ
ずつ後退った。

「ま、待って。昼間にしたばかりでしょ?」

「あんなのはした内に入らない」

「入るよぅ!」

「いいや、入らない。それに……今度頑張るって言ってただろ?」

「そ、それは確かに言ったけど、今夜なんて一言も………」

「期待してるよ、サラ。俺を気持ち良くさせてくれ」

カールは一人で勝手に話を進めると素早く服を脱ぎ、サラのすぐ傍まで移動し爽やかに笑っ

てみせた。
         ふ
サラは少々腑に落ちない気もしたが、カールの為ならと意を決して手を伸ばした。

「来て、カール」

カールはサラの両手に包まれる所まで行き、そのまま彼女によってベッドへ押し倒された。

「動いちゃ……ダメだよ」
                     ば
サラはカールの上に四つん這いになると、そっと唇を重ね恐る恐る舌を入れ始めた。

が、その瞬間カールが強引に舌を絡めてきた為、サラは慌てて唇を離し頬を膨らませた。

「カール、動いちゃダメって言ったでしょ?」

「あ、すまない、つい…」

「『つい』じゃないわよ、もぉ〜」

サラは少々怒りながらも改めてカールの上に乗ると、今度は口づけから始めずに彼の大きな

手を取り、指一本一本を優しく丁寧に舐め始めた。

「どお?気持ちいい?」

「ああ、君と同じで薬指が一番いいかな」

「ふふふ、お揃いだねv」

そんなに大した事ではなかったが、サラは非常に幸せを感じると、恥ずかしさを忘れて一生懸

命カールの指を舐め続けた。

そして次第に指から腕、腕から首筋へと舌を移動させ、もう一度唇を重ねた。
                                               のどぼとけ
しかし今回は舌を入れずにすぐ口づけを終了し、サラはカールの喉仏に軽く口づけしてから、
             くまな
たくましい胸板を隈無く舐め回した。

(思ったより気持ちいいな……。サラもいつもこんな風に感じてくれてるのだろうか…?)

サラに乳首を舐められて快感を感じたカールは、自分が彼女の乳首を舐めている時の事を思

い浮かべた。

自分とは違い、サラは気持ちいいと声をあげてくれるので、こんな事にも男女で違いがあるの

かと初めて知った。
                        なか          へそ
その内、サラは舌を胸板からお腹へと移動させ、臍付近を優しく舐めると一旦カールの体から

顔を上げた。

一瞬もう終わりかと勘違いしたカールは、思わずサラの両腕を掴んで尋ねた。

「………どうしたんだい?」

「余り反応が無いから、気持ち良くないのかと思って……」

「充分気持ちいいよ。ただ……男女では感じ方が違うみたいだから、反応が無い様に見える

のかもしれない」

「そうなんだ……。私はいつも声出しちゃってるのになぁ…、何だかズルイ……」

「……だが、俺にはこれ以上どうする事も出来ない」

「わかってる……」

サラはカールの厚い胸板を愛おしそうに撫で、ベッド上をもぞもぞ移動すると今度は彼の足を

舐め始めた。

少しでもいいからカールに声をあげさせよう、と努力している様だ。

が、徐々に物足りなさを感じてきたカールは心の中で色々と検討した結果、サラにある事をし

てもらおうとの結論を出した。

その結論を伝える為、カールはサラが足を舐め終えるのを待ってから口を開いた。

「サラ、舐め忘れている所があるだろう?」

「え?………………………あ、あるかもしれない……ね……」

「男にとっては恐らくそこが一番気持ちいい所だと思うよ」

「そ、そうなの?でも……私そんな事………」

「強要はしない、出来ればでいいから」

「カール………」

カールの優しい言葉を聞き、サラはよしと気持ちを奮い立たせると、今まで恐ろしくて一度も見
             こかん
た事の無い彼の股間に目をやった。
          なか  さ
いつも彼女の膣に挿し込まれるそれは、体に感じた快感を表現するかの様にたくましく反り返

っていた。
                       なか
(こ、こんなに大きいのが私の膣に入ってたの…?信じられない……)

サラが股間を凝視したまま動かない為、さすがに恥ずかしくなってきたカールは隠しはしなか

ったが、彼女の顔を強引に上げさせた。

「サラ、無理しなくていいんだよ?」

「無理なんかしてないわ。……あなたが気持ち良くなってくれるなら私……頑張れる…」
          けなげ
サラは非常に健気な事を言うと、カールのたくましいものを両手で包み、恐る恐る舌を近づけ

舐め始めた。

「んっ……あ………」

途端にカールはかつてない快感を感じ、思わず体をのけ反らせ吐息を漏らした。

カールがようやく声をあげてくれたと、嬉しくなったサラは一生懸命舐め続けていたが、途中で

ふとキッチンでの出来事を思い出した。
          くわ
あの時は指を銜えてから舐めており、カールはそれが気持ちいいと言っていたのだから、同じ

様にすればもっと良くなるかもしれない。

そう思ったサラは試しに一度銜えてみる事にした。

「はぁ……あ………サラ……?」

サラの行動に驚いたカールは一瞬困惑の表情を見せたが、すぐに快感に身を任せ始めた。
                  あご
(…お、大きすぎて……顎が………)

サラはカールのたくましいものを半分まで口中に入れた時点で顎に疲れを感じ、これ以上は

無理だと判断すると急いで口から出そうとした。

しかしその瞬間カールに頭を思い切り押さえられ、銜えていたものが喉の奥まで入り込んでし

まった。

「ん……!ん
……!!」

余りの苦しさにサラは必死にもがいたが、カールは無意識に彼女の頭を押さえていた為、し

ばらくの間周囲の状況に全く気づかなかった。

しかもサラがもがけばもがく程快感が倍増され、より一層手に力が入っていった。

それでも何とかもがき続けていると、ようやくカールが快楽の世界から意識を取り戻し、慌て

てサラの頭から手を離した。
                                         さいこっちょう
だが時既に遅かった様で、手を離したと同時に快感が最骨頂に達していたカールの体から大

量の液体が放出され、離れようとしていたサラの顔や体に飛び散った。

始めは何が起こったのか理解出来ず、サラは呆然とカールを見つめていたが、すぐに全てを

察し頬を赤らめた。

「す、すまない。大丈夫か?」

カールは傍にあったタオルでサラの顔と体を丁寧に拭き、きちんと謝ると彼女の様子を心配そ

うに伺った。
                                せ                     たた
すると、サラは思い出した様にゴホゴホと咳き込み、カールの腕を何度も叩いた。

「どうして頭を押さえたりしたの!?すごく苦しかったんだよ!?」

「……ごめん、余りに気持ち良かったから無意識に押さえてたんだ」

「え………気持ち良かったの?」

「ああ。君の頑張りのお陰だ、ありがとう」

「う、うん……どういたしまして…」

サラがほっと胸を撫で下ろしていると、満面の笑みを浮かべていたカールはすぐに次の行動を

起こし、彼女をベッドへ押し倒した。

「俺も頑張ってみようかな」

「あ、あなたはいつも通りでいいよ」

「君がこんなにも頑張ってくれたんだから、俺にも頑張らせてくれ」

カールはわざとらしく耳元で囁き、サラを大人しくさせてから彼女の首筋に口づけを始めた。

「あ……やん………」

サラは体をピクンと震わせて喘ぎ、その反応を見たカールはいつもと何かが違う様な気がした
               うちもも
ので、強引に彼女の内股を割り秘部をまさぐってみた。
                                         なか
すると、まだ前戯を始めたばかりだというのに、サラの膣が既に濡れている事がわかった。
          ずいぶん
「サラ、今日は随分濡れるのが早いんだな」

「そ、そんな事知らないもん」

「ふっ……知らない訳ないだろう?こんなにも濡れてるクセに」
                                なか     さ              か
カールは不敵な笑みを浮かべると、サラの膣に指を挿し込みグリグリと掻き混ぜた。

「やぁ……だ、だめぇ………」

「ほら、濡れてるってわかるだろ?」

「やめ…て……お願い………」

「まだわからないらしいな」

サラが恥ずかしくてハッキリ言えないだけだとわかっていながら、カールは笑顔のまま意地悪

を続けた。

「じゃあ、中指も入れてみよう。それならわかるかもしれない」

「ま、待って……」

「大丈夫、二本くらいなら入れても痛くないはずだ」

「あぁ……いやぁ………」
                                                           しゅうちしん
カールの言う通り痛くはなかったが、喘いでいる姿をじっと観察されている事に羞恥心が沸き

起こり、サラは弱々しい力で必死に抵抗した。
                                  つな                            なか
しかしそれが余計にカールを興奮させる事に繋がり、挿し込まれた二本の指がサラの膣で激

しく動き回った。

「はぁ……カール………私…もう…………」

「もう、何だい?」

「お願い……意地悪しないで…………」

「意地悪?俺は意地悪なんてしてないよ」

「……早く…ん………あぁ……」
         た
指の動きに堪えられなくなってきたサラは声までも弱々しくなり、これ以上意地悪するのはさ
                                               なか
すがに気が引けてきたカールは、愛液にまみれた指を彼女の膣から抜き取り、それをそのま

ま口へ持っていくとペロリと舐めた。

「サラ、指とは別のものを入れてほしいんだね?」

「……………」

サラは口では返事をせず、瞳を潤ませながらコクリと頷いてみせた。
 なか
(膣はもう充分濡れているし、少し早いがまぁいいか……)

何でもきっちりしなくては気が済まないカールにしては珍しく、すんなりとサラの要望に応える

と行為を始める事にした。

カールはサラの両足を優しく広げ、既にやる気満々になっているものを彼女の膣にゆっくりと

挿し込んでいった。

「は
………あ…………」
             きゅうくつ          さんざん
いつも最初は多少窮屈な入口が、指で散々まさぐったお陰でカールのたくましいものをぬるり

と奥へ引き入れた。

途端に快楽に溺れ始めた二人は強く抱き合って行為を続け、深夜まで互いを求め合った。

何だかんだ言いながら、二人はずっと運動していた様なものなので、全裸でもそんなに寒くな

らなかったのだった。










●あとがき●

とうとうやってしまいました、年齢制限!
実は前々からチャレンジしたいと思っていたので、思い切って挑戦して良かったですv
デキはいつも通りヘナチョコになりましたが(笑)
『性描写はラブラブの延長線』と私は定義しているので、恋愛小説と思って読めば年齢制限す
る必要の無い内容かもと思っています。
とは言え、やはり鬼畜+狼カールが暴走しました。
それとは正反対に、サラの頑張りは素晴らしかったですv
好きな人の為なら、どんなに恥ずかしい事でも出来てしまうものなんですよねvv
しかしカールの頑張りも忘れてはいけない。
料理初挑戦のカール、如何でしたでしょうか?
他がアレだったのでかわいいカールを目指したのですが、サラには見事に完敗(笑)
これからはかわいいカールをもっと書きたいと思いますv

●次回予告●

別邸で熱々の夜を過ごした翌日、カールとサラは昼食を終えてから本邸に向け出発します。
本邸までもう少しという所でカール達はある人物と再会!
その人物は再会を異常に喜びますが、カールは彼に冷たい言葉を投げ掛けます。
二人の様子をハラハラしながら見守るサラ。
今度こそシュバルツ家全員集合!!
第五十八話 「シュバルツ家〜五日目〜」  ほぉ……サラに会いたくて来たのか……

                       
<ご注意>

次の第五十八話「シュバルツ家〜五日目〜」は性描写を含みます。
お嫌いな方・苦手な方はお読みにならないで下さい。
ちなみに第五十七話をお読みになった方なら大した事ないと思われる程度の内容です(笑)