第五十二話
〜その3〜

「祭り〜オコーネル×○○○編〜」


                           そろ
責任者であるはずの指揮官二人が揃って逃亡し、本部テント内に一人ポツンと取り残された
                                 うかが
オコーネルは、外から心配そうに彼の様子を伺う部下達に大丈夫と微笑んでみせると、傍の

椅子に力無く腰を下ろした。

どうしてあの二人、特に自分の上官殿はいつもこう面倒を押し付けてくるのだろうか…?

恋人が訪ねて来てくれたのは確かに嬉しい事かもしれないが、自分達がお祭りの責任者で

ある事をもっとよく自覚した上で行動してほしいものだ。
          いらいら
オコーネルは苛々した気持ちを落ち着かせようと、持参したコーヒーメーカーでコーヒーを用意

し、ぐいと一気に飲み干した。

「はぁ……こうなったら一人で頑張るしかないか…」

責任者は本部テントにいるだけでいいので、後はどうやって暇つぶしをするかを考えればいい

だけだ。

そう気持ちに踏ん切りを付け、オコーネルが椅子に座り直した丁度その時、本部テントの入口
                 のぞ
から一人の女性が顔を覗かせた。

その女性はテント内をぐるっと見回してからようやくオコーネルの存在に気づき、にっこりと微

笑みながら彼の傍へやって来た。

「シュバルツ大佐とクローゼ博士はどちらにおられますか?」

また大佐のファンかと一瞬思ったが、サラの名前も同時に出た為、オコーネルは質問に素直

に答える事にした。

「お二人なら祭りに参加されていると思いますが、詳しい場所まではわかりません」

「そうですか……。あ、じゃあ、ハーマン少佐とミシェールさんは?」

「ハーマン少佐達も祭りに参加されてます」

「あちゃ〜、来るのが少し遅かったぁ〜」

女性は相当ショックだったらしく、ヘナヘナと地面に座り込んでしまったので、心配になったオ

コーネルは慌てて駆け寄り彼女を助け起こした。

「大丈夫ですか?」

「は、はい、すみません」
                                               つか
女性はオコーネルに向かって照れ臭そうに微笑み、彼の手に掴まりながら立ち上がると服に
    ほこり
付いた埃を払った。
                                                              こどう
女性の顔を近くから改めて見たオコーネルはそのかわいさにドギマギしてしまい、鼓動が異

常に早くなったのが自分でもわかった。

「困ったな…どうしようかしら……」

行くアテを無くした女性は難しい顔をして考え込み、彼女の横顔を呆然と見ていたオコーネル

は、困っているのなら何とか手助けしたいと、自分に出来る事を思案し始めた。

彼女は指揮官二人とその恋人達に用があるらしい。

いつになるかはわからないが、彼らは本部テントへ戻って来る事になっている。

という事は、ここで待ってもらえば良いのだ、とオコーネルは答えを見つけ満面の笑みを浮か

べた。

「大佐達なら、後でここに戻って来るはずです。お会いになりたいのでしたら、ここでお待ちに

なったらどうですか?」

「でも……ここにいたらご迷惑じゃないですか?」

「迷惑なんてとんでもない!私は大歓迎…いや、ここには私しかいませんから問題無いです

よ」

「そうですか?…う〜ん、じゃあ、お言葉に甘えてここで待たせて頂きます」

「あ、ど、どうぞ、お掛けになって下さい」

「ありがとうございます」

女性はオコーネルに勧められた椅子に腰を下ろしたが、すぐに思い直した様に立ち上がった。

驚いたオコーネルが必死の視線を投げ掛けると、女性は持っていた大きなカバンを椅子にド
                         さいふ
サッと置き、中からかわいらしい財布を取り出した。
     す
「お腹空いてませんか?」

「え、あ、はい、まだ夕食を食べていませんから」

「じゃあついでですから、私のと一緒に何か買って来ますね。好き嫌いはありますか?」

「い、いえ、何でも大丈夫です」

「それなら何を買っても大丈夫ですね。では、ちょっと待ってて下さい」

オコーネルが呆然と見守る中、女性は小走りでテントから出て行った。
           せいじゃく
再びテント内が静寂に包まれると、オコーネルはひょっとして今までのは全部夢だったのでは

ないかと不安になったが、隣の椅子の上に置かれているカバンを確認すると、夢ではないと

自信を持てる様になった。

そうしてオコーネルがそわそわしながら待っていると、両手いっぱいに食べ物を持った女性が

よろよろしながら帰って来た。

「だ、大丈夫ですか?」

「え、ええ。おいしそうだったから、つい買いすぎちゃいましたv」

女性はオコーネルに手伝ってもらい、両手いっぱいの食べ物をテーブルの上に置くと、その中

の一つを手に取り彼に差し出した。

「はい、どうぞ。……え〜っと……あれ?お名前何でしたっけ?」

「あ、自己紹介がまだでしたね」

「あぁ〜そう言えばそうだった!失礼な事言ってすみませんでした…」

「い、いえ。私は共和国軍大尉、オコーネルと申します」
  ていねい
「ご丁寧にどうも。私は帝国国立研究所でクローゼ博士の助手をしております、ナズナです」

「クローゼ博士の助手をなさっているのですか、すごいですね」

「えへへ、助手なんて大した事はないですよ」

本部テントに訪ねて来た女性とはナズナの事であった。

今日ナズナがお祭りにやって来たのはある目的があったからなのだが、そのお陰で二人は

運命の人と出会う事になった。

しかし現時点でそう思っているのはオコーネルだけで、ナズナは目的を果たす事しか頭にな

かった。

「えっと…改めましてオコーネル大尉、これどうぞ」

「あ、ありがとうございます」
                                               ほころ
ナズナから夕食を受け取ったオコーネルは嬉しさで思わず顔を綻ばせ、そのまま呆然と彼女

を眺めていた。

が、ナズナはオコーネルの熱っぽい視線に一切気づかず、目の前にある夕食を笑顔で黙々と

食べ始めた。
                                                    つま
「メインは二人分買ったんですが、他は全部一人分なんです。適当に摘んでどんどん食べちゃ

って下さい」

「は、はい、いただきます」

オコーネルは慌ててナズナが買って来てくれた夕食に手を付け始めたが、ハッキリ言って味

わっている余裕は無かった。

長らく経験出来ずに忘れ去っていた恋心、それがメラメラと燃え上がりつつあった。

彼女の事をもっとよく知りたい……

そう思ったオコーネルは食事中ではあったが、ナズナに話し掛けてみる事にした。

「あ、あの…ナズナさん」

「はい、何でしょうか、大尉」

「きょ、今日はどういったご用件でこちらに来られたのですか?やはり祭り見物ですか?」

「いえ、実はお祭りに参加しようと思ってここに来た訳ではないんです」

「で、では何をしにここへ…?」

「…教えてあげてもいいですけど、博士達には絶対に内緒にして下さいよ?」
                       かた
「は、はい、大丈夫です。口は堅い方ですから」

ここ数十分の間、オコーネルは常にどもりながら話していたのだが、それが恋心から来ている

緊張の為と伝わらず、ナズナは話し下手な人なのだと微笑ましく思いつつ、床に置いたカバン

の中からこれまた大きなカメラを取り出した。

「私の目的はこれです」
                      と
「これですって…カメラで何を撮るつもりなのですか?」

「もちろん大佐と博士のラブラブ写真v」

一目で心奪われそうなかわいらしい仕草で答えるナズナに、オコーネルは呆然となりつつも

話を続けた。

「た、大佐と博士のラブラブ写真…。お二人の写真を撮りに来たんですか?」

「ええ。あ、ついでにハーマン少佐とミシェールさんのラブラブ写真も撮ろうって思ってますv」

「は、はぁ…。その……ラブラブ写真なんて撮ってどうするんですか?」

「三ヶ月後に帝国で『ラブラブ写真コンテスト』があるんです。それに応募しようと思いまして」

「ラ、ラブラブ写真コンテスト?帝国では変わった行事が行われているんですね」

「そうでもないですよ、共和国でも探せば行われているかもしれません」

ナズナの目的……カール達のツーショット写真を撮り、ラブラブ写真コンテストに応募する事。

これにはもちろんナズナだけでなくステアも一緒に応募する予定であったが、ツーショット写真

を撮るには隠密行動が必要不可欠なので、写真を撮る担当のナズナは単独で行動する事に

なった。

従って、こんな所まで一人でやって来たのだ。

一方ナズナの目的を知ったオコーネルは、ラブラブ写真コンテストからどうやって話を発展させ

ようかと悩み始めた。

その時ふと会場の中心に目をやると、たくさんの見物人が一カ所に集まっているのが見えた

為、ナズナは面白い事がありそうだと、瞳をキラキラさせながらオコーネルに尋ねた。

「中央に人がいっぱい集まっていますけど、あそこで何かしているんですか?」
                                   ひろう
「あ、は、はい、特設ステージで兵士達が芸を披露し始めたんだと思います」

「へぇ、面白そうv」

ナズナは満面の笑みを浮かべて再び会場中央に目をやったが、見に行こうとはしなかった。

カール達がいつ戻って来るかわからないので、動きようが無かった様だ。
   とど
が、留まっていた事を後になって後悔する出来事が起きた。

ステージ上にいると思われる司会者の兵士がサラの名を呼んだのだ。
                す
当然驚いたナズナは直ぐさま立ち上がり、必死に背伸びをしてステージ上にいるサラを見よう

としたが、見物人が多すぎて見る事が出来なかった。
                           あせ
やがてサラの歌が始まってしまい、焦ったナズナはオコーネルをテントの外まで引っ張り出し

た。

「ど、どど、どうしたんですか!?」

「大尉、お願いがあるんです」

「お、お願い…?」

「私をおぶって下さい」

「お、おぶる!?い、いけませんよ、初対面でいきなりそんな大胆な……」

「博士が歌っている間に大佐の位置を確認しておきたいんです、お願いします」
                                                          こんがん
オコーネルが妙な事を口走っていたのに全く気づかず、ナズナは彼に必死に懇願した。

カールやハーマン同様オコーネルも女性に弱いらしく、心では断ろうと思っていても体は勝手

におぶる体勢になってしまっていた。

「ど、どうぞ」

「ありがとうございます、大尉」

オコーネルは早まりつつある鼓動を懸命に落ち着かせ、ナズナをおぶって立ち上がると、ステ

ージ周辺にいる見物人の傍へ向かった。

「ん〜」

「ど、どうですか?大佐、いらっしゃいましたか?」

「もう少し左へ行って下さい」

「りょ、了解」
初めての温もり(笑)
ナズナはサラが一定方向を見て歌っている事に気づくと、彼女の目線の先にカールがいるの
      すいそく
だろうと推測し、オコーネルに移動してもらった。
                                        たたず
すると、やはり思った通り、サラの目線の先に笑顔で佇んでいるカールを発見した。

「大佐、はっけ〜ん♪」

「み、見つかったんですか?」

「ええ、大尉のお陰です。ありがとうございましたv」

「そ、そんな…私は大した事は……」
                   つぶや
オコーネルが照れ臭そうに呟いていると、ナズナはふと基地を見上げ、見覚えのある二つの

人影を発見した。

「あら!?あれってもしかして…」

「ど、どうしました?」

「大尉、あそこにいるのってハーマン少佐達じゃないですか?」

ナズナが指し示した方向に目をやったオコーネルは、見飽きたと言っても過言ではない人影を

見つけた。

間違いない、自分の上官殿だ。

「確かに少佐達ですね」

「これはシャッターチャ〜ンスv 大尉、悪いんですけど、少佐達に見つからない様に近づいて

もらえませんか?」

「りょ、了解です」

ひょっとして自分は乗り物としてしか見られていない…?
              いだ
そんな疑問を胸に抱きつつ、オコーネルはハーマン達がよく見える場所までこっそり歩み寄っ

た。

ナズナはすかさずカメラを用意すると、バルコニー上にいるハーマンとミシェールにピントを合

わせた。
                え
「ふっふっふっ、いい画が撮れそうだわv」

ナズナは連続で何枚もハーマン達の写真を撮っていたが、バルコニー上の二人は全く気づく

様子を見せなかった。

しばらくして気が済んだらしく、ナズナが満面の笑みを浮かべてカメラを下ろすと、ステージか
              はくしゅ
ら割れんばかりの拍手が響き渡った。

どうやらサラの歌が終わった様だ。

「わぁ〜終わっちゃった〜」

「急いで大佐の所へ行きましょう」

「はい、お願いします」

突然立場が逆転し、オコーネルはナズナをおぶったまま走ってカールの元へ向かった。

しかし、先程までいたはずの所にカールの姿は無かった。

慌てて周囲を見回すと、ステージ近くにヒュースの姿が見えたが、今は彼の事などどうでもい

い。
                           さが
ナズナの為に、カールとサラを必ず捜し出してみせる。

「……あ、いた!」
                                              いちもくさん
人込みの中で見覚えのある軍帽を見つけると、オコーネルは一目散にそちらへ走った。
                   ひとけ
カール達は人込みを抜け人気の無い場所まで行くと、傍にあるブロック壁に仲良く腰掛けた。

「た、大尉、二人に見つかっちゃうよ!」

「お任せを」
                       ひそ
オコーネルは素早く物陰に身を潜ませるとナズナを背中から降ろし、彼女と共にカール達の様

子をこっそり伺った。

「よしよし、今の内ねv」
                かま
ナズナは再びカメラを構え、カールとサラのラブラブ写真を撮り始めた。
                                                             や
やがて夜空に花火が打ち上げられ、その光に気づいたナズナは写真を撮るのを止め、呆然と

空を見上げた。

「きれい……」

ナズナの様子から、帝国では花火は滅多に見られない事を思い出したオコーネルは、今日こ

こに彼女が来てくれて良かったとしみじみ思った。

二人が出会えた日の記念に花火は丁度良い。

夜空に大輪の花を咲かせている花火を見るフリをしながら、オコーネルはじっとナズナのかわ

いらしい横顔を見つめていた。

一方ナズナはオコーネルの熱い視線に全く気づかず、夢中になって花火を眺め続けていた。

「…あの……ナズナさん」

「はい、何でしょうか?」

「あ……いや、その…は、花火綺麗ですね」

「そうですね。私、花火ってモニター越しにしか見た事無かったんです。だから今日ここに来て

良かったぁ……」

ナズナは呟く様に言い、再び夜空に輝いている花火を見上げた。

その言葉は自分にも当てはまると思いつつ、オコーネルも再びナズナの横顔を眺め始めた。
               せつ       あざわら
しかしオコーネルの切なる思いを嘲笑うかの様に、幸せな時間は長くは続かなかった。

ナズナが帰ると言い出したのだ。

ついでに本部テントに戻らなくてはならない事を思い出すと、オコーネルはガックリと肩を落と

し、カバンを取りに戻るナズナと共に本部テントへ向かった。

ナズナはテキパキと大きなカバンにカメラをしまうと、オコーネルに向かって深々と頭を下げ

た。

「オコーネル大尉、今日はありがとうございました。あなたのお陰でいい写真をいっぱい撮る

事が出来ました。これならコンテストで優勝するのも夢じゃないです、本当にありがとうござい

ました」

「い、いえ、お役に立てて何よりでした」

「何かお礼が出来ればいいのですが…何かあったかなぁ……」

そう言ってナズナがカバンの中をごそごそし始めると、オコーネルは慌てて彼女を止めた。

「お礼なんていいですよ!わ、私は…あなたに会えただけで……その…幸せで……」

「……あっ、あったぁv」

オコーネルが告白らしき事を口走ったが全く相手にされず、ナズナはカバンの中からお礼にな

るものを取り出し、嬉しそうに彼の前に差し出した。
                           きんちゃく
差し出された手を見てみると、小さな巾着袋が乗っていた。

「どうぞ受け取って下さい、大尉」

「…これは?」
                                    もら
「お守りです。私が小さい頃におばあちゃんから貰ったものなんです」

「そ、そんな大切なものは頂けません!」

「いいんです、私はもう充分守ってもらいましたから。それに私よりもあなたの方がこれが必要

だと思うんです。受け取って下さい、お願いします」

そこまで言われて断ったら、彼女にも彼女のおばあちゃんにも悪い。

オコーネルは不自然な程ゆっくりとお守りを手に取ると、ナズナに微笑んでみせた。

「ありがとうございます、ナズナさん」

「どういたしましてv じゃ、私そろそろ失礼しますね」

「あ、あの……」

「はい?」

「途中までお送りさせて下さいませんか?」

オコーネルの突然の申し出に、ナズナは驚いた様子で目を丸くしたが、すぐ笑顔に戻りコクリ

と頷いた。

「はい、お願いします、大尉」

「では、参りましょう」

オコーネルとナズナは仲良く並んで歩き出し、迎えの車の元へ到着するまでの間ずっとたあ

いのない話をしていた。
                                                                 ちぢ
最後の告白の機会と思われたが、オコーネルは何も言い出せず、結局二人の距離は縮まる

事なくあっさりと目的地まで来てしまった。
                     ごと
迎えの車の窓からは当然の如くステアが顔を出した。

「ナズナ、ご苦労様。で、首尾はどうだった?」

「そりゃもうバッチリv」

「ふふふ、じゃあ優勝は頂きねv」

「ええ、当然でしょv」
                                                              おちい
ナズナとステアが妙に盛り上がっている為、話の輪の中へ入るに入れない状況に陥ってしま

ったオコーネルは、内心焦りながらも二人の様子を黙って見ていた。

そうしてステアと一通り話し終えたナズナは笑顔で振り返り、オコーネルにペコリと頭を下げ

た。

「大尉、送って下さってありがとうございました」

「ナ、ナズナさん……」

「はい?」

「ま、またいつか……お会い出来ますか?」

オコーネルが気持ちを精一杯言葉にすると、ナズナは彼の本心に気づかず笑顔で頷いた。

「ええ。機会がありましたら、またどこかでお会いしましょう」

「どこかで……。そうですね、またどこかでお会い出来る日を楽しみにしてます」

「はい、私も楽しみにしてます。その時までお元気で、オコーネル大尉」

「あなたもお元気で……」

ナズナは車の助手席に乗り込むと小さく手を振り、国立研究所へと帰って行った。
                                                        つな
こうしてオコーネルの恋路は静かにスタートを切り、彼の手にはナズナとの繋がりであるお守

りが大事そうに握られていた。





「ねぇ、さっきの人誰?」

「共和国軍のオコーネル大尉よ」

「ふ〜ん、大尉ってば……」

「なぁに?大尉がどうかした?」

「ううん、気づいてないならいいわ。私の口から言っちゃいけない事だから」

「???」

国立研究所への帰り道、先程のやり取りを思い出したステアは、すぐにオコーネルの思いを

察する事が出来たが、ナズナは気づく気配すら見せなかった。
                    みもの
こちらの二人はこれからが見物だ、と内心ほくそ笑むステアであった。



                           *



それから三ヶ月後、ラブラブ写真コンテストが開催され、その日の内に結果が発表された。

優勝したのは……いつの間に応募していたのか、サラが郵送で応募した写真であった。
                                                                   ゆず
その写真はお祭りの時に帝国軍の兵士が撮ったもので、サラは裏から手を回し苦労して譲っ

てもらったらしい。

何故サラがそこまでして手に入れようとしたのかというと、その写真には知り合いが写ってい

たからだ。

サラが入手した写真に写っていたのは……オコーネルとナズナであった。

しかもおんぶをして走り回っている時の。
                                    の       さっし
結果を知ったナズナは驚きつつも、その写真が載っている冊子を大切に保管したが、オコーネ

ルの方にはコンテストの情報が一切伝わっていなかった。

帝国主催のコンテストなのだから無理もない。
                                   お
ちなみにステアとナズナが応募した作品は、惜しくも二位と三位を受賞したのだった。










●あとがき●

ハーマン×ミシェール編以上に「とうとう」と言ったお話に仕上がりました。
ず〜っと独り身のオコーネルがかわいそうだな、そう思って彼にも恋人を作ってしまいましたv
相手が私のオリキャラなので、不満のある方がおられるかもしれませんが(笑)
フリーの女性キャラって少ないどころの騒ぎではないですし、仕方ない事だと思って下さい。
ナズナよりもステアの方が良かった!という方がいたら逆に面白いですね。
しかしステアは軍人には興味ありません(カールは除いての話)
以前ステア達の会話の中で「いい人を紹介して下さいv」といったセリフがありましたが、実は
「軍人がいい」と言っていたのはナズナです。
どちらかわからなかったと思いますので、今ようやくわかる新事実ってヤツですv
とは言え、以降この二人のお話は書く予定はありません(爆)
書くとしても二部が終わってからになります。
この二人に対して何らかの反応(批判は除く)がありましたら、その時は二人の恋物語を考え
たいと思いますv
オコーネルとナズナの仲を応援して下さるという方は気長に待ってやって下さいvv

●次回予告●

帝国軍・共和国軍共同開催のお祭りをたっぷり楽しんだカール達。
女性陣は基地に泊まる事になり、基地内の一室にて愛する男性を待ちます。
男性陣はお祭りの打ち上げに参加し、飲めや歌えの大騒ぎ♪
ハーマンは前日行った勝負の続きをしようと、カールに再び勝負を申し込みます。
第五十三話 「祭り〜後編〜」 サラ、俺を介抱してくれないか?

                       
<ご注意>

次の第五十三話「祭り〜後編〜」は性描写を含みます。
お嫌いな方・苦手な方はお読みにならないで下さい。
酒に強いはずのカールが……というお話です(笑)