「お宅拝見!〜サラ編〜」
皆様、こんにちわ。ガイロス帝国国立研究所に務めているサラ・クローゼです。 今回は私の大切な男性カール…じゃなくて、帝国軍で断トツの人気を誇る美形軍人、カール・ リヒテン・シュバルツ大佐のお部屋をリポートするという役目を仰せつかりました。 余り自信は無いですが、頑張ってリポートしたいと思います。 ではまず、第一装甲師団の基地に侵入を試みます。 ………ピピッ! ガチャッ ふっ…ちょろいもんですv 難攻不落と言われている軍のセキュリティーも、私の手に掛かれば大した事はありません。 そしてより内密性を高める為に、今回は以前使用した事のある軍服を着ています。 長編小説の第三十一話「救出」を参照の事。 軍服を着ているお陰で兵士さん達には一切怪しまれず、カールの…じゃなくて、シュバルツ大 佐のお部屋の前まで難なく到着しました。 誇りある帝国軍がこんな事でいいのだろうか?とたまに思う事もありますが、細かい事は気に しないでおきますv えっと……ドアのロック解除ナンバーは『0512』ですね。 何の数字かは秘密にしておきます、勘の鋭い方にはばれているかもしれませんが。 ではでは、お待ちかねのシュバルツ大佐のお部屋へ入ってみたいと思います。 ……入口から見た感じでは、ものが異様に少ないという印象を受ける部屋です。 必要最小限のものしか揃えていない様です。 男の人はこれが普通なのかなぁ… あ、机の上には大量の書類が乗っています。 最近は演習よりも書類を捌く方が主な仕事になっていると、大佐も嘆いておられました。 軍人さんって大変ですね。 それにしてもものが少ない分、楽しみが半減してしまいそうです。 しかし、ステアとナズナに探してと頼まれたものを発見するまでは帰らない所存です! …ステア達に探してと頼まれたものとは何かって? 思い切って教えちゃいます、女の人の裸が載っている本です。 男の人は必ず持っている、と二人が言っていました。 <以下、サラの回想> 「えぇ〜、大佐のお部屋をリポートするんですか〜?」 「いいな〜いいな〜、私達も連れて行って下さいよぅ!」 「ダメよ、『私一人で』というのが条件なんだから」 「誰がそんな条件を出したんですか?」 「この世界の神様みたいな存在の人かな」 「それって今川さ………あははは、そうなんですか。それなら仕方ないですね」 「じゃあ博士、頼み事は聞いてもらえますか?」 「私に出来る事であればいいわよ」 「女の人の裸が載っている本を探して下さいv」 「女の人の裸? そんな本を探してどうするの?」 「どんな本で、どんな女性が載っているのかをチェックしてほしいんですv」 「きっと博士に似た人が載っているはずですよvv やっぱり好みの女性が載っているものを買 うでしょうからvv」 「…でも、カールがそんなものを持っているかどうか…」 「絶対持っていますって! 持っているのが当たり前なんですから。…というより、男の人なら 持ってないと変ですよ」 「ふ〜ん、そういうものなんだねぇ。わかったわ、探してみる」 『お願いしま〜すv』 <以上、サラの回想終わり> 始めは探したくなかったんですが、今はあるなら見ておきたい気持ちでいっぱいです。 私以外の女性の裸を見て喜ぶなんて……ちょっとヤキモチを焼いてしまいます。 という訳で、本探しスタート! ………机にはそれらしきものは無い様です。 机の引き出しってよく隠し棚があったりするのですが、そんなものは一切無いみたいです。 ちなみに引き出しの中には文房具や小物類しかありませんでした。 ちょっと期待外れ… でもめげずに次に行きたいと思います。 今度は比較的ものが多いと思われる本棚。 戦術に関する本がほとんどですが、考古学の本もチラホラ紛れています。 私の影響かなぁ……だったら嬉しいんだけどv 私が貸した本も何冊かあります、しかも何故か丁重に扱われているのがよくわかる。 他の棚とは明らかに整頓度合が違います。 さすがですねv 大佐は何故かいつも周りから几帳面に見られがちですが、実は結構大雑把です。 本の並びを見れば一目瞭然、読み終えたものから適当に並べています。 ちょっと気になるので、順番を入れ替えておきましょう。 ……そう言えば、彼が大雑把な所を見せるのって私の前だけなのかも。 何だか無性に嬉しいvv では次に、部屋に備え付けられている大きな洋服ダンスへ行ってみましょう! ここは如何にもものを隠してそうなよ・か・んv よし、まずはハンガーに掛けられている服から拝見。 これは…スーツですね。 着ている所を見た事が無いのですが、いつ着ているんだろう? 今度着てほしいってお願いしちゃおうかな〜♪ 後は軍服のコートと普段着のコートなどなど… 余り面白くなかったので、隣の引き出しは張り切って覗きたいと思いますv 一番上の引き出しは…タオル類中心ですね。 ちょっとタオルを退けてみましたが、何も隠していませんでした。 ……あれっ? 私、何かが見つかる事を期待しているのかしら…? …い、いやだなぁ、もう。 気持ちを切り替えまして、二段目の引き出し。 服が入っています、上着中心の引き出しかな? 続けて三段目、また服が入っていました。 今度はズボン中心の引き出しですね。 入れ方は無造作ですが、一応分けようとしている所がかわいいですv 上下共に色は全体的に暗めの色が多くて、その中でもやっぱり黒が多い。 黒が好きなのかもしれないです。 続きまして四段目、……下着中心です。 詳しい事はわからないのですが、形はトランクスみたいのでピッタリとしているものを好んで穿 いている様です。 いつも穿いている所を見ている余裕が無いので、どうとも言えませんが… ……はっ! 私ったら何て事を…! 今のは聞かなかった事にして下さい。 …で、では最後の引き出しに行きます。 あれっ? …な〜んだ、空か。 丁度いいから、今度来た時に自分の着替えを入れておこうかな。 毎回カールに服を借りるのは悪いし、いざという時に着替えがあると便利だもんね。 備えあれば憂いなしって事でバッチリです。 秘密にしておいて、後でビックリさせちゃおうvv ファンの方必見! 次はシャワー室をご案内しますv 一人用のシャワー室で、中は思ったより狭いです。 大佐になってもこの待遇は如何なものかと… この話はさておき、大佐が使っている石けんやシャンプー・リンスについて。 以前はどうか知りませんが、今は私が使っているものと同じものを使っています。 部屋に多少香りが残っているので、私はいつも自分の部屋にいるみたいな気分になります。 これで一応一通り回ったかな? あ〜ぁ、結局何も見つかりませんでした。 残念無念であります。 ……あっ、ベッドの存在をすっかり忘れていました! ステア達の助言によると、例の本はよくベッド周辺に隠されているらしいです。 早速チェック! ………う〜ん、無いなぁ…ひょっとしてカールって…………変なの? そ、そんな事はないと信じたい! …おやっ? ベッドの隙間に何かが挟まっています。 まさか……とうとう例の本発見…!? ……と思いましたが、ただの写真でした。 ガックリ……ん? これ、私の写真だ。 …………………そっか、私の事を考えながら眠ってくれてるんだねv 結局例の本は見つからなかったけど、もうどうでもいいです。 楽しみにしていた皆様ごめんなさい、リポートはこれにて終了とさせて頂きます。 ………ピッ …はっ! この音はドアのロックを解除する音? もしかしてカールが帰って来ちゃった!? わわわ、急いで隠れないと! …って、ものが少なすぎて隠れる場所が無い!! し、仕方ない。すぐ見つかるとは思うけど、毛布の中に隠れよう。 「……ん?」 やばいっ、もう見つかった! あ、あっさり毛布を剥ぎ取られてしまいました… 「何やってるんだ、サラ?」 「え、えへへへ、あの、その、なんと言うか…極秘任務を遂行中です…」 「極秘任務? …まぁ、いい。丁度良い時に来てくれた、では早速頂くよ」 「い、頂くって何を?」 「突然遊びに来て、わざわざベッドの上で待ってるという事はつまり…そういう事だろ?」 「そ、そういう事って…?」 「言わなくてもわかっているはずだ」 …何とな〜くカールの考えている事がわかってきました。 カールは…シュバルツ大佐は私を…………………頂くつもりの様です。 今日はそんなつもりは全く無いですし、何としてでも阻止してみせます! 「わ、わわ、私はわからないわ! それに遊びに来た訳じゃないから、そろそろ帰らなくち ゃ!」 「今更そんな事を言われても、もう手遅れだぞ」 す、素早い…! 彼は話しながら私の上まで既に移動しておられました。 もう……おしまい…? …………そ、そうだ! 写真の事を話せば何とかなるかもしれない!! 「カール、私の写真を持っていたんだね」 「…………見たのか?」 「ええ、バッチリ見させて頂きましたv 意外だったな〜、あなたが私の写真を見ながら眠って いるなんて」 「…………今日は写真ではなく、本物を見ながら眠れそうだ」 ……なんと!? 予想と正反対に話が発展するとは…! 私の作戦は……見事に失敗してしまいました…。 「サラ、力を抜くんだ。そんなに緊張していては、気持ち良くなれないだろう?」 「ん……や、やだ…こんな時間から……」 「もっと早くに気づくべきだったな、ヤツの思惑に」 「ヤツの…思惑…?」 「最後の最後に意味もなくこういう展開に持っていくのがヤツのやり方だ、今回は気づかなか った君が悪い。俺においしく頂かれてくれ」 ……そ、そうか! だから『私一人で』というのが条件だったのね!! でもカールの言う通り、気づくのが遅かった様です…。 結局、その日は研究所へ帰れませんでした。 イヤじゃなかったからいいけど、こんな任務はもう二度と受けないつもりです。 以上、サラ・クローゼによるシュバルツ大佐のお部屋リポートを終了します。 ●あとがき● カール編よりも更にカールの性格が怪しくなりました。 当初はヤツなる人物(私)を登場させるつもりは無かったのですが、カール編では誤魔化せた のにサラ編では誤魔化せない展開となり、急遽登場させる事にしました。 今回のお話は長編小説とは完全に別物という事で、割り切って読んで頂けると嬉しいです。 しかし長編小説に繋がる所も多々あるので、私が出て来る部分は無視し、それ以外の所を 適当に繋げて下さい。 わかる人はわかったと思いますが、カールの部屋にある一番下の引き出しに、後日サラは本 当に自分の服を忍ばせております(長編小説第四十七話「副官〜後編〜」参照) カールがサラの写真を見ながら眠っている点については…余り触れないでおいた方がいいで すね、彼の名誉の為に(笑) ちなみにカールが愛用している下着についてですが、実はボクサータイプの下着です。 Ziにボクサーなどという言葉が存在するはずが無いので、「形はトランクスでピッタリしたもの」 と表現しました(トランクスも通用するのかわかりませんが…) ちなみにカールが持っている服の数はひじょ〜に少ないです。 サラと付合い始めてから多少お洒落にも気を遣う様になったのですが、服を買いに行く暇が無 くて困っているらしいです。 今度デートと称して買い物へ行くお話を考えたいと思いますv サラが見立てたら今より良くなるのか悪くなるのか…ちょっと怖いですが見てみたい! カールが今まで一度も着た事の無い色を選びそうな予感がします、ピンクとか(笑) しかしもし考えても長編小説の中に入れる予定ですので、短編はこの様な突発的なお話を書 いていくつもりです。 どちらも楽しみにして頂けると嬉しいですv |