「バレンタインデー」


二月十四日、バレンタインデー。
恐れていたこの日がついにやって来てしまった。
ちまたでは男女が愛をささやき合う日であっても、カールにとっては全く別の意味を持つ日。
士官学校に入学してから軍人となり今に至るまで、その日は毎年地獄の日と化していた。
朝早くからカールの執務室にはたくさんのチョコレートが届き、夕方頃になると足の踏み場が
無くなる程チョコレートの山がいくつも出来上がった。
誕生日にも似た様な現象が起きるのだが、バレンタインデーは貰うものがチョコレートと決まっ
ているので、そのまま放置しておく訳にもいかず、地道に食べていくしかなかった。
しかもカールは女性からの贈り物だから、多いというだけで人にあげる訳にはいかないと、毎
年一人で全てのチョコレートを平らげており、バレンタインデーから数週間は必ず胃をもたれさ
せていた。
この様に何事もきっちりとしなくては気が済まない性格が災いし、カールは体に負担を掛けつ
つ、自身の給料にまで負担を掛けていた。
何とカールはチョコレートをくれた女性全員に、わざわざお返しを送っていたのだ。
貰うだけ貰ってそのまま、というのはしょうに合わないらしい。
元から余りお金を使う様な人ではなかったが、数が数なので困りはしなくてもふところが寂しくなる
のは事実であった。
ここ二、三年は共和国との戦いや戦争終結後の慌ただしさでチョコレートを贈って来る者は一
人もおらず、カールもバレンタインデーの存在をすっかり忘れていたが、今年はその日の朝に
第一号のチョコレートの山が届いた時点でようやく思い出した。
平和になった事がうかがえる行事ではあったが、やはり素直には喜べそうになかった。



「大佐、チョコレートが届いてますよ」
「あぁ、その辺りに適当に置いておいてくれ」
「了解」
朝からこの会話が何度繰り返されただろうか…?
いい加減兵士達も面倒になってきたらしく、届けに来る者が毎回コロコロ変わった。
しかし受け取る側は一人なので、チョコレートだらけの自分の執務室を眺め、カールは小さくた
め息をついた。
(以前より増えてるな……)
現皇帝ルドルフの方針により、開かれた軍を目指して基地内で度々たびたびもよおしを行っている為、カー
ルの顔が更に売れてしまうという結果を招いていた。
が、今は落ち込む事ばかりではない。
今年は最愛の女性ひとからチョコレートを貰える予定になっているからだ。
去年までは貰った事が無かったが、それは彼が忙しいので遠慮していたのだと思われる。
カールは執務室に誰かが来ると、毎回サラではないかとドキドキしていた。
彼女の事だから、きっと直接渡してくれるに違いない。
しかしその予想に反し、彼の執務室にやって来たのはチョコレートを運ぶ兵士と、直接手渡し
に来た女性士官・民間の女性達だけであった。
(ひょっとして……サラは今日が何の日か知らないのかも………)
カールはずっと考えない様にしていた事をとうとう考え始めてしまったが、ふと気が付くともう
正午を過ぎていたので、心を落ち着かせる為に昼食を摂りに行った。
カールが見るからに落ち込んでいると気づいた兵士達は、彼にとって今日という日が如何いか
大変であるかを改めて実感した。
もてすぎるというのも困りものである。
昼食を食べている間、終始兵士達から哀れみの目で見られていたカールだったが、彼が落ち
込んでいる本当の理由は、誰一人わからなかった。
そうしてカールはほとんど味わう事なく昼食を終え、チョコレートだらけの執務室へ戻ると、力無
く椅子に身を投げ出した。
(サラ……やはり知らないのか……?)
サラの事を思いながらカールがぼんやりしていると、今日何度目かのノックの音が室内に響
いた。
「どうぞ、開いてますよ」
カールはもう立ち上がる気力すら無く、椅子に座ったまま少々投げやりな口調で言った。
すると、すぐにドアが勢い良く開け放たれ、知っている顔が数人入って来た。
『こんにちわ、シュバルツ大佐v』
「あぁ……君達か…」
カールの執務室にやって来たのは、サラの助手をしているステア達であった。
カールは一瞬サラも一緒に来ているのではないかと期待したが、残念ながら彼女の姿は見当
たらなかった。
「これどうぞ、私達からですv」
「ありがとう」
カールは他のものより少し大きめのチョコレートをステアから受け取り、大事そうに机の上に置
いた。
ステア達は嬉しそうに笑っていたが、何気なく室内を見回すと感嘆のため息をついた。
「さすが大佐、数が半端じゃないですねぇ」
「そうでもないよ。……ところで、サラは一緒じゃないのかい?」
「え? 博士なら朝早くに一人で出掛けちゃいましたけど……まだ来てないですか?」
「ああ、来てない」
「おかしいなぁ……。てっきり大佐に会う為に出掛けたと思ったのに……」
「……………」
ステア達はカールをより一層落ち込ませてしまい、どうにも対処出来なくなると、そそくさと執
務室から出て行った。
カールはガックリと肩を落としたが、とりあえず室内にあるチョコレートを見て回り、差出人の名
前と住所をメモに書き出していった。
数が多いので、メモしておかないとお返しを忘れてしまう可能性があるのだ。
そうして日が暮れるまでチョコレートとにらめっこし、全てを書き終えた頃にはカールは疲れ果て
机に突っ伏していた。
見ただけで増えている事はわかってたが、数がわかると余計に多く感じた。
これらを全て食すには、さすがに胃薬を常備する必要があるなとカールは思ったが、今日はも
う動きたくないので、明日医務室へ貰いに行く事にした。
そうと決めたら何もする気が起きなくなり、カールはコーヒー入りのカップを手に取ると、少しず
つ飲みながら窓から夕日を眺め始めた。
(本当に知らないらしいな……)
夕日を淋しそうに眺めるカールの心には、彼のいとしい女性の姿がハッキリと浮かんでいた。
しかし彼女の事を思えば思う程むなしくなる為、考えない様に努めようと決めた丁度その時、と
ても小さかったが、ドアをノックする音が聞こえた。
「どうぞ、開いてますよ」
今日何度も同じ言葉を言っていた為か、カールはほとんど条件反射でその言葉を口走った。
が、どういう訳かドアはなかなか開かず、ノックをした人物はピクリとも動かなかった。
とうとう幻聴まで聞こえる様になってしまったと、カールは心を落ち着かせようとコーヒーを飲も
うとしたが、無性にドアの外が気になり、確認の為見に行く事にした。
長年の経験から、こんな時間にチョコレートを持って訪ねて来る者はもういないはず。
恐らく気のせいだろう。
そう思ってドアを開けたカールの目に映ったのは、ずっとその姿を思い浮かべていた彼の最愛
の女性、サラであった。
「サラ………」
「こんばんわ」
「あ……う、うん。少し散らかってるけど入ってくれ」
「お邪魔します」
サラはゆっくりした歩調で執務室内に入り、山になっているチョコレートを見つけると、驚いて目
を丸くした。
「すごいねぇ、一日でこれだけ貰える人なんて今まで見た事ないわ」
「ああ……だろうね…」
「さすが、カール。モテる男は辛いねv」
「ああ……辛い……」
カールは楽しそうにチョコレートを見て回っているサラを見、多大なショックを受けていた。
今日のサラは研究所の制服ではなく普段着だったが、手には何も持っていなかったのだ。
サラから貰えるチョコレートだけを楽しみに今日一日頑張ってきたのに、ことごとく期待を裏切られ
てしまい、カールはシュンとなって椅子に腰を下ろした。
その様子に気づいたサラは、カールが何を思って落胆しているのか察し、満面の笑顔を浮か
べて彼の傍に駆け寄った。
「カール、これ一人で全部食べるつもりでしょ?」
「ああ……その予定だ」
「もし私が食べないでって言ったらどうする?」
「もちろん食べない」
カールが真剣な眼差まなざしで即答してくれたので、サラは嬉しさの余り彼の膝の上に乗ると体を
密着させた。
「サラ……?」
「カール、あのね……私、あなたにあげたいものがあるの」
「何だい?」
「すぐにはあげられないわ、まずは目をつぶって」
何故目を瞑る必要があるのかわからなかったが、サラに言われるままにカールはゆっくりと目
を閉じた。
「そのまま動かないでね」
そう言ってサラはポケットから小箱を取り出し、ふたを開けると中から小さなチョコレートを一カケ
つまみ取った。
そしてそれを口に放り込み、すぐにカールと唇を重ねた。
「………?」
サラの柔らかい唇を感じた途端、カールの口中で甘い味が広がった。
サラが口移しでチョコレートをくれたのだと気づいたカールは、目を開けると愛しい人の大きな
瞳を見つめた。
「どぉ? おいしかった?」
「ああ、今までで一番おいしいチョコレートだったよ」
「良かったぁ、苦労した甲斐かいがあったわ」
「苦労?」
「うん、カカオの産地へ行ったり来たりしてたの。そのお陰でおいしいチョコレートを作る事が出
来たんだよv」
「俺の為にそこまでしてくれたのか……。ありがとう、すごく嬉しい」
「ふふふ、どういたしましてv もう一つ食べる?」
「うん」
カールが子供の様な笑顔で頷いてみせると、サラは再び小箱からチョコレートを取り出し、そ
れを口に含ませ唇を重ねた。
サラの優しい口づけに気持ちをおさえきれなくなってきたカールは、彼女の口中に残るチョコレ
ートを全て奪い取ろうと、激しく舌をからませ始めた。
サラはいつもは激しくされると逃げ腰になるが、今日はカールにしっかりと抱きつき、彼の舌を
素直に受け入れた。
やがて甘く激しい口づけが終了すると、サラは気持ち良さで目がトロンとなり、カールはそんな
彼女の頬を優しく撫でた。
「君も食べたらどうだい?」
「……ん〜、食べたいのは山々なんだけど、後二つしか残ってないの。作るのに時間が掛か
るチョコだから、余り多く作れなくて……」
「そうなのか……。でもさっきの食べ方なら、二人共食べる事が出来るんじゃないのか?」
「え? う、うん、出来るとは思うけど……」
「じゃあ、残る二つも同じ食べ方で食べよう」
カールの提案にサラは思わず顔を真っ赤にしたが、すぐに三つ目のチョコレートを口に含ませ
ると、彼と唇を重ねた。
途端にカールは激しく舌を絡ませ始め、互いの口中からチョコレートが無くなっても濃厚な口づ
けを止めようとしなかった。
サラは余りにも気持ち良くなりすぎてしまった為、カールが唇を離しても口を半開きにしたまま
呆然としていた。
「……カール、もう終わりにしよ………」
「まだ一つ残ってるぞ? ちゃんと全部食べさせてほしいな」
「……もぉ………」
口づけの気持ち良さに体がえられるかどうか心配だったが、一つだけ残す訳にもいかない
と、サラは意を決して最後のチョコレートを口に放り込んだ。
それを見たカールは直ぐさま行動を開始し、サラが唇を重ねる前に自分から彼女の口を塞ぎ
に行った。
「ん………」
サラはカールの素早い行動に少々驚いたが、そのまま彼に身を任せた。
しばらくして濃厚な口づけを終えた二人はどちらも気持ち良くなりすぎてしまい、トロンとした目
で見つめ合った。
「サラ……とてもおいしかったね」
「うん…おいしかった……」
「二人で食べるとよりおいしくなるみたいだな」
「そうだね」
カールとサラは幸せそうに微笑み合うと、すぐに抱き合って熱い抱擁ほうようを始めた。



日が完全に暮れた頃、カールは副官を始めとする兵士達の目を気にしてか自室で夕食を摂る
事にし、食べ終えるとサラを連れてこっそりと基地を抜け出した。
こういう日はやはり二人きりになりたい。
カールとサラはセイバータイガーに乗り込むと、山中に建てられた軍のロッジへと向かった。
やがてロッジに到着すると、二人は真っ直ぐ浴室へ行き、互いの髪や体を洗い合ってから湯船
に浸かった。
サラはお湯の温かさの中でカールのたくましい腕に包まれながら、幸せそうに微笑み身を擦
り寄せた。
「ねぇ、カール」
「ん?」
「ホワイトデーは私の我儘わがままいっぱい聞いてくれるよね?」
「ああ、もちろんだ。だから今夜は……」
「うん、好きにしていいよv」
サラはカールの瞳を見つめ、笑顔で頷いてみせた。
その返事で上機嫌になったカールは力強くサラを抱きしめ、彼女の耳たぶをめ始めた。
「や……ダメ……。…お風呂出てからじゃなきゃダメだよ」
「一度だけここでしたいんだ。俺の我儘は聞いてくれないのか?」
「……………わかったわ。ただし、絶対に一度だけだからね」
「ああ」
カールは非常に爽やかな笑みを見せて頷くと、お湯の中でサラの体を愛撫し始めた。
場所が場所なだけにサラは妙に緊張してしまい、意味もなく体を硬直させ声をあげられずにい
た。
「サラ、どうしてそんなに緊張しているんだ?」
「だって……ベッド以外の所って恥ずかしいんだもん」
「すぐに慣れるさ。とにかく今は力を抜いて、俺に全てを任せてくれ」
「うん…頑張ってみる……」
サラはカールの手に身を委ねると、ゆっくりと体の力を抜き始めた。
その動きに合わせて愛撫を再開したカールは、サラの緊張を解きほぐすかの様に極力優しく
彼女の体を攻めた。
そうして徐々にサラの体から力が抜けていくと、それに反比例してカールの愛撫は激しさを増
していき、彼女は無意識に大声であえぐ様になっていった。
「あぁ……カール……ん…あ………」
カールは喘ぎ声に興奮する気持ちを抑えられなくなり、より激しくサラの体を愛撫し続けると、
具合を確かめる為に彼女のなかへ指をし込んだ。
すると、指と共にお湯までなかに入ってきてしまい、サラは熱さを感じてカールの腕をぎゅっと握
った。
「カール……お湯も…入ってきちゃった………」
「熱い?」
「うん…少し……」
「君のなかもすごく熱いね」
「……お風呂の中だもん……熱いのは……あ…ん……当たり前…だよ………」
「じゃ、そろそろ始めようか」
カールはわざとサラの耳元で囁く様に言い、彼女の体をふわりと持ち上げると、自分の体の
上へ移動させた。
そしてすぐに太くたくましいものをサラのなかに挿し込み、腰を激しく突き上げ始めた。
カールに体を揺さぶられる事によってサラの豊満な乳房が激しく上下に揺れ、その衝撃で辺
りにお湯が飛び散った。
もちろんカールの方にも飛んでいたのだが、行為に集中していた彼は全く気づかなかった。
「やっ……あ…はぁっ………」
サラはカールの激しすぎる行為に瞳を潤ませて喘ぎつつ、彼にしっかり抱きついて快感に身を
任せていた。
やがて限界を感じたカールはピタッと腰を止め、サラの奥深くまで自分をねじ込むと、溜まった
ものを放出した。
カールから放たれたものが全て自分のなかに注がれると、サラはくたっとなって彼の胸にもたれ
掛かった。
そうする内に、カールはサラの体を持ち上げるとクルッと半回転させ、次の行為に向けて早々
と行動を開始した。
驚いたサラは慌てて抵抗し、カールから離れると急いで湯船の端へ移動した。
「一度だけって言ったでしょ?」
「あ、そう言えばそうだった」
「『そう言えば』じゃないわよ、もぉ〜」
「まぁ、それはそれとして、すぐにここから出よう」
「へ? どうして?」
「続きをするからに決まってるじゃないか」
「……あ、そっか。じゃ、行きましょ」
珍しくカールが我儘ばかり言うので、嬉しくなったサラはその全てに応えようと笑顔で頷いて
みせた。
風呂場から出て備え付けのバスタオルで体を拭いた二人は、前回と同じくまたしても着替え
がない事に今頃気づいた。
サラがどうしようか悩んでいると、カールは傍にある引き出しの中から服を引っ張り出し、それ
を彼女に手渡すと、自分の分も取り出し袖を通し始めた。
「これって軍の服?」
「ああ、つい最近ここにも常備される様になってね。男物だから少し大きいとは思うけど、何も
着ないよりはマシだろ?」
「うん、ありがとう」
サラはカールから受け取った服を身に着け、彼に連れられて上官用の個室へ向かった。
室内に入るなり、サラは嬉しそうに駆けて行ってベッドへ飛び込むと、ちょこんと座り直しカー
ルを待った。
後からゆっくりと歩いて来たカールはベッド腰を下ろすと、サラの細い体に手を伸ばし、着たば
かりの服を脱がせ始めた。
「サラ、両手を上げてくれ」
「了解であります、大佐殿」
サラはかわいらしく敬礼し、両手を頭上に上げた。
直ぐさまカールはサラが着ているぶかぶかの服をまくり上げ、両手の先端まで持っていった所
でそのまま彼女をベッドへ押し倒した。
「わっ……ま、まだ全部脱いでないよ?」
「これでいい」
「……良くない、これじゃあ両手が塞がっちゃうもん」
「だからいいんだよ」
カールは爽やかな笑みを浮かべてみせると、サラの両手を服ごと押さえ付け、あらわになった乳
房を舌で愛撫し始めた。
サラは抵抗出来ずに体をのけ反らせて喘ぎ、カールの舌と指に全身をもてあそばれてしまった。
「やっ…やめ……カール……いや…手を離して………」
「今夜は俺の好きにさせてくれるんだろう?」
「だ、だからって…こんなのヤダ……」
「手が自由になっても、結果は同じだと思うぞ?」
「………無理矢理襲われてるみたいでイヤなの、お願い……」
サラが瞳を潤ませながらお願いすると、カールは妙に嬉しそうな顔をして彼女の耳元で囁い
た。
「無理矢理襲ってるんだよ」
「……嘘ばっかり。ただ意地悪したいだけなんでしょう?」
「ははは、やはり君は全てお見通しか」
カールは明るく笑ってサラの腕から服をぎ取り、すぐに体を重ねると彼女の口を塞いだ。
手が自由になったので、サラはカールの首に手を回すとしっかり抱きつき、飽きる事なく濃厚
な口づけを続けた。
「……君の口の中ってすごく甘いね」
「え…? もうチョコは入ってないよ?」
「それでも甘く感じる、すごく俺好みの味だ」
「………?」
サラはカールの言葉の意味が理解出来ず、とてもかわいらしい仕草で首を傾げた。
そのかわいさにカールは気持ちを抑えられなくなり、強引にサラに襲い掛かると彼女の体を激
しく愛撫し始めた。
「や……あ………はぁ……」
余りに激しかった為サラは抵抗する余裕がなく、一方的にカールに攻められ続けた。
そうしてカールは今一度具合を確認しようとサラの下腹部に手を伸ばし、なかに指を挿し込もうと
したが、毎回指では面白くないと今回は舌を入れる事にした。
「やっ…ダメぇ………いやぁ…」
サラの口から抗議の声があがると、それに呼応するかの様にカールは舌を激しく動かした。
サラは徐々に快感に溺れつつあったが、体は素直なのに口では終始嫌がり続け、彼女にき
ちんと気持ち良いと認めさせたくなったカールは、なかから舌を抜き顔を上げた。
「サラ、今夜は好きにしていいんだろ?」
「……うん、そうだよ」
「じゃあ、どうしてイヤなんて言うんだ?」
「だ、だってぇ……つい言っちゃうんだもん」
「………ひょっとして指の方がいいのか?」
「えぇ!? そ、そんな事わからないよ」
「わからない…? なら指も試してみよう」
「た、試さなくていいってば〜! やめてぇ……やん………」
サラの必死の抵抗も空しく、カールは何の障害もなく彼女のなかに指を挿し込むと、奥の方で優
しくき混ぜた。
サラは大きく声をあげて喘ぎつつカールの腕を掴み、体から引き離そうと努力し始めた。
サラの努力が実を結んだのか、カールはすんなりと指を抜き取ると、彼女の上に四つん
になり、にっこりと微笑んでみせた。
サラの反応を見、結局は指でも舌でもどちらでも良いとわかったからだ。
カールの表情から、そろそろ行為を始めるのだと察したサラは彼を迎える為に体を開き、その
時を待った。
そんなサラの従順さが嬉しかったカールは目を細め、そのまま待たせてはいけないと、すぐに
自分を彼女のなかへ突き立てた。
「あぅ………」
体が一つになった瞬間、サラは思わず大声をあげカールに抱きついた。
カールは優しくサラを受け止めると、本格的に行為を開始した。
こうしてカールの激しすぎる行為は翌日の明け方まで続けられ、二人は夜通し体を一つにし
たのだった。





●あとがき●
バレンタインデーのお話、如何でしたでしょうか?
行事ものを時期に合わせて書いたのは初めてです。
が、実を言うと考えた時期はバレンタインデーとは無縁の時期でした(笑)
そのせいか、バレンタインデーなのにチョコレートは前半しか登場していません。
「バレンタインデー」というタイトルでいいのかと少々悩みましたが、最初から最後までずっとラ
ブラブvでしたし、細かい事は気にせず書き進めました。
そんな感じでいつも通り鬼畜カール出現!
サラには大変な思いばかりさせて申し訳なく思っていますが、楽しいので仕方ない…
女性がかわいいと萌えてしまうんです(変態)
バレンタインデーという題材で、結局最後がああいう展開になる所が何とも私らしい。
ホワイトデーが楽しみですねv(←自分だけ)
バレンタインデーのお話は前もって考えていた割に、ホワイトデーのお話はまだ考えていない
ので、これからじっくりと考えていこうと思っています。
果たして三月十四日に間に合うのだろうか…?(笑)