「お宅拝見!〜カール編〜」


皆様、こんにちわ。帝国軍第一装甲師団長、カール・リヒテン・シュバルツです。
今回は私の大切な女性サラ…ではなく、学者達や兵士達のアイドル的存在、サラ・クローゼ
博士の部屋をリポートするという極秘任務を受ける事になりました。
謎の多い所を少しでも解明せよとの事ですが、私には荷が重い任務です。
女性の部屋に忍び込み、あんなものやそんなものを拝見するなど非常に楽しみ……いや、非
常にけしからん事だと思います。
しかし私が断れば他の男に頼む可能性があるので、仕方なくこの任務を引き受けました。
至らぬ点が多々あるとは思いますが、何とぞご容赦下さい。


ではまず、国立研究所内に侵入を試みます。
忍び込んだのが私である事を悟られない様、今日はカードキーは使用しません。
しかし国立研究所は帝国で一、二を争う程のセキュリティー設備を誇る施設なので、先日来
た時にこっそり細工をほどこしておきました。
サラが…博士が気づいていなければ大丈夫のはずです。

…ピピッ
                カチャッ!

……ふぅ、何とか侵入成功。
しかしあのサラが俺の細工に気づかないとは……まさか罠!?
とりあえず警戒だけはしておいて、サラの…博士の部屋へと向かいます。
ちなみに監視カメラの位置は確認済み。
いつも通る廊下は全て避け、人の気配の無い廊下を選んで進みます。
思ったよりあっさり博士の部屋の前まで来る事が出来ました。
では早速ドアのロックを解除。
解除ナンバーは『1017』
…実は私の誕生日の数字です。
こ、この話は別にしなくていいか。
室内に入ります。入口から見た限り、余り女性らしい部屋ではない印象を受けます。
入ってすぐに目に付くのは本の多さ。
小さな図書館の様にも思える多さです。
……あ、この本は少し前に俺が借りた本だ。
どうやら俺が返した後、サラもまた読み返しているみたいだな。



やはり最初は机でしょうか。
博士の部屋には机が二つあります。一つはパソコン用、もう一つは勉強用。
勉強用の机にはたくさんの書類が山積みになっています。
全て今やっている研究の資料らしいです。
机の引き出しには……小さな化石がたくさん。
全部きちんと整理されて入っています。
部屋は小さな図書館、机の中は小さな博物館という表現をしてもおかしくないです。
机は研究に使うものだけで面白くないので、次に行ってみたいと思います。



次は異常に大きな本棚を拝見。
本が素晴らしく順番通りに並んでいる。
サラは几帳面な方なのかもしれないな、たまに大雑把な時もあるが。
そこがまたかわいい所で……ごほん、え〜、本は考古学のものだけでなく、様々なジャンル
の本が取り揃えられています。
少しでも気になったものはトコトン調べまくる、従ってこんなにも本が多くなったそうです。
それにしてもすごい量だ…。
先日自室に入り切らなくて別の部屋に本を移したと言っていたが、それでもまだこれだけ残っ
ているとはどういう事だろうか?

……深くは考えないでおこう。



今度は本棚の隣にあるパソコン用の机を調べてみましょう。
………
………無反応だ。
何かしら細工が施されている様です。
パソコンを調べたら全てがわかると思いましたが、無理は禁物。触らぬ神にたたりなし。
パソコンにはもう触れないでおきます。



では次に、今回一番楽しみにしていた……ごほごほっ、失礼。
女性の服を拝見するのは心苦しいですが、クローゼットの中を覗いてみます。
クローゼットのドアを開けると、まず最初に目に飛び込んできたのは数着のドレス。
戴冠式の時に着ていた薄紫色のドレスもいいが、他のドレスも捨て難い。
いつか着てもらえる機会があればいいのだが…
ドレスの隣にはスーツやコートなどが掛かっている。
コートはシンプルなものだけでなく、非常にかわいらしいデザインのものもある。
今度絶対着てもらおう、きっととても似合うはずだ。
……話がれてしまいました、気持ちを切り替えて引き出しを調べます。
一段目、ハンカチや小さなタオルが綺麗に敷き詰められている。
二段目は服、三段目も服、四段目も服、五段目も……思ったより服が多いな。
しかもきちんと夏服・冬服に分かれている、さすがだ。
さて一番下の引き出しは……またしても服。
おかしい、服以外のものはどこにあるんだ?



………おっと、すぐ隣にも同じデザインの引き出しがありました。
早速調べてみます。
一段目、透明の箱が入っており、中にはアクセサリーがいくつか収められていました。
私がプレゼントしたイヤリングだけあからさまに特別扱いされている所が…何とも幸せです。
次に二段目、またまた服。
どれだけ服を持っているんだろう…?
三段目にはパジャマが数着。
ピンク色のしか見た事無いな…、これも今度着てみてもらおう。
四段目、バスタオルが数枚入っている。
良かった、やっと服が終わった。という事は…残る二つは恐らく……
五段目、予想通り……下着だ。
女性用の下着は…何というか…色が鮮やかです。
女性は下着もお洒落しゃれをすると聞いた事はありますが、本当だった様ですね。
五段目は上の下着のみなので、六段目も一緒に開ける事にします。
上下でセットになっているのがよくわかる。
白やピンクや水色…チェックや水玉…
……う〜む、三分の一程しか見た事が無いな。
全部見られる日がいつか来るだろう、その日を楽しみに…いや、何を言っているんだ、俺は。
今のは聞かなかった事にして下さい…。



次は、シャワー室へご案内します。
余り見せたくないので、さっさと終わらせる所存です。
サラの…博士の部屋のシャワー室は、私の部屋にあるシャワー室より一回り程大きい。
さすが博士です。
石けんやシャンプーなどのメーカー名はお教え出来ません。
ちなみに私は博士と同じものを使っています。
よし、シャワー室はこれにて終了!



では最後に、ベッドを見に行きましょう。
一人で寝るには少々大きすぎるベッド。
私と一緒に寝る時の為にわざわざ用意してくれた…だったらいいのですが、残念ながら始め
からこのサイズでした。
広い方が寝転んだまま調べ物をし易い、との事。
私の前では余り調べ物をしている姿を見せてはくれませんが、それは仕方のない事です。
調べる隙を与えませんから……って、またまた何を言っているんだ、俺は!



これにてクローゼ博士の部屋のリポートは終了です、ありがとうございました。



「大佐」
「………?」
「大佐、こっちです」
振り返ると、ドアの隙間から助手の二人が顔を覗かせていた。
ま、まさか今までのを全て見られていたのか!?
サラにばれたら俺は…俺は……どうすればいいんだ…!!
「大佐、いいものがあるんです。見に来ませんか?」
「…は? いいもの?」
「そうですv さ、行きましょう」
何が何だかわからないが、一応二人について行く事にした。
助手の二人に案内されてやって来たのは…何の変哲もないただの部屋。
ここに何があるというのだろうか…?
「はい、どうぞ、大佐v」
「これは?」
「博士のアルバムですぅvv」
「アルバム?」
「学生の頃の博士の写真ばかりを集めたものなんですよv さぁ、早く見て下さいvv」
学生の頃のサラ…?
急いでアルバムを開くとそこには初々ういういしいサラの姿が……
か、かわいい……どうしたらいいんだ…………って、どうもしないな。
「どうです〜? 博士かわいいですよね、大佐vv」
「あ、ああ、かわいいな。今の長い髪もいいが、この肩に少々かかる程度の長さもなかな
か…」
「ですよね〜v あ、よろしければそのアルバム差し上げますよvv」
「…い、いいのか?」
「はい! 大佐の為に作った様なものですからvv」
「そ、そうか、ありがとう」
思わぬ所で良いものを手に入れた。
これは一生大切にしなくては!



さて用は全て済んだので、助手の二人には悪いと思ったが、そろそろ帰る事にする。
サラに気づかれない内に研究所から出なくてはならないからだ。



「あれ、カール?」
……心配している傍からサラに見つかってしまった。
どう誤魔化ごまかそうか……手にはあのアルバムもあるし……
だが、嬉しそうに駆け寄って来る彼女の笑顔を見ていると、何もかもがどうでもいいと思ってし
まう。
「や、やあ、サラ」
「いらっしゃい。遊びに来るなら来るって言ってくれれば、正面玄関で待ってたのにな」
「ご、ごめん…」
「ふふふ、謝らなくていいわよ。来てくれて嬉しい事に代わりは無いもんv」
よ、良かった…喜んでくれた…
…と気が緩んだ途端、あのアルバムをうっかり落としてしまった!
なんてお約束! 俺とした事が一生の不覚、絶対絶命のピンチ!!
「これ、なぁに?」
「あ、そ、それは、その……」
「……やだ、私のアルバムじゃない。どうしたの、これ?」
「どうしたのと聞かれても…俺の口からはとても……」
「あ、わかった! ステア達でしょ?」
「さ、さぁ……」
「ま、いいわ。貰ってくれたんなら、ず〜っと大切にしてくれなきゃダメだよv」
「あ、ああ、もちろん一生大切にする」



何とか話が一段落したので、今の内に終わらせておこう。
以上、カール・リヒテン・シュバルツによるサラ・クローゼ博士の部屋リポートを終了します。





●あとがき●
書いてビックリ! すごい内容になりました。
初めて口語文のみで文章を書いてみたのですが、これがなかなか面白くて難しい。
カールの性格がおかしくなりすぎて、自分でもどうしようかとハラハラしていました。
下着を見るのを楽しみにするなんて…やはり男ですねぇ(遠い目…)
私が書いている小説のカールはアニメのカールよりも人間味溢れている分、ダメな部分が多
いです(笑)
そこが良い所と言えば良い所なのですが、機械的なカールもたまには書きたいです。
しかし私が書いたら機械的ではなく鬼畜になりそうな予感が…
一度チャレンジしてみるのもいいかもしれませんねv
サラの謎な部分を解明せよとの事でしたが、結局何もわからずに終わってしまいました。
しかしカールは大満足! 例のアルバムを一生大切にしていくでしょうv
学生の頃のサラって髪が短かったんだ…と書き進めている最中に思いました(爆)
いつか髪の短いサラをイラスト化出来たらいいなv
それに対抗する形で、学生なカールを描いてみても面白そうvv
士官学校って制服あるのかなぁ…士官したばかりのカールも捨てがたいですね!
時間があれば全部に手を出すつもりですv